62 連続切り裂き殺人
リリアーナが見つかった
無残な死体となって
発見したのは王都の自警団、いわば警察のような人たちだ
騒ぎを聞きつけ現場に駆け付けた時、ちょうどリリアーナの死体が運び出されるとこだった
日本のように事件現場をブルーシートで隠すようなことをしていないので遠目だったが確認することができた
俺は最初下水道から運びだされたのがリリアーナだとわからなかった
遠目だというのもあったがそのくらい死体の損傷は酷く、全裸で両手と片足が無かった
そして体中に切り刻まれた跡が残っていた
それを見て、その死体がリリアーナではないことを祈った
その後死体が少女だということがわかり、レイラが行方不明の妹ではないかと話をして確認させてもらえることになった
俺とレイラで確認したが、その死体は間違いなくリリアーナだった
レイラはその場に泣き崩れ
俺は悲しみと同時に怒りが込み上げてきた
(どこのどいつがこんなこと・・・)
自警団の人の話ではここ最近発生している連続殺人ではないかということだった
子供や若い女性ばかりが狙われ、同じように体を切り刻まれて殺されているそうだ
今回のように下水道のような人目につきにくい場所で死体が見つかることが多く、巡回しているときにリリアーナの死体を見つけたようだ
(連続殺人・・・最近そんなことが起こってたのか知らなかった。ジャック・ザ・リッパーみたいなものか?必ず捕まえてやる)
最近は大会やアルベドとの練習等で忙しかったためそんな事件が起こっていること自体知らなかった
やり方はただの快楽殺人だ、許すわけにはいかない
_______
Loadしますか?
►はい/いいえ
_______
図書館へ向かい前回と同じようにセレナに絡まれながら三人を待つ
「どうされました?ルシオ様」
「え?」
「険しい顔をされてますけど・・・私が一緒にいると迷惑でしょうか?」
「ううん、ちょっと嫌なことがあって・・・むしろセレナが居てくれると気がまぎれるよ、ありがとう」
「そうですか?その・・・私でよろしければご相談にのりますが」
「大丈夫、ありがとう」
「そうですか・・・」
セレナと会話しているとリリアーナがやってきた
元気なリリアーナを見て少し泣きそうになってしまった
「ルシオ君、どうかしましたか?」
「なんでもない」
「はあ、それならいいですけど。何かあったら言ってくださいね」
「うん、そのうち話すよ」
「?」
その後マヤとウィルも合流して勉強会が始まった
今回は俺に元気がないからかマヤとセレナがピリピリすることはなかった
(空元気なのバレてるなこれ・・・)
しかし何があったのか追及されることもなく、みんながそれぞれ気を使ってくれているのがわかる
みんな本当にいい友達だ
(リリアーナは必ず助ける、犯人も必ず捕まえる。オプションを使えば俺にはそれができる・・・だからあんまり皆に心配させるのはよそう)
そう考え途中からは落ちていた気持ちもなんとか立て直すことができた
そして日が暮れはじめ勉強会がお開きになる
後半俺の調子が戻ったからかセレナとマヤがまた喧嘩し始め、それに挟まれていたウィルはまたさっさと帰ってしまった
マヤは女子寮へ、セレナは迎えの馬車があるので心配ないだろう
「送ってくよリリー」
「ありがとうございます」
結局その日はリリアーナの家の前まで送ることにした
学園からリリアーナの家までは歩きだと一時間くらいかかる
けれどリリアーナとなら会話が途切れることもなく一時間くらいあっという間に過ぎてしまった
「ありがとうございました、わざわざここまで送ってくれて」
「いいよ、楽しかったし。それじゃ」
「あ!ルシオ君!」
「ん?」
「やっぱり何かあったんですか?」
「えっと・・・どうしてそう思うの?」
「今日私と会った時、なんというか・・・複雑な表情してましたし、ここに来るまでの間も何かを警戒している感じだったので・・・」
やっぱりリリアーナは人の様子をよく見ている
義母を怒らせないように嫌でも身についたスキルなのかもしれない
「よく見てるね」
「やっぱり何かあったんですね?」
「うん、まあね・・・」
「例の天啓ってやつですか?また私を助けるために?」
「そんなところ」
「私にも話してください!ルシオ君にただ守られるのは嫌です・・・ルシオ君のお荷物にはなりたくありません・・・」
「安心してリリー、昼も言っただろ?そのうち話すって。上手く行ったらそれでいいし、上手くいかなかったら相談もする。どっちにしろリリーには必ず話すから」
「・・・私になにかできることはないんですか?」
「夜道に気を付けること!」
「そんなのいつも・・・誰かに私が襲われるってことですか?」
「外を歩くときはなるべく誰かと一緒にいること、気を付けておいて」
「・・・わかりました」
リリアーナは真剣な顔で頷く
「それと俺はリリーのことお荷物だなんて思ったこと一度もないよ?むしろリリーからいっぱい元気貰ってるし」
「え?」
「自分が思ってる以上にリリーの存在は俺にとって大きいんだからね、リリーに助けられてるのは俺の方だよ」
「そんなことありませんよ」
「そんなことあるんだよ」
「うぅ~」
照れているのかすっかり暗くなった今でもわかるくらい顔を赤くしている
大切な友達を守るためならこの程度の苦労なんてお安い御用だ
むしろ苦労とも思わない
「じゃあね、また明日」
「はい、ルシオ君も気を付けてくださいね」
「大丈夫!誰かに襲われても返り討ちにするから」
「もう・・・私だって本気で心配してるんですからね」
「わかってる、ありがとう。おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
そういって手を振り家路につく
結局その日犯人は現れなかった
俺が一緒だったからか、もしくはやり直したことで何か些細な変化が生まれたのか
(リリーが一人じゃないと犯人は現れないのか?道中何人かすれ違ったりしたけど全員怪しく見えちゃうしな~、あの中に犯人がいたのかもしれないと思うとゾッとするな・・・でもとりあえずリリーの安全は確認できた。あとはこのままリリーを見守りつつ様子を見るしかないかな?)
