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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
第二の人生
23/300

23 マヤ

「他に怪我人はいる?」

「いやここにいる人たちはもう大丈夫だよ。あとは討伐隊にまかせてマヤは休んでいなさい」

「駄目よパパ、こっちが終わったのならさっきの分かれ道まで戻って別の道も確認しておかないと」

「もうかなり魔力を使ったんじゃないのか?あまり無理をするとお前の身がもたないぞ」

「まだ大丈夫よ・・・」


嘘だ、もうほとんど魔力を使ってしまった

治癒魔法は魔力をかなり使う

あとせいぜい治せて二、三人だろう

もし大怪我をしている人がいればその一人を治すことすら厳しいかもしれない

でも怪我をしている人がいるなら放っておけない


「戻ってさっきのオーガに会ったらどうするんだ、討伐隊の人たちでも苦戦しているんだぞ」

「う・・・」


ここに来る前に分かれ道があった

最初左の道を選んだらその先にオーガが立っていた

幸い背を向けていたためアタシ達は見つかる前に引き返すことができ右の道に進路を変更した

そこでオーガとの戦闘で負傷しこの道に逃げ込んだ討伐隊五名を見つけた


「でも・・・オーガがいた先にもし人がいたら、その人たちは・・・」

「全ての人を助けられるなんて思うんじゃない、マヤは治癒魔法は使えるがオーガと戦う力はないだろ?お前を守るために折角助けた人達がまた怪我をすることになってもいいのか?」

「・・・・・でも」

「いい加減にその無鉄砲なところをなおしなさい」

「テッドさん、俺たちならもう大丈夫です。どのみちオーガは討伐しておかないと街に被害が出るかもしれない、テッドさんとマヤちゃんは一旦外に出て休憩しておいてください。オーガやゴブリンは俺たちがなんとかしますから」

「そうか、ではお言葉に甘えさせてもらうよ。くれぐれも無理はしないようにな」

「はい。まずは入り口まで護衛するのでついてきてください」


来た道を引き返す

少し開けた場所に出た、さっきの分かれ道になっていた場所だ


「まずい、止まってください」

「さっきのオーガか?あそこにいると入り口まで戻れないぞ」


先導していた討伐隊の人たちがひそひそと話をしている

見てみるとオーガ一体とゴブリンが数匹入り口に戻る道の方でウロウロしていた


「どうする?奇襲をかけるか?どのみち討伐はしておかないといけないし」

「いや奇襲をかけるには少し距離がある、かといってこれ以上進むと周りのゴブリンに見つかってしまうかもしれないし・・・」

「じゃあ引き返して助けが来るのを待つか?」

「助けを待っている間にこっちの道にオーガ達が来たらどうするんだ?」

「じゃあどうすんだよ!」

「バカ!でかい声を出すな」

「グゲッ!?」


声に反応してゴブリンがこちらを見る

まだ見つかってはいないようだがゴブリンが一匹こちらに向かってきた


「まずいっ、テッドさん戻って!」


元居た場所にみんなで引き返す

この道はさっきまで居た場所で、この奥は行き止まりだ

もしこの道にオーガがやってくると逃げ場はない


「くそっ、ゴブリンだけならなんとかなるが・・・」


少ししてゴブリンが一匹やってきた


「グゲッ!」

「はあー!」


しかし討伐隊の人があっという間に倒してくれた


「慎重にさっきの所まで進みましょう」

「オーガがどっか行ってくれてるといいが・・・」






「ガーーーー!!!」


しかしその願いは届かなかった

分かれ道まで戻る途中オーガと鉢合わせることになってしまった


「くそがっ!」

「ひっ・・・」

「マヤ下がってなさい」


間近で見ると恐ろしい

オーガは身長2メートル以上あり筋骨隆々で、あの手に捕まれるとアタシなんて簡単に握りつぶされてしまうだろう


「はあーー!!」


討伐隊の一人がオーガに剣で切りかかる

しかしオーガは剣を素手で受け止めた

そのまま剣を掴みその人の腰辺りをもう片方の手で掴んだ


「ぐあーーーー」


ボキッという骨が折れる生々しい音がこっちまで聞こえた

そしてそのまま壁に投げつける

気絶したのかはたまた死んでしまったのか、その人はピクリとも動かなくなった


「「う、うわぁーー」」


それを見て討伐隊の二人が私たちを見捨てて走り出した

しかし逃げ道なんてない、二人はオーガの横を走り抜けようとした

しかし二人ともオーガに捕まり同じように壁に投げつけられた

二人はピクピク動いているので死んではいないようだが危険な状態だろう


「テッドさん、マヤちゃんを連れて奥まで逃げてください」

「俺たちが食い止めてみます」

「すまない、死なないでくれ!来なさいマヤ!」

「やだっ!あの人達死んじゃう!」

「わがままを言うな!」

「ヤダッ!」

「ガーーー!!!」


(なんでこんな目に・・・アタシたちが何をしたっていうのよ!)


