03 転生
「おーい、ルシオー!二階にいるのかー?」
下からディルクが呼んでいる
ディルクというのは俺の父親の名前だ
「なにー?」
魔導書を読みながら返事をする
「ちょっとエドワードのところに行ってくるから母さんと一緒にいてやってくれ」
「わかったー」
エドワードというのはディルクの友人であり仕事仲間、ディルクはここローリスの村の自警団をやっておりリーダー的存在らしい
村の近くには熊や狼の魔獣が出ることがある、そういう魔獣から村を守るのが自警団の仕事だ
魔導書を本棚に戻して一階に降りる
「ごめんねルシオ、勉強してたの?」
「うん」
「別にここで読んでもいいのよ?」
「大丈夫」
「よくあんな難しい本がわかるな」
「ん~~、なんとなく?」
「やっぱりルシオは天才ね!将来は宮廷魔導士、いや大賢者にだってなれるかも!」
この親バカ炸裂しているのが俺の母アリシア
現在妊娠中でお腹が大分大きくなっている
とても綺麗で優しい人、そばにいると息子である俺のことを本当に愛してくれているんだと実感できる
「ルシオ、そろそろ剣術も覚えてみないか?」
「うん!」
「まだ早いわよ!それに怪我でもしたらどうするの!」
「男の子なんだからやっぱ体も強くならないと、それに俺だって剣術の稽古の時は傷だらけになったもんさ。そうやって強くなるんだよ」
「魔導士だって強くなれるけど?」
「男の子なんだから体も鍛えてだな~」
「ルシオは頭がいいから絶対魔導士にむいてるはずよ」
「剣士にだって頭の良さは必要さ」
(また始まった・・・)
ディルクとアリシアはもともと冒険者だったらしい
四人パーティーを組んでいてその中の剣士と魔導士だ
あと二人優秀なスカウトとヒーラーがいたらしい
ある日依頼を受けて魔物討伐のため洞窟に入ったが、そのときにスカウトが命を落としたらしい
その依頼は何とかこなしたが、それ以降スカウトなしでは厳しく新しいスカウトを加入する気にもなれずにパーティーは解散になったと聞いた、それだけ四人の絆は強かったのだろう
そしてパーティーでもあり恋人でもあったディルクとアリシアはディルクの故郷であるローリスの村で暮らすことになった
剣士と魔法使いだった二人は、俺を自分と同じ道に教育したいようだ
なので度々この言い争いが始まる
「両方やる!」
「そう?」「そうか?」
「うん!」
「まあルシオがそういうなら・・・でも心配だわ」
「それよりお父さんエドワードさんのとこ行かなくていいの?」
「おっとそうだった、それじゃ行ってくる。ルシオ母さんを頼んだぞ!」
「はーい」
「いってらっしゃいディルク」
二人でディルクを見送る
「じゃあルシオ晩御飯の支度するから手伝ってくれる?」
「はーい」
自己紹介が遅れたがルシオというのが転生した俺
もうすぐ五歳になる、中身はいい年したおっさんだが・・・
だがもともと男というのは精神年齢が低い人が多い、俺もそうだ
だから子供の体になってもそこまで違和感はない、というかもう慣れた
ディルクとアリシアにとって俺は初めての子供だからかものすごく甘い
アリシアのことを親バカといったがディルクも負けてない
子供だが中身が大人の俺は言葉や文字を覚えるのももの凄く早かった
今では四歳にして魔導書を読みだしたほどだ
そりゃ誰でも天才だと思うだろう、それが自分の子供なんだから舞い上がっても仕方ないと思う
まぁ魔導書はまだちんぷんかんぷんなんだけど・・・
そして大事なSaveとLoad機能
この四年間でわかったことがある
Saveは前のSaveから30日以内にやらないといけないと死神は言っていた
試しに体も満足に動かせない赤ん坊の頃30日間Saveせず放置してみたことがある
結果は30日経った時点で自動的にSaveが更新された
そしてLoad、意外にもこっちが曲者かもしれない
Loadして同じようにやり直そうと思っても全く同じ繰り返しにはならないみたいだ
大体同じように繰り返すことはできるのだが
人は機械のように誤差もなく同じことを繰り返せない、どうしても些細な誤差が生まれる
その誤差がバタフライエフェクトのように徐々に未来を変えていく
そのせいで良くしたくてLoadしたのに前より悪くなることもしばしばあった
とはいってもこの二つの機能はチート級に便利だ
そしてContinueという保険もある
俺は死神からもらったこの機能を生かしてセカンドライフを満喫している