44 貴族の姉妹
翌日リリアーナとアレンを探すことになった
マヤとセレナも手伝ってくれることになったので手分けして探すことにした
まずは寮に入っているアレンの所に行ってみる
寮の管理人に話をしてアレンの部屋を聞く
(ここだな)
扉をノックしても誰も出てこない
(いないのかな?)
寝ているだけの可能性もあるのでしばらくノックを続けていたら隣の部屋から人が出てきた
「うるさいな~、何かあったのか?」
「あ、ごめんなさい。ここって特待生のアレンの部屋ですよね?」
「そうだけど、多分まだ帰ってないと思うよ?」
「どこに行ったのか知ってるんですか?」
「正確には知らないけど、多分街の外れの訓練場辺りだと思うよ。二、三日前だったかな?色々荷物持って出てきたところに鉢合わせたから、『どこ行くんだ?』って聞いたら、『修行』ってだけ言って出て行ったから」
「あ、そうなんですか・・・わかりました、迷惑かけてごめんなさい」
「いや、別にいいよ」
(とりあえずアレンは大丈夫そうだ)
たしかにリリアーナと違ってアレンには落ち込んで逃げ出すような印象は一切持てない
セレナに負けて悔しいから修行に行ったというのなら納得がいく
(う~ん、とりあえずレイラかマヤかセレナと合流した方がいいかな?)
俺が女子寮に入って聞き込みしてると白い目で見られるかもしれない
女の子のことは女の子に頼む方が良い
学園をウロウロしているとちょうど大会の会場からレイラが飛び出してきたのが見えた
「レイラさーーん!」
「あ、ルシオ君。どうしたの?リリアーナ見つかった?」
「いえ、朝から僕たちも探してるんですけど・・・」
「そう、ありがとう。何か手掛かりがつかめたら教えて?」
「あの、それなんですけど。レイラさんは何か心当たりないんですか?」
「・・・・ないこともないんだけどね。でも、だからってリリアーナがどこに行ったのか見当もつかないの」
「差支えなければ教えてもらえませんか?」
「ん~~と・・・・・・・リリアーナはね、私の腹違いの妹なの。リリアーナの本当のお母さんはもう亡くなってるのよ・・・」
レイラはリリアーナの身の上を話してくれた
リリアーナはレイラの父とメイドの子供らしい
レイラは王都の上流貴族の家系で、父はここ王都でかなりの権力を持っている人だったそうだ
だったと過去形なのはレイラの父が半年ほど前に病気ですでに亡くなってしまっているからだ
貴族なら普通なのかもしれないがレイラの父には妾が何人かいたようで、そのうえ屋敷で雇っていたメイドにも手をつけていたかなりの女好きだったようだ
幸いというか、妾には子供ができずにいたので本妻であるレイラの母も最初はおとなしかったのだが
メイドとの間に子供ができたためメイドが第二婦人になることになった
それをレイラの母は快く思っておらず、何かあるとリリアーナとリリアーナの母をいびっていたらしい
そしてリリアーナの母はリリアーナがまだ赤ん坊の頃に病死してしまった
それからというものリリアーナは義母に「優秀なレイラと違いお前は出来損ないだ!お前には穢れた淫売の血が流れている!」等と罵られることが増えたらしい
レイラの父がいた間はまだリリアーナの味方もいたそうだが、他界してしまい今ではリリアーナの味方はレイラだけになってしまったそうだ
(話を聞く限りリリアーナの母さんの病死ってのも怪しいもんだな)
「私は卒業が近いから色々忙しくなってね、最近は家に帰れないこともあるんだ。だから家でリリアーナが母様に何を言われているのかわからないの。リリアーナに聞いても『何もない、大丈夫』っていうだけだし・・・リリアーナが居なくなったことを母様に問いただしても、なにも知らないと白を切られてしまって手掛かりを掴めなくて・・・」
「そうだったんですか・・・」
「腹違いでも私にとっては可愛い妹なのよ。それにリリアーナは私より魔法の才能がある・・・決して出来損ないなんかじゃない。特待生にだってなれたのに、それを母様は・・・きっと私が試合で離れられない間にリリアーナに何か言ったんだ・・・」
「僕にも弟と妹がいるんで、どれほど可愛いかよくわかります」
(レイラの言う通りそんなところだろう、よっぽど酷いことを言われてリリアーナの心が耐えられなくなったのかもしれない。それで一人で・・・)
「レイラさん・・・僕が何とかします」
「何とかって、リリアーナがどこに居るのか知っているの?」
「今リリアーナがどこに居るかは知りませんけど僕なら会うことができるので」
「どういうことなの?」
「内緒です」
_______
Loadしますか?
►はい/いいえ
_______
「さて・・・」
これで三日前の準決勝の日の朝に戻ってるはずだ
(う~ん、どうしようかな~。リリアーナに勝った後やっぱり声をかけるべきだったのかな?とりあえずリリアーナから目を離さないようにしないといけないか)
会場に向かうと前と同じようにリリアーナがすでに居た
「リリアーナ」
「ひゃっ!あ・・・ルシオ君」
「大丈夫?緊張してる?」
「はい、いえ、あの、えっと・・・」
「ははっ、緊張しまくりだね」
「あの、すいません・・・」
「なんで謝るのさ?昨日の試合見てたよ、リリアーナもなかなかやるね。土魔法が得意なの?」
「いえ、ルシオ君ほどじゃないです・・・あ、はい土魔法が一番得意ですね」
「・・・・えっと一つ聞いてもいい?」
「はい、なんでしょう?」
「僕って怖い?」
「え?どうしてですか?」
「目を逸らされるから」
「あ!いえ、その・・・すいません、癖みたいなものです」
「ふ~ん」
「すいません・・・」
(なんか、昔クラスにこういう女の子居たな~)
きっと目を合わせるのが苦手なのは自分に自信がないのと、義母が原因なのか人の視線が怖いんだろう
(う~ん・・・荒療治でも試してみようかな)
そう思い両掌でリリアーナのほっぺを挟んでこっちを向かせる
「リリアーナ。自信をもって」
「ひゃいっ!」
(凄い!一瞬で顔が真っ赤になった)
「リリアーナは特待生になれるくらい凄い魔法の才能があるんだから。昨日だってあんなに体の大きな男の子に勝っちゃったじゃん」
「あ、あうぅ」
ショートしそうな勢いで顔の熱が上がったので手を離す
「ごめんねっ。でも僕、特待生と試合するの始めてだからワクワクしてさ。いい勝負しようねー」
「は、はい!頑張りまひゅっ!」
まだてんぱっているのか語尾を噛んでいた
少しやりすぎてしまったかな?
手を振りながらリリアーナから離れる
(ははっ、やっぱリリアーナって可愛いな。なんというか妹的な可愛さだな。自然と力になってあげたくなる魅力がある。さて、とりあえずこれでどう変わるのか様子見かな)
そして二度目のリリアーナとの試合が始まる