完全に日が沈み真っ暗になった街を民家から漏れる明かりを頼りに歩く
俺も一応子供なので学園までの帰り道犯人が襲ってこないか期待したが襲われることは無かった
因みに帰りが遅くなったので学園に戻ってもシェーネには遭遇しなかった
____
__
_
「なんか最近やたらリリーと一緒にいない?ルシオ」
「え!?そ、そんなことありませんよね?ルシオ君」
「うん、別に普段と変わらないと思うけど?」
「そうかしら・・・」
「いいえ!ルシオ様はリリアーナさんのことを贔屓しています!」
図書館で勉強会をしているとマヤがそんなことを言い出した
俺の正面でセレナも頷いている
自覚があるのかリリーは動揺していた
因みに今日は俺の隣にマヤとリリアーナが座っている
最近は俺の隣の席を確保するためか女子が来るのが異常に早かったりする
ここ数日俺は意図的にリリアーナの隣に座ることが多い
それにウィルと一緒に来たときは俺がそのままウィルの隣に座ったりする
なので必然的にマヤとセレナの椅子取りゲームになってしまう
「そういえば最近寮に帰ってくるのも遅いね」
「え?そうなの?ウィル君」
「うん、昨日もボクが先に帰ってご飯とかお風呂とか済ませてそろそろ寝ようかなって思った頃に帰って来たみたいだったし」
(ウィルめ、余計なことを・・・)
「そんな遅くまでリリーと何やってるの・・・」
「私も是非聞かせていただきたいですわ」
「えっと、その・・・ルシオ君・・・」
リリーが助けを求めるように俺を見る
別にやましいことはないから怯える必要もないのに
「別に何もしてないよ。リリーを家まで送ってから寮まで帰るとそれくらいの時間になるだけ。のんびり歩いてるから遅くなっちゃってさ」
「そう、そうなんです!それだけです!」
「最近物騒な事件も多いみたいだしリリー一人だと危ないでしょ?マヤは女子寮で近いし、セレナは迎えの馬車があるし」
「む~・・・まあそれもそうね」
「ルシオなら誰かに襲われても返り討ちにしそうだしね」
マヤも連続殺人のことを知っていたのか割とあっさり納得してくれた
ウィルは暢気なものだ
「私も歩いて帰るなら家までご一緒してくださいますか?ルシオ様」
「馬車の送迎があるならそれを利用してくださいお嬢様」
「そんな~・・・あ、でもルシオ様に『お嬢様』って呼ばれるのもむず痒くてなんか良いですわね・・・ウフフ・・・」
何か妄想しているのかセレナは体をクネクネさせ自分の世界に入ってしまった
「まあそういうことだよ。だからマヤも買い物とかで街に行くことがあったら一緒に行くよ?」
「ほんと!?」「本当ですか!?ルシオ様!」
「う、うん」
「ちょっとセレナは関係ないでしょ!」
「私だけ仲間外れなんてあんまりですわ!」
「あんたは家の人に頼めばいいでしょ?」
「要は!遅い時間に一人で出歩かないようにねってこと!わかった?」
「わかった」「わかりましたわ」
「一応ウィルもな」
「うん」
____
__
_
それから数日
リリアーナ達は俺の護衛もあり今でも無事だが、別の被害者が出てしまった
リリアーナの時同様下水道で切り刻まれた女性の死体が発見された
(リリーだけが標的なわけじゃないんだしやっぱそうなるよな・・・くそっ、やっぱりリリーに話して協力してもらうか?)
_______
Loadしますか?
►はい/いいえ
_______




