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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
第二の人生
37/300

37 親友へ -ウィルフレッドー

「次で終わりかな?」


ルシオが余裕そうに言う


ボクだってルシオに勝てるなんて思ってない


(でも・・・一回くらい、せめて一回ルシオからダウンを取りたい)


ここから逆転できるとはとても思えない

きっとルシオはまだまだ本気じゃない


だからこの一本に全力を、魔力を出し切って

ルシオに一泡吹かせてやる


(ボクだってルシオに魔力強化のやり方を教わってからは、まあ毎日じゃないけど頻繁にやっていたんだ。ボクだってそれなりに魔力は増えてるはず、それをこの一回に全部使うつもりでやれば・・・)


でもそれだけじゃ駄目だ

なにか工夫をしないと

真っ向勝負ではルシオに力負けする

なにかルシオがあっと驚くようなことをやってのけないといけない


(どうしよう・・・なにかルシオの不意をつけるような・・・)


火魔法か土魔法が使えるなら何か作戦が思いつくかもしれないけどそれはルール違反だ

ルシオが火魔法とか土魔法を禁止にしたのはきっとボクが怪我をしないようにだと思う

なんでもありだとルシオがボクに負けるわけがない

ルールをつけた時点でルシオはボクに手加減してくれていることになる


それはちょっとだけ癪だけど、怪我をしないようにというルシオの優しさだと思う

だからルール違反をして1ダウン取るのはあり得ない


(ボクって意外と負けず嫌いだったんだ・・・)


こんな気持ちになるなんて自分自身想像していなかった

ルシオに少しでも追いつきたいとはしょっちゅう思っていたけど

ルシオに勝ちたい、なんて思ったことがなかった

それくらいルシオは凄い


「三本目、行くぞ!」


まだ考えがまとまっていない状態でルシオが三本目開始の合図を出した


(うまくいくかわからないけど、やるしかない!)


合図と同時に水魔法で辺り一面に濃い霧をつくる

一本目にルシオがやった戦法だ

でもボクは風魔法が苦手だからルシオみたいに上手に霧を留めておけない

だから霧が散らないように大きなシャボン玉をつくるイメージで水魔法で膜をつくる

その中にめいっぱい霧をつくった


ルシオの言う通りボクが苦手なことでルシオに勝てるわけがない

だったら得意なことで勝負するだけだ


「目くらましか、こんなもの!」


ルシオが風魔法を使って霧を吹き飛ばそうとする

しかし霧は多少飛びはしても水の膜の中にあるのでまた循環する

吹き飛ばしてもまたルシオはすぐに霧に包まれた

膜を割られないように集中するのが大変だ


「はぁ?チッ、鬱陶しいな」


ルシオは霧を飛ばすのをやめたようだ

そのかわり動かなくなり辺りを警戒している


だけどその時点で既にボクの作戦はほぼ完成していた


「は?・・・魔法障壁か?へぇ~、こういう使い方もあるのか・・・」


霧で見えないはずなのできっと目に魔力を込めて魔力そのものを見ているんだろう

ルシオが言うように魔法障壁がルシオの前方にある

縦長に、まるで人間がそこに立っているような形で魔力障壁を4枚作った

ルシオは霧で視界が悪いうえに魔力だけがぼんやり見えている状態なはずなので4つのどれかがボクだと考えていると思う、そう願う


しかし実際のボクの位置はルシオの頭上

霧をつくり目くらましをした時点で高く飛びルシオの真上に魔法障壁を足場にして留まっている

視界を悪くして魔力障壁をデコイに使いルシオの注意をひく


(上手くいってるよね?これ・・・)


自分も目に魔力を込めてルシオの様子を見る

ルシオはデコイの方を向いていると思う、ぼんやりとしか見えないので多分だけど


そう考えているとルシオがデコイに向けて『ウォーターボール』を放った


(今だ!)


上手くルシオが作戦に嵌ってくれた

残っているすべての魔力を強化魔法に使い頭上からルシオに飛び掛かる


「一本目のお返しだ!」

「なっ!?」


ルシオにしがみつき自分諸共倒れこむ


「いてて・・・へへっ、これでボクが1ダウン取ったよね!」

「・・・・・ああ」


ルシオは何が起こったのかよくわかっていないみたいで目をぱちくりさせている


「やったーーーーー!」


立ち上がり天高く拳を突き上げる

まるで勝負に勝ったように

実際はまだ一本取っただけだ

余裕をこいて油断しているルシオに奇襲をかけてようやく取れた一本


それでもボクにとっては勝利に等しい一本




「・・・・そういうことか」


さすがルシオ、ボクが何をやったのかもう理解したみたいだ


「油断してたルシオが悪いんだよね?」

「む・・・言うようになったなウィル・・・」

「へへっ」

「目くらましで視界が悪い状態だとああいう使い方もあるんだな・・・勉強になったよ。次は負けない」



ルシオの目つきが真剣になる


(やった!一泡吹かせてやった!)


