26 魔導書
「バーナード!起っきろーー!」
そう叫びながらバーナードのベッドにダイブする
「うっ!ん?ああ、ルシオおはよう」
「おはようバーナード、準備して街に行こう!」
「はいはい」
昨日見つけたお店に行くために昨晩大人達に話をした
するとバーナードが一緒に行ってくれることになった
支度の終わったバーナードを連れて街に繰り出す
(そういやマヤ来なかったな、昨日はもっと早い時間に来てたのに。まだ寝てるのかな?)
まあ来ないものはしょうがない
わざわざ待っているのも時間の無駄だし、バーナードは目立つので地理に詳しいマヤが探せばすぐ見つかるだろう
「ここだよ」
「魔道具の店かい?」
「そう!」
魔道具の店はさすがに子供だけでは買い物できないだろう
そう思って大人に協力してもらった
店内を物色する
結構大きい店で色々なものが置いてあった
魔力を込めると使える道具類や付与魔法が込められた武器や防具、他にも魔導書なんかも売っている
「へ~、魔道具ってこんなのがあるんだ」
手に取ってみたのは杖のようなもので、魔力を込めると先端についている石が光ってたいまつみたいに使えるものだった
しかし火魔法の初歩の初歩に『トーチ』という魔法がある
指の先端に火を熾すだけの超簡単な魔法だ
それが使えるならこの魔道具は正直かさばるだけである
他にも魔道具はあったが実際魔力を込めて効果を確認できるものはほとんどなく、大半の魔道具はカウンターの奥に置いてあった
客が勝手に魔力を込めて効果が発動したとき危ないものも多いんだろう
次に付与魔法がついた武器や防具を見て回った
付与魔法、ゲームで言うエンチャントかな?これも色んなものがあった
武器なら属性付与が多いようだ
切りながら燃やしたり凍らせたりできるようで、毒を付与することもできるみたいだ
防具は耐性を付けるものが多い
熱に強くしたり衝撃を和らげる効果があるようだ
そして魔導書
お目当ての上級魔導書もあった
「金貨二枚・・・」
「魔導書ってやっぱり高いんだね、ルシオあれが欲しいのかい?」
「うん・・・でも・・・」
金貨二枚は大金だ
この世界のお金は金貨・銀貨・銅貨の三種類が主だ
その価値は単純で銅貨五十枚で銀貨一枚の価値、銀貨五十枚で金貨一枚の価値になる
その辺の露店で売っているお菓子や串焼きが銅貨二、三枚で買えるのだが
そこから大雑把に日本円に換算してみると銅貨が百円くらいの価値だとして
つまり銀貨が五千円、金貨が二十五万くらいの価値になる
つまり金貨二枚だと五十万くらいの価値がありそうだ
日本円に換算するとかえってややこしくなるが金貨が高価なのに変わりはない
ローリスの村では金貨なんか見たことがない
この街で買い物するときも主に銀貨と銅貨で支払っていた
(これは・・・無理だな・・・)
「はぁ~~~~」
他にも気になる魔導書もあったがどれも高価なものばかりだ
安くて買えそうなものは初級などのすでに使える魔法の本しかない、それでもそこそこの値はついているが
この世界は本自体が高価な物なのかもしれない
(とりあえず一度読むだけでもいいのに・・・)
正直上級魔法がどういったものかある程度想像はできている
その答え合わせをしたいのだ
もしかしたら俺が想像もしていない魔法が載っているかもしれない
しかし一度読むためだけに金貨二枚は高すぎる
(しょうがないあきらめよう・・・)
気になる魔導書を全部買おうとすると金貨五、六枚になってしまう
もはや家が買えるレベルだ、子供のわがままでおねだりできる額ではない
「あ!ルシオ!見つけたわ!」
肩を落として店から出るとマヤの声が聞こえた
「あ・・・マヤ、おはよう。あれ?もうお昼かな?こんにちは?」
「ひどいわルシオ!アタシのこと待っててくれてもいいじゃない!」
「ごめん、でも昨日マヤが来た時間くらいまでは宿に居たよ?」
「う・・・ちょっと寝過ごしちゃって」
「昨日歩き回ったから疲れてたんじゃない?」
「違うわ、昨日ルシオに教わった魔力強化をちょっと頑張りすぎて・・・」
「あ~~、なるほど。たしかに結構疲れるよねあれ、まあ疲れるくらいやらないと効果がないんだけど」
「ええ、それでちょっと寝坊しちゃったの。それよりルシオは何してたの?」
「ここに来てみたくて」
「何か欲しい魔道具でもあるの?」
「魔道具よりは魔導書が・・・高すぎて買えなかったけど」
「ふ~ん、いくら?」
「金貨二枚」
「・・・・・・パパに頼んでみましょうか?」
「え?・・・いや、いい。さすがに高価すぎるよ」
「それもそうね。う~ん・・・」
「ありがとうマヤ。でも本当にいいんだ、大人になったら自分でお金稼いで買うよ」
「そう・・・」
正直それまでの時間は惜しい
だがしょうがないだろう、それまでは剣術の方でも頑張るさ
そう考えていると
「あれ?ルシオ君!それにマヤちゃんも」
「ん?あ、討伐隊のお兄さん」
討伐隊のオーガと戦って死にかけていた人に声をかけられた
「ああ、自己紹介がまだだったね。俺はアシェルっていうんだ、改めてよろしく」
「もう体は大丈夫ですか?」
「ああ、ルシオ君のおかげですっかり元通りさ!本当にありがとう」
「どういたしまして」
「ところでここで何をしてたんだい?」
「えっと・・・」
マヤに説明したことをアシェルにも話す
「魔導書なら家にもあるよ。たしか上級もあったんじゃないかな?」
「ほんとですか!?」
「ああ、読みたいなら家に来るかい?」
「はい!」
「あ、そういえばアシェルさんってたしかスペンサー家の人だったかしら?」
「そうだよ、見えるかな?あそこにあるのが俺の家なんだ」
指をさす方を見ると大きな屋敷があった
「うわぁ~、お金持ちだ」
「ははっ自分でいうのもなんだけどそうだよ、一応貴族だからね」
「なんで貴族の人が討伐隊なんて危険なことやってたんですか?」
「それは・・・放っておけなかったから。でも力不足で何の役にも立てなかったけどね・・・剣の腕にはちょっと自信あったんだけどな~」
「マヤと一緒だ」
「う・・・」
「ははっ、そうだね・・・」
「え?あ、いや変な意味で言ったんじゃなくて、正義感の強い良い人だって意味で・・・」
「ありがとう。でもいいんだよ、力不足なのは自分の責任だから」
「ふふっやっぱり良い人だ」
「え~っと・・・魔導書が読みたいんだろ?早速家に来るかい?」
「はい!良いよね?バーナード」
「うん、かまわないよ」
少し照れているようだ、アシェルはかなりの美形なので見ていてほっこりした
お言葉に甘えて魔導書を読ませてもらおう
こうして皆でアシェルの家にお邪魔することになった




