32 学校
「えっと・・・まずは私が何者かという説明からしましょうか。私は王都にある王立学園で教師をしています、教師といっても教卓に立つことより世界を周り生徒の就職先を探したり優秀な生徒をスカウトすること等を主な活動にしています」
「スカウト・・・」
「はい。もうおわかりでしょうか?ルシオ君、あなたの話を聞きスカウトするためにここに来たんです。といっても私はルシオ君がどれほど優秀なのか実際見たわけではないので簡単なテストのようなことをさせてもらいますが」
「学校ですか」
「興味はありませんか?よりよい環境で魔法や武術の鍛錬ができますよ、それは私が保証します。将来の就職先を斡旋することはもちろん、就職ではなくなにか起業したいというのであればそれをサポートします。さらに我が王立学園は生徒の自主性を重んじており授業に強制はありません。伸ばしたいところだけを伸ばし続けることもでき、休みたいときは自己判断で休暇をとってもらっています。つまり努力するも怠けるも自分次第、ただし努力したものが伸び怠けたものは周りに置いて行かれる。そういった社会の競争そのものを生徒のうちから経験してもらい、弱肉強食の世界で生き残ってもらおうと考えています」
「はぁ・・・」
「お母さまに聞くとルシオ君は毎日剣術と魔法の鍛錬を欠かさないそうで、あなたのような勤勉な生徒は我が学園にピッタリだと思います」
(生徒って・・・俺がもう入る気でいるのかな?まあ興味はあるけど)
「魔法を勉強したいなら学園にある図書館で魔導書が読み放題ですよ?」
「え!?本当ですか?」
「はい、王都一の蔵書量を誇る学園の図書館にはありとあらゆる魔導書がそろっています。生徒はそれを自由に読むことが可能です」
「なんと・・・」
「それだけではありませんよ、王都の外には学園の所有する訓練所があり上級などの大規模な魔法を気兼ねなく練習することも可能です。剣術にも興味がおありでしたらより実戦的な訓練ができる闘技場も学園内にございます」
「すご・・・」(魔法の研究や武術の鍛錬には事欠かないな、至れり尽くせりだ)
チラッとアリシアの方を見ると目が合った
「入りたいの?ルシオ」
「えっと・・・すごく興味はある。魔法の練習も独学だとちょっとしんどくなってきたし」
「そうねぇ、ルシオには不自由させてると思ってたし・・・」
「不自由ってほどじゃないけど・・・」
「いいえ、ルシオには魔法の才能があるのよ。前から言ってるでしょ?だから好きなだけ好きなことをさせてあげたいの、それがきっとルシオの成長に繋がるから」
「その通りですお母さま。やる気のある生徒に必要なのは適切な環境だけです、あとは自分で成長していきます」
「はい、ただ問題が・・・」
「何か?」
「王立学園ほどの学校だと・・・学費はいくらほどに?」
「一般的には入学費と一年目の学費に金貨10枚、その後は年ごとの更新となり毎年金貨5枚必要になります。学園は15歳で成人とみなしており16歳になるまでに学園を出ていただきますので、仮にルシオ君が今から16歳ギリギリまで学園に在籍すると仮定するならば七年間在籍が可能となり全部で金貨40枚となります」
「あらあら・・・」
(たっけぇ~・・・)
アリシアの方を見て首を振る
さすがにこの村でいて生活費以外にこの学費を払うのは無理だ
だが目が合ってもアリシアはにっこりと微笑むだけだった
「一般的にとおっしゃいましたけど、例外も?」
「はい、特待生制度というものがございます。ルシオ君の実力が私の想像通り、もしくはそれ以上であれば私が特待生枠に推薦します。もし特待生として認められれば学費は全額免除となります。ただし、特待生は卒業までに学園になにかしら研究成果を提供していただくことになっています。例えばオリジナルの魔法や魔道具の開発、他にも腕に覚えがあるものは貴重な素材の提供などがあります」
「ルシオなら簡単ね」
「どうだろう・・・」
「それに特待生が無理でも学費はなんとかするわ」
「いや、なんとかできる額じゃなくない?」
「ルシオがやっつけてくれた山賊の懸賞金があるから」
「あ!?そういえばあれどうなったの?」
「それはまた後で教えてあげる」
「山賊というのは?」
「実は半年ほど前にこの村でちょっとした事件がありまして、まあルシオが解決してくれたんですけど」
「山賊・・・半年ほど前というと・・・もしや黒狼ですか?」
「あら、御存知なんですね。さすがです」
「確かに王都で黒狼が全滅したと耳にしたことはありますが・・・あの大盗賊団黒狼をルシオ君が?」
「はい、ルシオ一人で」
「な・・・」
レルターが驚愕している、口を開けっぱなしだ
というかやっぱり懸賞金が出ていたみたいだ
(言ってくれればよかったのに・・・それとも子供に言えないくらいの額なのかな?)
金貨40枚にも及ぶ学費を払えるというくらいだからかなりの額だろう
「だからルシオがお金の心配する必要はないのよ、それでも心配なら特待生になってみせて?」
「あ、うん。わかった・・・やってみる」
こうしてレルターのテストを受けることになった
因みにマヤは隣でちょっと退屈そうにしている
(あ、忘れてた。ごめん)