みんな死んでしまう・・・

そうあきらめかけた瞬間



「ガアッ!?グガァアーー」


突然オーガの胸辺りから下が氷漬けになった

身動きがとれないのかオーガは頭を大きく振っている


「これならどうだーー!」


次の瞬間突然現れた少年がオーガの頭を殴った

オーガは耳や目から血を流しながら動かなくなった


突然のことで何が起こったのかこの場にいる全員が理解できていない


「う~~、嫌な感触・・・おっと、怪我人は!?」

「え?・・・あ!そうだ!」


少年に声を掛けられ怪我をした三人のことを思い出す


「もしかして君がマヤちゃん?」

「え?そうだけどなんでアタシのこと・・・」

「よかった~無事で。テッドさんは?」

「私だ。君はいったい?」

「自己紹介はあとで、先にこの人達を治さないと。マヤちゃんは治癒魔法使えるんだよね?」

「ええ」

「じゃあそっちをお願い、僕はこの人を」

「君も治癒魔法使えるの?」

「うん、ってこの人死んでないよね?あ、よかった脈はある」


少年はあっという間に腰の骨を折られ死にかけていた人を治してしまった


「すごい・・・」

「そっちは?終わった?」

「えっ、もうちょっと」


手際の良さについ見惚れてしまっていた

結局私が一人治す間に二人を少年が治してしまった


「はぁ~、やっぱ治癒魔法って魔力つかうな~」

「まずはお礼をしておこう、ありがとう助かったよ。ところで君は?」


腰を折られ瀕死だった討伐隊が少年に尋ねる


「僕はルシオっていいます。そちらのテッドさんのお店に買い物に来たら炭鉱で事故があったって聞いて」

「私の店に?」

「えっと僕のお父さんローリス村のディルクって言うんですけどわかります?」

「ああ!ディルクさんの!君がそうなのか、ディルクさんから話で聞いたことがある。息子が優秀なんだって自慢していたよ」

「えっ、お父さんそんなこと言ってたんですか?なんか恥ずかしいな・・・」


少年はルシオというらしい

治癒魔法が使えてその上オーガを倒してしまった


(アタシより小さいのに・・・)


「ところでさっきのは?どうやってオーガを倒したんだい?」


討伐隊の一人が尋ねる

当然アタシも気になる


「えっと氷魔法で動きを止めて、土魔法を拳に纏わせて、強化魔法を使って思いっきり殴っただけです」

「だけですって・・・」

「火があまり使えないのでこういうのしか思いつかなくて」

「いや・・・なんというか出鱈目なんだな君は・・・」

「へ?」

「まあいい、心強いよ。君が居れば他の人も助けられるかもしれない、協力してくれるかな?」

「はい!そのために来ました」


____

__

_


その後ルシオの協力のおかげで救助は順調に進んだ

すでに手遅れの人も何名かいたが、それでも隠れていた討伐隊と炭鉱夫を何名も助けることができた

道中ゴブリンや、もう一体オーガと遭遇したが先ほどと同じようにルシオが氷漬けにして討伐隊が首を落としてあっさり討伐できた


(本当に凄いこの子・・・)


