39 学園生活
学園に入学して早一月が経った
この学校は年齢で大まかに区別されているが学年のようなものはない
15歳までならいつからでも入れるし、いつ辞めても構わない
そのため学年もクラスもない、個人主義だ
授業は常に開かれていて、自分の受けたい講義を選んで受けることができる
学園内に教室がいくつもありその中で火・水・土・風の基本的な四元素の魔法はもちろん、他にも複合魔法や転移魔法等の毛色の違う魔法の講義を常に行っている
更に難易度別に授業がわかれているため、同じ火魔法だけでも一日に五種類くらい講義が行われている
といっても転移魔法のような学生に需要が少ない授業は三日に一度だけのように頻度は少なくなる
だが授業を行っていなくても講師に直接聞きにいけば教えてくれるので何も問題はない
そして魔法だけではなく戦士を育成するための授業もある
こちらは訓練場で実戦訓練などをしているところをチラッと見たことがある程度なのであまり知らない
受けたことはないが座学もあるのだろうか?
俺は四元素の魔法も、その複合魔法も大抵使えるので急いで覚える必要がない
そのため当初の予定通り入学してからずっと転移魔法についての勉強をしている
今も図書館で転移魔法についての本を何冊か広げ読みふけっているところだ
「ねえルシオ、これってどういうこと?」
「ん?・・・えっとそれはね・・・」
因みにマヤとの再会も果たした
マヤは隣で初級魔法の魔導書を読んで勉強している
講義を受けるより俺に教わる方がわかりやすいそうだ
最初は転移魔法を勉強する俺の邪魔をしないようにおとなしくしていたのだが、集中している俺があまりに構ってくれないからか今ではちょくちょく質問してくるようになった
「なるほど・・・ありがとうルシオ。そっちはどう?」
「うん、順調だよ。使えるようになったらテッドさんのところにいつでも帰れるようになるね」
「アタシは別に・・・もう寂しくないもの」
「ははっ、まあいざって時にすぐ帰れるようにしておけば便利でしょ?」
「それはそうね」
休憩がてらマヤとおしゃべりをしていると
「おい!ルシオ、やっぱりここにいたのか。また女とイチャイチャしてるのか?」
「ん?あ~、アレンか・・・そうだよ、邪魔しないでくれる?ってか図書館なんだから静かにしろよ」
声をかけられた
図書館にいるというのにうるさい奴だ
こいつの名前はアレン。「アレン・スペンサー」
ウェルクシュタットで会ったアシェルの腹違いの弟らしい
なんでもスペンサー家は初代が剣で名を上げた家系のようで、現在も主に剣士の家系らしい
アシェルと少し歳は離れているが、アレンの方がすでに何倍も強い
訓練しているところを少し見学したことがあるが
大人顔負けというか、剣に関しては確かに天才だと思う。剣で特待生になるだけのことはある
しかし子供の頃から下手に大人より強いせいで性格はちょっと難あり、簡単に言うと傍若無人だ
好青年のアシェルとは兄弟だが全然似ていない
因みに特待生はこの大きな学園の中にたった30人ほどしかいない
十歳未満の特待生となると俺とアレンを含めてもたったの4人だ
そのためアレンは特待生として入った俺に興味があるようで入学してからやたら絡んでくる
「はぁ~~」
マヤがわざと聞こえるように大きな溜息をついた
最初こそアレンにからかわれて「イチャイチャなんてしてないわよ!」とかむきになっていたが
俺がアレンの相手をまともにしていないのを見てからは同じようにアレンを見るたび面倒くさそうにしている
こういうタイプはむきになって相手をしてやると調子に乗る
かるくあしらう程度でいいんだ
(っていうか正直俺も鬱陶しい)
アレンを無視して本に目を向けるとアレンが肩を掴んできた
「来月あるトーナメントにお前も出るよな!」
「は?」
「毎年秋になったら開催される大会のことよ。ルシオは入ったばかりだから知らない?」
「女はだまってろ」
「なっ!・・・」
「図書館で喧嘩すんなアレン。大会って何のこと?マヤ」
「べ~~」
アレンを無視してマヤの方を向く
マヤはアレンに向かってあっかんべぇしていた、そしてそれを俺に見られて恥ずかしそうにしている
非常に可愛い
「・・・えっとね毎年秋になったら学園内でトーナメント形式の大会が開かれるの。学園で一番強い人を決める大会よ」
「へぇ~」
「お前も出ろ!ルシオ」
「それで?優勝したら何かもらえるとか?」
「チッ」
アレンを無視してマヤに聞く
「あ~、どうなのかしら?興味もなかったしそこまでは知らないわ」
「ふ~ん」
「優勝したら名誉が得られる!それで十分だろ!お前も出るんだ、俺と戦え!」
「要するに優勝賞品は無いってことか・・・」
(う~ん・・・正直興味は凄くあるけど、なんかこいつの言う通りにするのって癪だな)
「俺はいいや、魔法の研究で忙しいし」
「あぁ?ふざけんな!」
「ふざけてるのはアレンの方だろ、図書館で喚くな」
「・・・言っとくが特待生は半強制的に出場だからな、特別な理由がない限り欠場はできないぞ」
「あ、そうなんだ。わかったわかった」
「・・・・・大会で当たったらボッコボコにしてやる」
苛立ちながらアレンが図書館から出て行った
「は~、ほんと面倒くさいなあいつ・・・」
「ほんといつも邪魔ばっかりしてきて・・・大変ねルシオ」
「ん~、でもアレンの気持ちもちょっとだけわかるんだよな~」
「え?」
同年代に自分と同レベルの相手がいない悩み
ああいうタイプにとって好敵手がいないのはさぞ退屈だろう
「まあ鬱陶しいことに違いはないけど。それより特待生は強制なんだね、なんにも聞いてないや」
「大会は学園の宣伝のためでもあるから優秀な特待生には出てもらわないと困るんじゃないかしら?」
「そういうことか」
「応援しに見に行くわね!」
「うん、頑張ってみる」
(一応ヴァイスあたりに確認しといてみようか。まあ良い息抜きになるだろ)
嵐が去ったのでまた勉強に戻ることにした




