48 転移魔法
いつもの日常
いつもの図書館での風景
ただいつもと違うのはリリアーナが一緒というところ
「つまりここはこういうことでは?」
「あ、なるほど。やっぱリリーって頭いいな」
「ルシオ君ほどではないですよ」
「またまた~、リリーのおかげで研究が捗って助かるよ。ホントありがとう」
「いえ、転移魔法は少し興味があったので」
「何かリリーが手伝ってほしいことがあったら言ってね、僕も何かお返ししたいし」
「気にしないでください、それにルシオ君に何かしてもらうと私ばかり助けてもらうことになるので」
「なんで?上級魔法教えてもらったし、転移魔法の研究手伝ってもらってるし、僕の方が色々してもらってると思うけど?」
「上級魔法は私が教えなくてもほとんど使えたじゃないですか、あんなの教えたことになりません」
「そういうもんかね」
「そういうもんです」
「ねぇ、何の話?」
一人蚊帳の外になっていたマヤが話に割り込んできた
マヤは天啓のことを知らないので大会での出来事を説明するのが難しい
別にマヤには村で神子と呼ばれていることを説明してもいいのだが
リリアーナにわざと負けたこと、それが結果的にリリアーナにとって良い結果になったこと
そのお礼として上級魔法を教えてもらったことを簡単に説明した
「ふ~ん」
「今まではマヤさんとルシオ君の二人でやってたんですか?」
「うん」
「そうよ、といってもリリアーナと違ってアタシは教えてもらってばかりだけど」
「マヤさんも転移魔法の研究を?」
「ううん、アタシはそんな難しい本全くわからないわ」
「へ~・・・あ、今は中級魔法を勉強してるんですね」
リリアーナがマヤの前にある魔導書を見て言う
現在マヤは初級魔法を覚えたので中級魔法の勉強をしている
攻撃魔法の無詠唱は今のところ一つもできない
因みに魔法障壁はつくれるようになった、あまり得意ではないようだけど
「中級になると一気に難しくなるわね」
「やっぱりマヤは得意な治癒魔法優先で勉強した方が良いと思うけどな~」
「え!?マヤさんって治癒魔法が得意なんですか?凄いです!」
「そ、そうでもないわよ」
「私治癒魔法はどうも苦手で・・・一応使えるんですけど効率が凄く悪くて魔力の消費が酷いことになるんですよ」
「それはわかる」
俺も治癒魔法は得意ではない
魔力の消耗が激しすぎる
マヤは本能的にどこにどうやって魔力を流せばいいのか理解できるようで、治癒魔法に関しては俺より遥かに上手だ
リリアーナに褒められてマヤは機嫌が良さそうだ
セレナが居た時とは大違いで少し安心した
リリアーナはなんというか年上から可愛がられるオーラがある
謙虚で人のいいところを素直に褒めることができる性格なのだろう
なにかしてあげたくなる気分にさせる子だ
メンバーが増えたことで会話が増え少し賑やかになった
それでも研究の効率は上がった
頭の良いリリアーナが手伝ってくれるのがとても大きい
俺が理解に時間のかかるところをリリアーナが先に理解してわかりやすく教えてくれたりする
学校に入ってからそろそろ三ヶ月が経つ
マヤとリリアーナが居るので寂しくはないが
早く転移魔法陣をつくれるようにならないとそろそろ家族が恋しくなってきた
リリアーナと仲良くなってからは特にマルクとアリスに会いたい
(元気にしてるかな?ふたりとも)
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一か月後
転移魔法についてわからないところを講師に聞くため職員室に行った帰り
リリアーナと二人で近くの椅子に座り休憩中
因みに転移魔法の先生はテディという
「ってことはここに転移先を刻んで、こっちが現在地。ってことは大体の距離も分かってないといけないのか・・・」
「やっぱり結構面倒ですね」
「魔法陣って古代文字で刻まないと使えないのかな?全部覚えるの大変だな~」
研究はだいぶ進んでいる
そろそろ魔法陣を試作してみようと思ったので魔法陣に必要な情報を整理するためテディに話を聞いた
イメージとしては現在地を入力してそこを0点とする
そこからX軸とY軸にどれくらい移動するかを入力
そして移動先に現在地と同じパスワードを入力した魔法陣を用意しておく
これで魔法陣同士が繋がるといった感じだ
「問題は移動距離かな、正確な地図でもあればいいんだけど」
「そうですね」
「あれ?リリー?」
リリアーナと二人で話していると声をかけられた、聞き覚えのある声だ
「あ、お姉ちゃん」
「そっちの子は彼氏?」
「はい」「違います!」
「あははっ、面白い子ね。君がルシオ君?」
「はい。レイラさんですよね?」
やり直してからは会うのが初めてなので知らなかったふりをする
「そうよ、リリーから聞いてた?」
「はい、僕のこと知ってたみたいですけどそちらも?」
「リリーから聞いてるわよ、友達ができたって嬉しそうに話してくれたわ」
「お姉ちゃん、なにも本人の前で言わなくても・・・」
「ほほ~う」
リリアーナの方を見ると照れているのか少し顔を赤くしていた
(本当にリリーは可愛いな~)
「何してたの?」
「転移魔法についてテディ先生に話を聞いていたんです」
「リリーから聞いてたけどホントに転移魔法の勉強してるのね。ルシオ君って年少でしょ?今何歳?」
「九歳ですけど」
「九歳で転移魔法か・・・リリーの言ってた通り凄い子ね君」
「それほどでもないですけど。へぇ~リリーが家ではそんなことを・・・」
「・・・・」
俺がニヤニヤしながらリリアーナの方を見ると顔を背けられた
耳まで赤くなっている
(否定しないとこがまた萌えるな)
リリアーナの反応が可愛いのでついからかいたくなってしまう
「レイラさんのこともリリーから聞いてますよ。凄く優秀でかっこいいお姉さんだって」
「あらあら」
レイラも嬉しいのかニヤニヤしながらリリアーナを見る
俺とレイラの視線に挟まれてリリアーナは下を向いてしまった
(別に嘘はついてないんだけど、ちょっとからかいすぎたかな)
「私も何か手伝えたらいいんだけど、転移魔法については全く知識がないから力にはなれないわね」
レイラも同じことを思ったのか話題を変えてくれた
「気にしないでください、リリーのおかげもあってなんとかなりそうですから」
「そう、それじゃあ私はもう行くわね」
「はい」
「二人っきりの邪魔してごめんね」
「お姉ちゃん、もういいですから早く行ってください」
「はいはい、ごめんね。またねルシオ君」
「いいお姉さんだね」
「普段はああなんです、戦ってるときとか凄くかっこいいんですけど」
「僕はああいう感じも好きだよ?」
腹違いでも姉妹は姉妹か
仲がいいのは良いことだ
「さて図書館に行こうか、マヤが待ってるかもしれない」
「はい」
図書館に行き、また三人でいつもの勉強会
転移魔法陣もいよいよ大詰めだ