因みに入り口が落盤で塞がったことをルシオから聞いて初めて知ることになった

どのみちルシオが来てくれなかったら炭鉱から脱出することなんてできなかったみたいだ

今は助けた人たちに内側からも瓦礫の除去作業をしてもらっている


「炭鉱夫のおじさん、ゴブリン達があけた穴ってどこにあるの?」

「うん?この炭鉱の一番奥さ」

「一応塞いでおきたいから案内してくれませんか?」

「ああ構わんよ」

「アタシも行く!」

「え?うん、別にいいけど」


炭鉱夫と討伐隊が二名、それにルシオ・アタシ・パパの六人で炭鉱の奥に進む


「一時はどうなることかと思ったがルシオ君のおかげで無事生きて帰れそうだよ。ディルクさんは本当にいい息子を持った。いや~実に羨ましい」

「どうせアタシはじゃじゃ馬娘ですよ~」

「そんなことないよ。マヤちゃんだって人を助けるために自分の力を使ってるんでしょ?凄いと思う」

「えっ、う・・あ、ありがとう」


パパがルシオのことを褒める

でもそれもよくわかる

アタシより小さい、今この炭鉱の中にいる人間で一番小さいルシオに安心感を覚えている

今だ炭鉱内に閉じ込められているのにだ



「この先だよ」

「ここが最初の崩落なんですかね?道が塞がるほどじゃないですけど」


最深部が近いのかさっきからゴブリンとよく遭遇している

ゴブリン程度なら討伐隊の人達でも問題なく討伐できているのでルシオは魔力を温存しているようだ

そしてゴブリンがあけたらしい横穴に到着した

縦横2メートル弱程度の広さでオーガが通るにはやや狭そうなサイズだ


「ちょっと危ないかもしれないので離れていてくださいね」

「何をするつもりなんだ?」

「少し先にゴブリンが結構な数いるので一掃してから塞ぎます」

「ん?真っ暗で何も見えないが・・・」

「でも結構いるんですよ、まっすぐ掘ってるみたいなんでここから魔法を打ったら多分一掃できると思います」


そういってルシオは両手を前に突き出した

次の瞬間ルシオの前に巨大な火の球ができる

穴を塞いでしまうのではと思うほど大きな火の球を一瞬で

そしてその火の球を穴の先へ凄い勢いで放った


「これで大丈夫かな?それじゃあ穴を塞いで帰りましょうか」


そういってルシオは繋がった横穴を土魔術で塞いだ


(この小さな体のどこにそんなに魔力があるのかしら・・・)


不思議でしょうがない


「あんまり奥の方までは塞げていないのでこの辺は埋めちゃった方がいいと思います。じゃないとまたゴブリンが穴を繋げちゃうかもしれません」

「そうだな、ここら一帯は急いで塞いでおこう」

「ルシオ、魔力はまだ平気なの?」

「うん、結構使ったけどもうちょっとなら平気だよ。さっきみたいに大怪我してる人が居たらちょっとしんどいけど」

「治癒魔法って魔力使うから大変よね」

「だよね~」


初めて治癒魔法の大変さをわかってくれる人に出会えた


「みんな気軽に怪我を治してもらいにくるから大変なのよ。まあ自分で蒔いた種だし、怪我人は放っておけないから治すんだけどさ」

「ははっ、聞いてた通りだ。優しいんだねマヤちゃんって」

「そ、そんなことないわよ。それよりマヤでいいわ、ちゃんはつけなくて」

「え~っと、わかったマヤ」

「うんっ」


うしろでパパがニヤニヤしている

多分アタシ今顔が真っ赤になっていると思う


(う~~、ルシオって年下よね?なのに余裕ある感じでなんか腹立つ!)


____

__

_


その後炭鉱内を軽く見回ったがゴブリン達はいなかった

そして入り口に戻った時ちょうど人が通れるまで瓦礫が除去されたところだった


「「ルシオ!」」

「お父さん!バーナード!」

「よかった!無事だったんだな」

「うん、マヤもテッドさんも無事だったよ」

「そうか!よくやった!」


ルシオがディルクさんと体の大きな人に撫でまくられている

ディルクさんは何度か会ったことがある、大きな人は会ったことはあるが名前は忘れてしまっていた


「テッドさんもマヤちゃんも無事で本当に良かった」

「ルシオ君に助けられましたよ、本当にありがとうございました。」

「ありがとうございました」

「礼ならルシオに言ってやってくれ、こいつマヤちゃんのことが心配で一人で炭鉱の中に入っていったんだぞ」

「えっ!?」

「お父さん!」



「なんだよ本当のことだろ?」

「間違ってないけど誤解を招く言い方しないでよ!」

「なんだ?照れてるのか?」


ルシオがディルクさんを引っ張ってコソコソ何か言っている


(えっ?えっ?)


なんだろう、すごく気になる


「さあみなさん、家の店に用があったんでしょう?店に戻りましょう。お腹も減ったでしょう、御馳走させてください」

「はい、じゃあお言葉に甘えて」



家への帰り道

やっぱり気になるので聞いてみた


「ねぇルシオ、さっきディルクさんとコソコソ何話してたの?」

「・・・・・内緒っ」


ルシオは顔を赤くしてそっぽを向いてしまった


(カッ、カワイイ!!)


多分これが私の初恋だと思う


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