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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
学園編
49/300

49 王都の冬

季節はすっかり冬


外に出るのが億劫になるこの季節

俺は寒がりなので部屋から出たくなくなる

今も布団の中でゴロゴロしながら転移魔法について勉強している


決してさぼっているわけではない

転移魔法がいよいよ大詰めになってきたので完成に向けて煮詰めている状況だ



ここ何日かマヤとリリアーナにも会っていない

同じ男子寮にいるアレンと時々会うくらいだ


アレンは大会から少しおとなしくなった

俺と会っても絡んでくることがなくなったのだ

それどころか「普段どういう稽古しているのか」とか世間話をするようになった程だ


(アレンが俺のことを認めたって思っていいのかな?)


まあ負けず嫌いのアレンのことだ

今は嵐の前の静けさといったところかもしれないが




雪が積もるほど寒くなってからは図書館での勉強会も少なくなった

といっても二、三日俺が図書館に顔を出さないとマヤかリリアーナが男子寮の寮母さんに話をして俺を呼び出すので今でも週二回くらいのペースで勉強会は開かれている


リリアーナは最近「義母にこんなことを言われた」と俺に愚痴ることがある

良い傾向だと俺は思う

リリーのストレスの捌け口になれるならいくらでも付き合うつもりだ

一度そのままリリアーナに伝えたら

「あ!すいません・・・そんなつもりは全く無かったんですけど、ルシオ君相手だとつい・・・」

と無自覚だったのか恥ずかしそうに謝られた


マヤはいつも通り

俺がいないときも魔法の勉強はちゃんとやっているみたいで苦手だという割には成長が早い

今はリリアーナからも魔法を教わっているらしい

変なプライドを持たないので年下から教わることを恥とは思わないようだ

そのため吸収も早い





学園に入ってもうすぐ半年が経つ

この半年間、転移魔法の研究にほとんどの時間を割いている

魔力強化や筋トレは欠かさず毎日しているが、転移魔法以外の勉強はほぼやっていない

だがその甲斐あっていよいよ完成間近となった

講師であるテディも「これならきっと大丈夫」と言ってくれた


後は図書館で見つけた王都周辺の地図から算出した距離が正しければ、寮の自分の部屋と実家の自分の部屋の両方に魔法陣をつくればいつでも行き来ができるようになるだろう


ただ一つ問題がある、魔法陣の大きさだ

現在の知識で魔法陣をつくると縦横3メートルほどの大きさになる、四畳半くらいの大きさだろうか

ローリスの家の自分の部屋は現在荷物が殆ど無い状態なので、いっそ魔法陣のための部屋にしても大丈夫だろうが寮の部屋となるとそうもいかない

そもそも風呂やトイレが共同で食堂もある、なので部屋自体はあまり大きくない


(ここに魔法陣つくると部屋の荷物も一緒に転送しちゃうかな)


部屋が六畳くらいの広さなので四畳半サイズの魔法陣をつくると寝るところすら確保できなくなる

なので今は魔法陣の小型化に向けて勉強しているところだ

目標は半分以下のサイズ


(春までにはある程度形にしないとな)


春が来たらローリスに魔法陣をつくりに一度帰省するつもりだ

それまでにできるだけ小型化しておきたい






そして転移魔法陣を研究しているときにふと思ったことがある


『転移魔法の無詠唱は可能なのか?』ということ


この世界の魔法は仕組みを理解していれば無詠唱で魔法を使うことが可能になる

「転移魔法も例外ではないのでは?」と、ふと思った


つまりはテレポーテーションだ




転移魔法は詠唱の代わりに魔法陣を用いる

魔法陣は他にも攻撃魔法用の魔法陣等もあり、魔力を込めると発動する仕組みになっている

魔法を使えない人でも必要な魔力を込めることができれば魔法を使うことができるのだ


魔法陣はいわば詠唱の代わりのようなものではないのか?

ならば魔法陣を使う魔法も無詠唱、つまりは魔法陣無しでも使うことは可能なのではないか?

という疑問が生まれた


いつでも行きたいところに瞬間移動できる

そんなことができたら便利なんてレベルの話ではなくなる


(あ~夢が広がる)


とはいっても転移魔法陣すらまともにつくったことのない俺にとって、まだまだ先の話だ




「ルシオく~ん、お客さんよー」

「あ、はーい」


色々考え事をしていると寮母のアニーが扉を叩いた


「今日はマヤちゃんよ、下で待ってるからね」

「はい、いつもすみません。ありがとうございます」

「いいのよ。それより寒いんだからあんまり女の子待たせちゃ駄目よ」

「はーい」


アニーはどこかアリシアと雰囲気が似ている

アニーが寮母でみんなのお母さんだからだろうか?

落ち着くというか安心する


男子寮だけでも数百人の生徒がいて毎日かなりの仕事量なはずなのに、疲れた顔を一切見せずいつも笑顔でいる


一度風邪をひいて寝込んだことがあったのだが

アニーは忙しいのにちょくちょく様子を見に来てくれた

前世で一人暮らししていた時も体調を崩した時だけは人恋しくなったりしたものだ


それ以来俺のアニーに対する信頼は急上昇だ

暇なときは時々寮の仕事を手伝ったりもしている

なのでアニーだけでなく寮で働いている他の人とも顔見知りになっている

食堂でご飯を食べるときおまけをつけてくれたりするのでありがたい




「う~さぶっ・・・お待たせマヤ」

「またゴロゴロしてたの?」

「人聞きが悪いよその言い方、ちゃんと勉強してました」

「でもゴロゴロしながらなんでしょ?」

「・・・・うん」

「ほら」

「だって寒いんだもん」

「図書館は暖かいわよ?」

「図書館までの道のりが寒いの」

「なら走っていく?少しはあったまるんじゃない?」

「やだよ、体が暖まる前に耳とか凍っちゃう」

「じゃあいつものやって」

「はいはい」


去年の冬に開発した防寒魔法を使う


「ほらもっとこっち寄って」

「う、うん」


二人同時に使うのはまだ難しいので体を寄せ合って大き目に一人分魔法を使う

肩と肩をくっつけながら歩く


「ほんとにこれ便利よね、こんな魔法使えるのにどうして部屋から出たがらないの?」

「生物としての本能が冬眠したがってるのかも」

「獣じゃないんだから」

「ところでリリアーナもいるの?」

「いるわよ、先に勉強してる」

「偉いな~二人とも」

「いちいちルシオを呼びに行くの面倒だから真面目に来なさいよ」

「この前行ったら二人とも居なかったけど」

「・・・・多分リリアーナと一緒にアタシの部屋で勉強してた日ね」

「いいよね二人は部屋でも一緒に勉強できるし、僕は勉強してるのに文句言われるし」

「文句なんか!ちょっとしか言ってないでしょ・・」

「ちょっと言ったことは認めるんだ」


図書館までの道のり

マヤと冗談を言い合いながら歩く

くっついているから歩きにくいのかマヤの足取りはいつもよりゆっくりだった


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