52 ウィルの試験
俺は今、職員室の近くのベンチに座りウィルを待っている
ウィルが特待生の試験を受けに王都までやってきているのだ
その付き添いでエドワードも来ている
試験の様子は俺も少し離れた所から見ていた
その後職員室にウィルとエドワードが入って行ってからしばらくたつ
おそらくだが合格していると思う
不合格なら『残念でした』と言われてすぐに帰ってくると思うからだ
多分中で入学手続きとかをしていて時間がかかっているのだと思う
そんなことを考えながら待つこと一時間
ウィルとエドワードが出てきた
「どうだった?」
「合格!ボクも特待生として入学できたよ!」
「やった!」
晴れてウィルもこの学園の生徒になることができた
まあウィルの実力を考えると当然だと思う、多分リリアーナより強いと思うし
ウィルの合格を母親のジリアンにも知らせるためローリスに帰る、転移魔法を使えば一瞬で帰れる
ウィルが王都まで来るのにも使ったが、やはり転移魔法は非常に便利だ
因みにリリアーナと一緒に魔法陣の小型化の研究だけは今も続けている
村に帰りウィルが合格したことを伝えるとジリアンは凄く喜んでいた
俺の家族みんながウィルの家に招待されて夜遅くまで宴会が開かれることになった
そして俺はウィルから学園について質問攻めにあった
「学園で説明は受けたけど、実際どういう風に授業受けるの?」
「毎日何かしらの授業をやってるんだよ。学園に入ってすぐとか職員室の横に掲示板があってそこに時間割が張り出されてるからそれ見るといいよ」
「ルシオは普段どんな授業受けてるの?」
「受けてないよ、転移魔法の研究が忙しかったし。転移魔法の授業もあるけど三日四日に一回くらいだからほとんど図書館で本読んで勉強してた。まあ最近はちょこちょこ気になる授業受けにいってるけど」
「独学で転移魔法使えるようになったってこと!?」
「独学ってわけではないかな、テディって先生が転移魔法に詳しいんだけど授業が無くても職員室に行って直接聞けば教えてくれるし、リリアーナって友達も協力してくれたから」
「あれすっごく便利だよね」
「だろ?真っ先に使えるようにして正解だった」
その後も寮での生活についてとか色々な質問に答えた
年に一度秋ごろに開催される大会のことも説明しておいた
ウィルも特待生だから強制参加になるので知っておいたほうがいいだろう
「ウィルは何か覚えたい魔法とかあるのか?」
「とりあえず上級までは一通り覚えたいかな」
「じゃあ訓練場使えるように申請しとくよ、近いうち一緒に練習しよう」
「うん、ありがと。でもルシオはもう全部使えるんじゃないの?」
少し前、ウィルが特待生の試験を受けるときのために俺が上級魔法を教えていた
その時すでに一通り使えることは話してあった
「使えるけどまだそんなに使い慣れてないから力加減とか覚えておきたいんだよ」
「なるほど」
「訓練場使えるならもっと実践的な戦闘訓練もできるしな」
「ほどほどにお願いします」
「ビシバシ行くから覚悟しとけよ!」
「え~」
口では嫌そうに言いながらも本心は少し楽しみなのだろう
まったく嫌そうに見えない
「特待生は大会に強制参加だから、どうせなら俺とウィルで優勝争いとかしたいだろ?」
「たしかに、ちょっと面白そうだね」
「だったら他の生徒に負けないように稽古しないと」
「うん、頑張るよ」
「今年の大会の時は俺たちは十歳だから、一つ二つ年上とあたることになるな。俺も年上の特待生は知らないから注意しておかないと」
「同い年の子は?」
「凄いのが一人いるぞ、セレナって女の子。女の子だからって甘く見てたら痛い目見るぞ」
「へ~、どういう子なの?」
「内包する魔力が馬鹿みたいに多いんだよその子、戦い方はシンプルなんだけどめちゃくちゃ強化魔法使うからすっごく速いし攻撃も重いんだ」
「うわ~、そういう相手ボク苦手だと思う」
「俺も得意ではないかな、シンプルだからこそ厄介でもあるし」
「その子とは戦ったの?」
「いや俺が準決勝で負けたからあたらなかった」
「ルシオが負けたの!?」
「まあわざとだけどな」
「ああ、だよね・・・ルシオより強い人が何人もいるのかと思ってびっくりした。でもなんでわざと負けなきゃいけなかったの?」
「まぁ色々あって・・・」
「ふ~ん」
そのことについてそれ以上の詮索はなかった
俺がぼかしたのでウィルは空気を読んでそれ以上聞いてこなかったんだと思う
(そういえばやり直してからセレナとはまだ一言も会話してないな)
リリアーナのために大会をやり直したので今回はセレナとは仲良くなれていない
まあセレナと仲良くなりたいなら正面から堂々と打ち勝てばいいだけなのだが
(次の大会でセレナとあたることになるかもしれないし、その時でいいか)
「なんにせよウィルも一緒となると学園での生活がもっと楽しくなるな」
「ボクもまたルシオと一緒に色々できると思うと楽しみだよ」
明日から何をしようか?
そんなことを考えながら楽しい夜は更けていった




