27 しばしの別れ
「おお~~~~」
さすが貴族の家の書斎といったところか
魔導書だけでなく色々な本が大量にあった
「えっと魔導書は・・・たしかこの辺に・・・お、あった。これでいいのかな?」
「えっと・・・はい!そうです」
さっそく読み始める
今日中に読めるものは読んでおかないと明日の朝にはウェルクシュタットを発つことになってしまう
用意してくれたお茶にも手を付けず読みふける
火の上級魔法『プロミネンス』
巨大な火の柱を操作する魔法のようだ
イメージ的には巨大な炎の大蛇を自由に動かせる感じだろうか
もう一つの火上級『エクスプロージョン』
これはシンプルに大爆発を起こす魔法だ
ただ火魔法だけあって爆発の衝撃だけでなく熱もかなりのようだ
水の上級魔法『タイダルウェイブ』
津波のように大量の水を発生させる魔法
日本のような島国で育った人間なら津波の威力は容易に想像できるだろう
もう一つの水上級『アイスベルク』
といってもこれは氷魔法になるが
ただただ巨大な氷塊を造りそれをぶつけたり、押しつぶしたりする魔法のようだ
風の上級魔法『ハリケーン』
台風並みの強風を超広範囲に起こす魔法
風魔法は基本シンプルだ、突風を発生させる中級の『ブラスト』の上位互換といったところか
もう一つの風上級『トルネード』
竜巻を発生させる魔法
範囲の広い『ハリケーン』を凝縮させた感じのようだ、そのため威力は凄まじいだろう
土の上級魔法『グランドフィッシャー』
地割れをおこす魔法
この魔法は地割れに落とすだけでなく、その後地割れを閉じて潰してしまうこともできるようだ
もはや反則技だろう、ただ規模がすごすぎて消費魔力はきっとすさまじいと思う
もう一つの土上級『アースクエイク』
名前通り地震をおこす魔法だ
攻撃魔法というよりは動きを阻害させたり、城攻めとかで建物を壊したいときに使うような規模の魔法だと思う
はっきり言って上級はどれも使えるようになっても使う機会はほとんどなさそうだ
規模がでかすぎる
戦争とかで効果を発揮するレベルばかりだ
ローリスの村周辺でおいそれと練習できる訳がない
(西の森の焼け野原にしちゃった部分とかで堂々と練習してやろうかな?いやまずいか・・・)
上級の魔導書を急いで読み終わったころにはすでに日が傾き始めていた
(う~ん・・・他の魔導書も読んでおきたい・・・)
しかし今から読み始めると確実に夜になってしまう
アシェルとその家族にも迷惑だろうし、バーナードはただ待っているだけだ
マヤはずっと俺の隣に座っていた、俺が集中していたからか話しかけられることもなかったしずっと静かにしてくれていた
上級の魔導書がただで読めただけで大きな収穫だ
(これ以上は周りの人に迷惑かな・・・)
「アシェルさん、ありがとうございました!」
「もういいのかい?他にも魔導書はあるけど」
「できれば読みたいですけど夜になっちゃうから・・・それに明日の朝にはローリスの村に帰る予定なので」
「そうなのか、またウェルクシュタットに来ることがあればいつでもおいで。命の恩人のルシオ君にならいつでも読ませてあげるから」
「はい!ありがとうございます」
宿への帰り道
「バーナード、マヤ、ごめんね。退屈だったでしょ?」
「気にしなくていいよ、俺は今日予定もなかったし」
「アタシも、ルシオと一緒に居れたから」
「えっ?」
「あっ、変な意味じゃなくて!明日には帰っちゃうから、とりあえず今日はルシオと一緒に何かできたらな~って思ってて、それだけだから!」
「あ、ああ。なるほど」
不意打ちを食らってちょっとドキッとしてしまった
宿に着くまで他愛ない会話をしながらのんびり歩いて帰った
「それじゃマヤ、明日帰るときにお店に寄るから」
「うん、待ってる。おやすみなさいルシオ」
「おやすみ、マヤ」
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そして翌日
「みなさん、この度は本当にありがとうございました。特にルシオ君、私とマヤを助けてくれて本当にありがとう。また来年のこの時期来ることがあったら是非家に寄ってください、その時はまた御馳走を用意しましょう」
「はい、その時はまたお邪魔します」
「ほらマヤ、ルシオ君に挨拶しないのか?」
「・・・・・ぐすっ」
「マヤ・・・」
別れが寂しいのかマヤは泣くのを我慢しているようだ
「僕が教えた魔力強化はちゃんと毎日やるんだよ?どれくらい成長したか次に会うときを楽しみにしてるから」
「うん・・・」
「ウェルクシュタットとローリスはそこまで遠くないし会おうと思ったらまたすぐ会えるよ」
「そうね・・・うん、そうだわ!春になったら遊びに行く!約束よ」
「わかった、待ってる」
「ええ」
「でもローリス村ってここと違って何もないよ?」
「ルシオがいるじゃない。ルシオに会いに行くんだから何もなくたって別にいいわよ」
「あ、そう」
「約束よ!必ず行くから」
マヤと指切りをする
「元気でね~~」
「マヤとテッドさんも!またね~~」
お互い見えなくなるまで手を振り続けた




