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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
最後の戦い
272/300

272 対峙


唯一グラシエールを知っていた存在

グラシエールと同じ時代に生き、同じ時間を生き続けた存在

グラシエールの情報を得るためビルに会いにやってきた




『知らない』

『・・・・何にも?』

『僕はあいつとまともに会った事はないんだ。リアンとイアンの二人と一緒に少し離れた所から見たのが一度。それとグラシエールに狙われたリアンを助けるためにほんの少しだけ対峙した時の二度だけだ』

『でもグラシエールはビルの事を知ってるみたいな様子だったぞ?お前の事を駄竜とか言ってたし』

『・・・・・それ本当に僕のこと?』

『多分』

『ふ~ん』


駄竜と言われたことに腹を立てているのかビルが少し不機嫌な表情になる


『リアン達ならともかく、なんで奴が僕なんかのこと覚えてるのさ?さっきも言ったように僕は奴と面識と呼べるほどの物は無いんだよ?』

『その「リアンを助けた」って行為が余程腹立たしい事だったんじゃないのか?グラシエールはリアンとイアンを相当憎んでいたみたいだし』

『逆恨みじゃないか、それだけの事で「駄竜」とか酷いと思わないかい?』

『俺に言うなよ・・・それか俺の記憶を覗かれたのかもしれないな』

『それは少し違うと思うよ。グラシエールは記憶を覗ける訳じゃないってリアンとイアンが言ってたし』

『は!?でも心を覗けるって・・・』

『僕も二人から聞いただけで詳しくは知らないんだけど、グラシエールが心を覗けるっていうのは「その人が考えてる事が分かる」ってことらしい』

『そうなのか?』

『ってリアンとイアンは言ってた・・・ような?』

『ようなって・・・確信は無いのか?』

『どれだけ昔の事だと思ってるのさ。君の話が正しければ1300年も昔の事なんでしょ?』

『それはそうだけど・・・』

『グラシエールと話した時に僕の事を思い出したりしたんじゃないのかい?』

『・・・・・リオーシスを半分消滅させた理由がビルの言った通り鏡海で二分された世界を真似た物だったんだ。その時ビルの事を思い出したかも』

『それだよきっと。というか本当に僕の予想が当たってたんだね・・・・グラシエールって頭の中は子供なんじゃないのかい?』

『だとしてももう驚かないけどな』


グラシエールが何か秘密を隠しているとしても驚いたりしない

転生者という時点でもう何があっても驚いたりしてやるもんか


『っていうかそんな大事な事、もっと早く教えといてくれよ』

『言ってなかったっけ?』

『聞いてない』

『だって僕も君と同じで奴はとっくに死んでいると思っていたからね』

『・・・・まぁそうだよな』


ビルを責めても仕方ない


(でもそうか・・・記憶を全て読まれるんじゃなくて、今考えていることを読まれるのか・・・)


『どの道厄介な事には変わりないか・・・』

『そうだね。こちらの攻め方を読まれるのは致命的だ。もっとも奴の場合、考えを読まれなかったとしても厄介な事に変わりはないけど』

『ああ、そうだな・・・』


グラシエールは俺の『雷槍』を真正面から受けて平然としていた

雷槍の閃光で魔法障壁を張ったのかどうかも分からなかったが

仮に魔法障壁を張っていたとしても、俺の最強魔法がそれを破壊できなかった時点で魔術師としての腕もグラシエールの方が遥かに上なのだろう


『他に何かないのか?』

『知らない』

『本当に?』

『本当だよ。覚えていたら話すさ。覚えていたらね』

『・・・・わかった、また来るからそれまでに思い出しててくれ』

『もう何も無いってば・・・』

『無いなら無いでいいんだよ。じゃあな』


少し時間を置いてまた来てみよう

帰る俺に対しビルは面倒臭そうに手を振っていた






グラシエールは無差別に記憶を覗き見ることができるわけではない

ちょっとしたことかもしれないが、かなり重要な情報を得ることができた


(つまりあいつと対峙するときに何も考えないようにすれば良いってことか)


対処法はとてもシンプルだ


(・・・・・できるか?そんなこと)


言うは易く行うは難し


仮に頭を空っぽにしてグラシエールの前に立ったとして、どう攻撃するというのか

攻撃する際には攻撃手段を選ぶために頭を使う

そうすれば攻撃手段がグラシエールにバレてしまう

もし何も考えずに攻撃できたとしても、グラシエールは簡単に防いでみせるだろう


「はぁ・・・せめてリアンとイアンが今の時代に居てくれたら」


叶う訳もない願いを願いながら家へと飛んで帰った


____

__

_



家に着くとサラが出迎えてくれる


「ルシオ様が仰った通り昼頃騎士団の方が来られました」

「そうか。伝言はしてくれたんだろ?」

「はい」


前回と同じようにリオーシスへの転移魔法陣が作動しないことについてメリアムから使いがやって来ていた

相手をしている暇はないのでサラに事情を話し対処してもらっていたが


「何かお役に立てることはございませんか?」

「今のところは無いんだ」

「・・・そうですか」

「今のところはな。サラの力も借りることになるかもしれないから、その時は存分に働いてもらうよ」

「はい!いつでも仰ってください」


俺の言葉にサラは張り切っている


サラは俺の役に立てることを生き甲斐にしているようだ

だが、なんだかんだ世界は平和だった

なので俺の護衛というよりは、マヤやシシル達の護衛をする方が多い

それ以外だと使い走りのようなことしかサラはできていない


なので今回のような、俺でも持て余すような大問題が起こり

「身命を賭して主人の力になれる」とでも考えているのかもしれない


だが今回の相手はサラには荷が重すぎる

サラだけでなくウィルも、リリーもセレナも

もしかしなくても騎士団の隊長クラスですら荷が重いだろう


なのでサラに協力してもらうことも殆ど無いかもしれない


(とてもそんなこと言えないが・・・)