魔力もほとんど使いきってしまった

多分次でルシオの勝ちが決まるだろう

でもそれでいい、目標は果たせた


(まあできるだけの抵抗はするつもりだけど)


「四本目、準備はいいか?」

「うん、いつでもいいよ」

「・・・・行くぞ」


一瞬でルシオが左手に大きな『ウォーターボール』をつくり出しそれを放ってきた

残っている魔力で魔法障壁をつくろうとほんの少し右に目を向けた瞬間ルシオの足元が爆発した


「はい、俺の勝ち」

「・・・・へっ?」


次の瞬間ボクは空を見上げていた


多分さっきのルシオと同じ顔をしていると思う

何が起こったのか全くわからなかった


「え?・・・何やったの?」

「何って、ただウィルの注意を逸らしながら強化魔法を全力で使っただけだよ。んで後ろに回り込んで引っ張っただけ」


そう言われてルシオが立っていた所を見ると地面が大きくえぐれていた

さっき見た爆発は強化魔法を使ったルシオの踏み込みで土が跳ね上がったのがそう見えたんだろう


(とてもボクには真似できないや・・・)


「もう魔力ほとんど残ってないんだろ?ウィルが全力出してくれたから俺も本気出してみた」

「本気って・・・」


本気を出したと言ってもボクと違いルシオは瞬発的なもので、まだまだ余力たっぷりだ


「わかってたことだけど、やっぱりかなわないな~」

「努力の量が違うもん!ウィルは毎日魔力強化やってるか?魔法の練習は?剣術とかは?俺はやってるもんね!」

「それだけの差じゃないと思うけど・・・」


天才が努力を惜しまない

そんなの最強だよ


「でもウィルに一本取られた」


ルシオが真剣な顔でボクを見る


「ホントは三本ともギッタギタにして力の差を見せつけてから、努力が足りない!って言うつもりだったのに・・・ウィルが言う通り油断してたかもしれないけど、目くらましされた時点で何が来てもいいように警戒してたんだ。魔力障壁をああいう使い方するなんて思ってもなかった。あれは完全にウィルの作戦勝ちだよ」


(ルシオに褒められた?)


「それでもウィルには才能が無いのか?才能が無いって愚痴れるくらい努力したのか?俺はそうは思わないよ」

「ごめん・・・ルシオ」


褒められたと思ったら怒られた



「俺さ、自分のこと『俺』って呼ぶのウィルの前だけなんだよ。他の大人たちの前だと僕って言ってるし、なんていうか・・・いい子でいようとしてるのかな?ん~自分でもわかんないけど、気を使っちゃうんだよ。でもウィルと一緒の時はなんにも気使わないで楽に、自然体でいられるんだ。そんなウィルが俺のこと目標だって言ってくれてすっごい嬉しかった」


(そんな風に思ってくれていたなんて知らなかった・・・)


「学園に行っても時々は帰ってくるつもりだし、あ!転移魔法っての使えるようになったら毎日でも帰ってこれるしな!」

「転移魔法?そんなのあるの?」

「レルターさんはあるって言ってた、だから入学したら真っ先に勉強してすぐ村に帰ってこれるようにするつもりなんだ」

「ふ~ん」


ボクはさっぱりわからない

でもきっとルシオなら有言実行してしまうんだろう


「話がそれちゃったけど。だから時々帰って来た時にさ、俺こんな魔法使えるようになったぞ!とかウィルと成果を見せあえるかなって思ってたんだ。それにウィルなら・・・」

「ボクなら?」

「う~ん・・・まあ家庭の事情もあるしこれはいいや」

「ん?気になるなぁ」

「とにかくウィルには、親友にはいじけて腐ったりしてほしくないんだよ」


(!?)


嬉しい


ルシオがそんな風に思ってくれていたなんて


魔法の練習の時も、苦手なことをやって上手くいかないと何度も投げ出して、いじけて

後になってからルシオに迷惑かけちゃったなとか後悔して

それでもまた同じことを繰り返してたのに


そんなボクを親友だって言ってくれた


今回のこともルシオが遠くに行くのが嫌で

でもどうしようもなくて、ただ拗ねて

ルシオに八つ当たりしたようなものだ、それなのに・・・


(ルシオの気持ちに応えたい)


そこで一つ決心した


「ルシオ!すぐには無理だと思うけどボクも学園に行く!特待生ってのになればお金はかからないんでしょ?ボクももっと頑張っていつか特待生になって、ルシオと一緒にまた魔法の勉強したい!」

「おう!待ってるからな!」


ルシオは満面の笑みで返事してくれた





そうして二人で帰路につく


「そういえばさっき何を言おうとしてたの?」

「ん?何のこと?」

「家の事情がどうとかって・・・」

「ああ、なんでもない。さっきウィルが自分で言ったし」

「ん?」

「ウィルならきっとすぐに特待生になれるよ」

「あ!そういうこと。たしかにボクの家じゃ学費なんて払えないだろうな~」

「ってか俺もまだ特待生になれたわけじゃないんだけどな」

「え!?そうなの?」

「レルターさんのテストは合格だったけど本番は王都の学園に行ってからだし」

「ルシオなら大丈夫だよ」

「そうだといいけど・・・」




友達と喧嘩をして一歩距離が近づいて親友になれた日

今日のことをボクは一生忘れないと思う


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