54 十歳の大会 壱
今日は年齢別トーナメントの一日目
ウィルは三試合目、俺は八試合目に出場する
一応朝起きてからSaveはしておいた
10歳~12歳の生徒が出場する年中の部は全部で52人の出場者がいるようだ
一応マヤも12歳だが戦闘はからっきしなので出場はしないみたいだ
今回も観客席で応援してくれる
俺は特待生だが前回の大会で優勝後にやり直していて、結果セレナとリリアーナに劣る三位という成績になっている
11歳、12歳にも優秀な特待生がいるので今回はシード枠にはなれなかった
なので優勝するには六回勝たなければいけない
今回の舞台は前回より少し広いものを使用するようだ
やはり年長になるにつれて戦いも激しくなるため広く頑丈になっていくのだろう
そして結界魔法もより強化されているようだ
結界のおかげで観客に被害が出ないようになっているのでおもいっきり戦える
「人数が多いから4ブロックに分かれるのか、俺たちは勝ち進めたら準決勝であたるな」
「それまでに四回も勝たなきゃいけないのか・・・」
「ウィルなら油断せず普通にやれば大丈夫だって」
「でも年上の特待生だっているんでしょ?ボクのブロックにはアレンって子もセレナって子もいないし」
「大丈夫だって、多分。俺は二回戦でアレンとあたるかもな~」
「11歳と12歳の特待生ってどんな人がいるのか知らないの?」
「まったく知らない。えっと・・・11歳と12歳の特待生が合計9人いるみたいだな、ウィルのブロックには2人か」
「はぁ~怖いなぁ~・・・すっごく強い人とあたったらどうしよう・・・」
「反対のブロックにセレナがシードでいるってことは・・・ウィルのブロックのアルベドって人か、俺のブロックのレオって人が去年の優勝者かもな」
「どっちも強そうな名前だね・・・」
「ま、なるようになるさ」
「はあ~緊張する・・・」
ウィルは緊張しているが一日目は特待生同士はあたらないので問題なく勝てると思う
まあ一般の生徒の中にも凄く強い生徒はいるかもしれないが
「俺は八試合目だからそれまでリリアーナのところに行ってくるよ」
「わかった」
「戻ってきたら負けてたなんてことにならないようにな」
「ガンバルヨ・・・」
「・・・・・肩の力抜けって」
「ムリ・・・」
ウィルは緊張のしすぎで片言になっている
(まあ今日無事に勝つことができたら少しは緊張も解れるだろう)
一回戦は一般入学の生徒なので実力はウィルの方が上だと思う
よっぽどヘマをしない限り勝てるだろう
俺の試合はまだまだ先なのでそれまでリリアーナに会いに行く
年少の部の観客席にリリアーナがちょこんと座っているのが見えたからだ
リリアーナは今日は試合がないみたいだった
今年の年少の部は特待生がリリアーナ一人だけのようで出場人数も少ないうえ、リリアーナはシードが組まれているため明日の初戦が準決勝になるようだ
「さすがにリリーの優勝で決まりでしょ」
「本当は特待生が私一人だけなので特別に年中の部に出場してもいいと言われたんですけど、それだと一回戦で負けそうな気がして・・・」
「そんなことはないと思うけど・・・」
(でも、もし一回戦で負けるなんてことになったら義母にまた何か言われるかもしれないしな・・・)
「ありがとうございます。心配してくれて」
「へ?」
「義母にまた小言を言われるんじゃないかとか思ってたんでしょ?」
「あ~・・・うん」
「顔に出てましたよ?」
「そっか・・・変な顔してた?」
「はい」
「即答!?ひどいな」
「ふふっ、義母なら年少の部で優勝しても『特待生もいない年少の部で優勝なんて当然です!』とか言いそうですけど」
「会ったことないのに容易に想像できる」
「私ならもう大丈夫ですよ。ルシオ君やマヤさんみたいな友達もできたし、いざとなったらお姉ちゃんもいますから」
(なんて健気な子なんだリリー・・・)
「抱きしめていい?」
「へっ!?なんですか!?いきなり」
「リリーが健気な良い子すぎて抱きしめてあげたくなった」
「人が沢山いるので駄目です!恥ずかしいです!」
「人が居ない所ならいいの?」
「そういう問題じゃありません!駄目なものは駄目です!」
「ははっ、冗談だよ。半分」
「半分ですか・・・」
「泣きたくなったらいつでも胸を貸すよ?」
「・・・結構です」
「今の間は何?ねえ、ちょっとだけ悩んだの?ねえ」
「や~!!鬱陶しいです!」
(ほんとリリーは可愛いな~)
「今日試合無いなら年中の部の観客席に来ない?マヤもいるよ?それか一応対戦相手の調査しておく?」
「えっと・・・一応こっちの試合を見ておきます。特待生じゃなくても強い子がいるかもしれないので」
「わかった、邪魔しちゃ悪いから僕はもう戻るよ」
「こっちが早く終わったら見に行きます」
「うん、マヤに伝えとく」
リリアーナはやはり真面目だ
おそらくそれほど苦労せず優勝できるだろうけど、油断はしていない
(まあ今年の条件で優勝できないと義母にめちゃくちゃ言われそうだしな・・・)
観客席にいるマヤの所に向かう
リリアーナの所にあまり長居しなかったため戻って来てもウィルの試合はまだだった
そしてマヤとだべりながら試合を見ているとようやくウィルの試合が始まった
予想通り相手はそんなに強くなかった
最初こそウィルは緊張でガチガチだったが相手の攻撃が思っていたより大したことなかったからか、体を動かしているうちにだんだん緊張がほぐれてきたようで、結果あっさり勝ってしまった
相手を場外に落としたウィルは『え?これで勝ちなの?』みたいな顔をしていた
その後ウィルは観客席にいる俺たちの元にやってきた
「おめでとう、ウィル君」
「あ、ありがとう」
「だから言ったろ?普通にやれば大丈夫って」
「うん、意外とあっけなかった」
「明日もこんなもんだと思うぞ、本番は三日目からかな多分」
その予想通りその後の俺の試合もあっさり勝つことができた
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そして大会二日目
一試合目にシード枠のアルベドの試合が行われた
だが対戦相手が弱かったため開始早々場外に飛ばされ実力はわからないままだった
「あの人も魔法主体に戦うのかな?」
「どうだろ?昨日の俺と一緒で『ブラスト』であっさり吹き飛ばしただけだし、何とも言えないな」
「う~ん、明日ぶっつけ本番になるのか」
「今日勝てればだけどな」
「昨日の試合見た感じだと多分大丈夫だと思うけど」
ウィルも余裕が出てきたみたいだ
今日のウィルの相手は昨日の二回戦の勝者
たしかに見ていた感じだと昨日ウィルが倒した相手より少し強いくらいだろうか
そうしてウィルは二回戦も危なげなく勝ち進んだ
次は俺の番だ
「この一年でどれくらい強くなったか見てやるよアレン」
「この時を待ってたぜ、去年の俺と思うなよルシオ!」
そして俺の二回戦目が始まった