張り切るサラにそんな水を差すようなことは言えない



「さて・・・帰ってきて早速だけど」

「はい!」

「ちょっと出てくる」

「お供いたします」

「ちょっと調べることがあるだけだから必要ないよ」

「調べ物のお手伝いを・・」

「必要ない」

「・・・・はい」

「今まで通り留守中は家族の事を頼む」

「承知しました・・・」

「ごめんな」

「いえ。いってらっしゃいませ」


これからやる調べ物にサラを同行させる訳にはいかない


なぜならいよいよ本番だからだ



____

__

_



王都の城にある転移魔法陣からラドハルバへと飛び

そこから北を目指す


行先はグラシエールの居る塔


(見えた)


もうグラシエールについての情報を得ることはできないだろう

本人を除いては


(やっぱりやだな~・・・)


自分より格上と戦う事は初めてではない


だがノワールの時のような

差し迫った状況ではないという事が俺から緊張感を奪っていた


今すぐどうにかしないと弟妹が殺される

なんて状況ではない



極端な話、Saveの自動更新をしないよう普通に生活していればグラシエールは何もしてこない可能性もある


それをやってしまうと俺は一生自分の子供に会えない事になるが



(そういう訳にはいかないよな!)


グラシエールの居る塔を目前に、改めて喝を入れ直す


(さて、塔を昇るのが面倒だから上から・・・ん?)


上空から下を見下ろすと塔の横に何かが横たわっているのが見えた


「っ!?ビル!?」


それは高い塔の上からでも確認できるほど大きな青竜だった



急いで地上に居るビルの元へと降りていく


『ビル!おい!返事しろ!』

『・・・・』


返事は無い

呼吸もしていない

治癒魔法をかけてもビルは目を覚まさない


『ビル・・・』


ビルに目立った外傷は無いが、肉の焦げるような臭いが微かに漂っている


(炎?・・・じゃないな、雷か)


天気は非常に良く雲は殆ど無い

偶々雷に打たれた訳ではないだろうし、そうとは考えていない


「グラシエール・・・」



迂闊だった


ビルもグラシエールを恨んでいたはずなのに

リアンとイアンを引き裂いた原因のグラシエールを


それなのに少し前「グラシエールが生きていた」という話をした時、ビルに変わった様子は無かった

いつもの眠そうな表情で俺と会話していた

だから一人で立ち向かうような無茶はしないと思っていた


やり直せばビルは助けることができる

それでもやはり、友人の死というものはこたえる



「やっぱり駄目だ・・・」


再び上空へと飛び上がり

塔の真上から急降下する


そして結界を抜けたあたりで『雷槍』を作り出し

塔の屋上真上から縦に貫くように全力で放った




塔を包む結界内を瓦礫と土埃が充満し

巨大な土色の卵のようなものが出来上がった




しばらくして土埃が下へと落ちて行くと

塔の最上階があった辺りに、椅子に座った老人が姿を現した


『随分な挨拶じゃないか』

『俺の考えてる事が分かるなら一々言わなくてもわかってるんだろうけどさ・・・』


グラシエールの正体を知ってから色々考えた

色々な可能性を

色々な未来への道筋を

だがやはり選択肢は一つなようだ


『お前とも共存できる未来もあるのかなとか甘い考えもあったんだけどさ・・・やっぱり考えが甘かったよ』

『いやいや、素晴らしい考えじゃないか。私と君が手を取り合えば・・』

『黙れ』

『・・・・・下に落ちている蜥蜴の事かな?うるさい蝿が飛び回っていたからね。君だって蝿が飛んでいると殺すだろう?』

『・・・・』


怒りで体が震える

さっきまで感じていたグラシエールへの恐怖は消えていた


『ああ、やっぱり駄目だな・・・』

『そうか、それは残念だ』

『生理的に受け付けねえんだよ糞ジジイ』

『好きで歳をとった訳ではないのだがね。なんなら若い姿に変えてあげようか?正直面倒だが』

『いいよ・・・その姿の方が良く燃えそうだから』


自分を魔法障壁で包むのと同時に『エクスプロージョン』を使う


今度は巨大な真っ赤な卵が出来上がった




『火は嫌いなんだがね』

『そうかよ、それは良い事を聞いた』


だが当然のごとくグラシエールには効果が無い

それどころか椅子から退かせることすらできない


俺の考えを読まれたからか


(だとしてもどう防いだ?魔法障壁を張った様子も見えなかったが)


『ぶっ殺して火葬してやるよ』

『断言しよう。君には無理だ』

『今はな・・・できるまで、何度も、何度でもやるだけだ』

『好きにしたまえ。私にとっては一瞬だ』

『・・・・』

『君が私と同じ千年の時を過ごせば一度くらいは勝機が訪れるかもしれないなぁ』




グラシエールの言うように

俺にとってはやり直せばやり直すほど、それだけ長い時間を過ごすことになる

だがグラシエールにとっては一瞬だ


勝てなければそれだけ気の遠くなるほどの長い長い時間をこいつと過ごすことになる


『どうした?もう心が折れそうなのかな?』

『・・・・ちょっとだけな』


グラシエールに嘘は通用しない


地面に横たわるビルの亡骸をチラリと見て

もう一度自分に喝を入れ直した


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