33 家族
テストを受けることにはなったが話し込んだせいで今日はもう日が暮れ始めていた
それに学園に入るならディルクとも話をしないといけない
そのためテストは明日受けることになった
「ルシオが学園に入るならアタシの後輩になるのね」
「え?マヤって王立学園の生徒なの?」
「そうよ10歳になった時に入ったの」
「でも前はウェルクシュタットに居たよね?家から通ってるわけじゃないんでしょ?」
たしかウェルクシュタットから王都までは馬車で二、三日かかるはずだ
「ホームシックになって帰ってきてたんだよ」
「パパ!」
「なるほど」
「なんでルシオの前で言っちゃうのよ・・・(ボソッ)」
「別に恥ずかしがることじゃないだろ?マヤはまだ子供なんだから、パパだってマヤに会えなくて寂しかったくらいなんだ」
「知らないっ、ルシオが学園に入ってくれたら寂しくないからもう帰らないもん」
「なっ!?そうだ!ルシオ君と一緒に帰ってくればいいだろ?な?ルシオ君も是非家に遊びに来てくれ」
「ははっ・・・」(親子げんかに巻き込まないでくれ)
まあ仮に連れて帰ったとしても移動が面倒なので年一回くらいになると思う
そんなことより
「レルターさん、僕みたいに家が遠い生徒ってどうしてるんですか?」
「学園には寮がありますよ。大半の生徒は家が王都にはないので寮で生活しています、寮は共同のお風呂があったり食事もついています。使用料は学費に入っていますので追加でいただくことはありません」
(あれ?家賃と食費込みって考えると年に金貨5枚って安いのかな?)
なにせローリスの村では物々交換が基本だ、なのでこの世界の金勘定には疎い
村は助け合いの精神なので食糧なんかはみんなで分け合う
道具が必要になれば貸し合う
なのでお金は外から冒険者などがやってきたときくらいしか使わない
実は買い物もこの前ウェルクシュタットに行った時が初めてだったりする
「寮か~」
「ルシオが居なくなると家も寂しくなるわねぇ・・・」
「にいたんどっかいっちゃうの?」「ふぇ?」
アリシアの膝の上にいたマルクが不安そうにしている
今までの話は難しくて理解できていなかったようだ
マルクの言葉に不安になったのかアリシアの隣に座っていたアリスが俺のところまで歩いてきた
「にいたん・・・」
「おいで」
アリスを膝の上に座らせる
なんて説明したらいいのかわからない
アリスを優しく抱きしめながら考える
(素直に家から出るって言ったら泣かれるかな?でも学園に入るならそうしないといけないし)
俺も今の家族と長期間離れるのは寂しい
そんなこと前世では全く思わなかったのに
元気に生きてさえいればそれでよかった
だから一人暮らししていても寂しくなることなんてなかったのに
(日本と比べるとこの世界には娯楽があまりないからかな?)
俺はまだ子供だし必然的に家族との時間が多い
アリシアとディルク、両親といると楽しいしなにより落ち着く
マルクとアリス、弟と妹はこんなにも可愛い
「ははっ・・・マヤ、ホームシックは別に恥ずかしくなんかないよ。想像しただけで僕も寂しいもん」
「ルシオ・・・」
「う~ん、迷うなぁ~」
正直学園に入らなくても独学で魔法の研究はできる
(せめてマルクとアリスがもう少し大きくなるまで・・・)
でも結局自分の中ではとっくに結論は出ていた
「うん。マルク、アリス。もしかしたら兄ちゃん家から居なくなるかもしれない、でも時々帰ってくるから。そしたらいっぱい遊ぼ?魔法も教えてあげるから」
「え・・・」「・・・・」
「まぁまだ決まったわけじゃないからまだ家に居るけどね!」
「んきゃっ」
二人が泣きそうになったので安心させる
アリスをくすぐって誤魔化す
アリシアも真似てマルクをくすぐっている
「二人とも可愛いわね、アタシも弟か妹欲しいな~」
「へへ~、いいでしょ」
アリスとじゃれあいながら考える
ローリスから王都までおそらく移動で一週間くらいかかる
北の山を突っ切れたら短縮することは可能だろうが
(空飛ぶ魔法とかないかな?風魔法使うとか・・・あ!転移魔法とかあるのかな?)
次の魔法の研究が決まった
また余裕を見てレルターにでも聞いてみよう
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その後ディルクが帰ってきたので学園のことを改めてレルターが説明した
そしてみんなで食事をとったあともう遅いからとマヤ達は村の宿に行くことになった
家に泊まってもよかったのだが数日滞在することになるし迷惑だからとテッドが断った
「それでは皆さん、おやすみなさい」
「明日また伺います、ルシオ君テストはその時でもよろしいですか?」
「はい」
「わかりました、ではおやすみなさい」
「また明日ね、ルシオ」
「うん、おやすみマヤ」
マヤ達が帰りアリシアは双子を寝かしつけに行った
俺はリビングでディルクと二人でのんびりしている
「思ってたより早かったな・・・」
「何が?」
「ルシオが学校に行くのだよ。十歳になってからの予定だったんだが」
「そうだったんだ」
「まあずっとこの村に居たんじゃルシオの才能を潰しちゃうと思ってたしな」
「十歳になったら王立学園に入れてくれるつもりだったの?」
「ああ」
「でもお金は?」
「そんなもんどうにでもしてやるさ。元冒険者なんだし、集めた素材売ったり魔獣を狩ったりしてな。まあそれにルシオのおかげでお金はあるんだ」
「あ!?そうだ山賊の懸賞金!あれどうなったの?」
「アリシアに聞いたのか?えっとな、山賊ひとりあたり金貨1枚、グレッグは生け捕りにできたから2枚、あと黒狼のボスが5枚になった。あいつらがもってたアクセサリーあったろ?あれとグレッグの証言で懸賞金が貰えることになったんだ」
「えっと何人いたっけ・・・全部で34枚?」
「たしかそのくらいだ。村の皆はルシオ一人の功績なんだしルシオが使っていいって言ってくれてな、でも大金だから今まで黙ってたんだ。それを学費に充てようと思ってたんだよ」
「あ~、確かに教えられてたら魔導書が欲しいとか言って無駄遣いしてたかも・・・」
「ははっ、そりゃよかった」
「でも一応特待生目指すから。そうなったらそのお金は村のためかマルクとアリスの時の学費にして」
「ああ、そうしてくれると助かるよ」
そして明日のテストのために俺も眠ることにした




