40 九歳の大会 壱
ヴァイスの話によると大会にはいくつかの目的があるそうだ
1.生徒同士を戦わせることで競い合わせ、生徒の成長を促す
2.お抱えの騎士や魔導士を雇いたい国や貴族にたいしてのお披露目
3.学園の宣伝
それらの理由の為に一般の人も観戦できるようで、かなり大々的なイベントになるらしい
そして学園で開かれる大会は三種類あるようだ
まず一つ目に年齢別のトーナメント
これは9歳以下の部、10~12歳の部、13~15歳の部と別れている
それぞれ歳の近い人と競うため実力が拮抗しやすくなるらしい
そして二つ目はチームを組んでの模擬戦
四人一組でチームを組み大規模な戦いが繰り広げられる
最後に三つ目、完全無差別の個人戦
これは年齢等を一切無視した誰でも出られる個人戦
基本的に優勝は15歳の卒業間近の生徒が多いのだが、過去に10歳の生徒が優勝したこともあるらしい
そしてこれら三つのトーナメントは開催日時がずれているため全てに参加することもできる
過去に三つ全てで優勝という偉業を達成した生徒もいたそうだ
これらを約一か月かけて行うらしい
特待生は特別な理由がなければ出場しなくてはいけない
一応転移魔法の研究が忙しいと言ってみたが却下された
どれか一つに出場すればいいのだが、チーム戦は仲間がいないし無差別級は年長の本当に強い人が大勢出場するそうなので、とりあえず年齢別に出ることにした
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そんなこんなで大会初日
九歳以下の部は特待生が四人、それ以外の出場者はあまり多くない
生徒自体はたくさんいるのだが普通の生徒は自由参加となっている
結構消極的な子が多いみたいだ
そのため全部で24名しかいない
特待生はシード枠になるようで、俺は一回戦をシードで抜けられる
四回勝てば優勝できるみたいだ
順調にいけば優勝戦でアレンと当たりそうだが
あとの二人の特待生が気になる
俺は他の特待生に会ったことがない
実は会ったことがあるのかもしれないが、この子が特待生ですと紹介されたことはないので顔を知らない
アレンはどこから聞きつけたのか向こうからやってきた
特待生がシード枠なので準決勝でアレン以外のどちらかと当たることになるかもしれない
一回戦の行われる一日目
特待生の試合は無いので暇だ
一応視察しておこうと思って会場に行ったが正直レベルはかなり低かった
(まあ九歳以下の子供ならこんなものだろう)
特待生と当たる準決勝までは消化試合になる気がしたので午後からは図書館に向かい転移魔法の勉強に戻った
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二回戦の行われる二日目
俺はその日の一回戦に出ることになった
結果は、まあ圧勝だった
試合は円形の舞台で行われ、戦闘不能・降参・場外のどれかで負けとなる
大きさは25メートル四方くらいだろうか、結構広い
因みにすぐ隣で行われている年長の部の舞台は更に大きい
魔法を使用した際、観客席等に被害がでないよう舞台を包むように結界が施されているみたいだ
一回戦の相手はジムという男の子
とりあえず最初は相手の出方を見ようと思っていた
するとジムは初級魔法を連続で打ってきた、連続と言っても無詠唱ではなかったので魔法障壁で簡単に防げたが
ジムは魔法障壁を初めて見たようでかなり驚いていた
火も水も土も風もすべての初級魔法を何度もジムは試したが、どれも簡単に防がれたことに戦意喪失したようであっさり降参してくれた
(どうやって場外にしようか悩んでたからちょっと助かったな)
マヤが応援に来ていたみたいだがあまりに実力に差があるため退屈だったようだ
特待生の試合がちょっと気になるが、間に他の試合が挟まるため時間が惜しくなりその後はマヤと一緒に図書館で勉強することにした
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大会三日目
この日も最初の試合に出場
相手はネイハムという男の子、どうやら戦士タイプのようで切れないレプリカの剣を持っていた
どうやらネイハムは昨日の俺の試合を見ていたようで警戒して攻めて来なかった
にらみ合ったままどちらも動かない
(アレンほどではないだろうけど同じ年頃の剣士の動きを見ておきたかったな・・・ま、いいか)
警戒したまま一向に攻めて来ないので風中級『ブラスト』でネイハムを場外に吹っ飛ばした
ネイハムにとっては情けない負け方だと思うけど攻めて来ないのだからしょうがない
「勝者、ルシオ!」
勝ちを宣言され舞台から降りるとき視線を感じた
視線を感じた方を見てみると女の子が俺のことをジーっと見ている
(次に当たる子かな?・・・あれ?次ってもう準決勝か。それじゃもしかしてあの子が)
目が合っても相変わらず俺のことを見つめてくる
それなのに横を通り過ぎても何も言ってこなかった
(ん?なんだったんだ?)
女の子は腰くらいまである長い髪を先端だけ結んでいて、武器だろうか?メイスのようなものを両手で持っていた
出場選手も少なくなってきたので明日当たる相手の試合を見るために観客席にいるマヤの所に向かう
すると予想通り次の試合にさっきの女の子が出てきた
「やっぱりあの子が特待生なのかな?マヤは何か知ってる?」
「ううん、年少の特待生はルシオとあのバカしか知らないわ」
「ははっ、アレンが聞いたら暴れだしそう」
さっきの女の子の相手は体の大きな太った男の子だった
(この男の子が特待生の可能性もあるのか)
そして試合が始まる
いきなり太った男の子が女の子に向かって走り出した
場外につき飛ばそうとでも思ったのだろうか?しかし女の子は驚きながらも目の前に石の壁を作って防いだ、石の壁に男の子が勢いよくぶつかる
(無詠唱だったよな今の、それにかなりの速さだ・・・)
広いとは言っても舞台は25メートル程度で開始時のお互いの距離は15メートルくらいしかない
子供でも強化魔法を使って走ったら二、三秒で詰められる
それを反応してから防いだ、魔法を実体化させる速度はなかなかのものだ
(やっぱりあの女の子が特待生なのかな、魔導士か)
いきなり現れた石の壁に激突して少しフラフラしているが男の子はまだ諦めていない
逆に石の壁を利用して姿を隠しながら攻め方を考えている様子だ
しかし女の子が『ロックピラー』を使うと同時に壁を消したため、男の子はまともに石の柱に突き飛ばされることになった
そしてそのまま場外まで吹っ飛ぶ
「勝者、リリアーナ!」
「あの子が特待生みたいだね、リリアーナっていうのか」
「ルシオの方が強いわね!」
「わかんないよ?あれで全力じゃないだろうし」
「ルシオなんか一割も力出してないでしょ?ルシオの方が強いわよ!」
「まあ確かに負ける気はしないけど・・・ん?」
リリアーナが帰る前に俺の方をチラッと見た
不安そうな顔をしている
リリアーナも俺の実力がわからず心配なのだろうか?
(ま、なるようになるか)
その後は図書館に行き勉強を再開した
アレンはどうせ勝ち上がると思うので試合は見ない
ちょっとだけ明日が楽しみだった




