17 初めての・・・
その後も何度か失敗した
バーナードを助けることができてもなかなかグレッグとの戦闘を避けられない
しかし動きが段々効率化されてきた
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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Loadと同時に走り出し玄関から飛び出す
玄関を閉めそのまま南に少しだけ走りながら西に弧を描くように曲がる
こうすると窓から離れるのでテーブルに座っているアリシアとディルクには俺が南に向かって走ったように見える
玄関を塞がない理由はこれだけで撒くことができたから
小屋までの距離もほとんど変わらない
足を強化して全力で走る
もう何度この道を走っただろうか?
もう合計何キロ走っただろうか?
しかしまだあきらめるような回数や距離では決してない
それにいいところまではいくようになった
もうすこしだ
小屋が見えてきた
俺は小屋に向かって小石程度のストーンボールを放つ
こうすると小石が小屋に当たる音でグレッグの注意が外に向く
すこし間があった後グレッグが扉を開け顔だけ出して辺りを伺っている
あまり小屋に近づきすぎないようにする
(よし!んで・・・このタイミング!)
グレッグに見つからないよう闇に紛れながら今度はこぶし大のストーンボールをグレッグの頭目掛けて放つ
今まではこれを何度も失敗した
小石が小屋にあたる音がするのは小屋の東側、つまり俺がいる方角だ
なので扉から顔を出したグレッグは俺のいる方向を特に注意する
そのせいでストーンボールがグレッグに気づかれて避けられたり、単純に命中しなかったりと何度か失敗した
しかし何度か挑戦しているうちグレッグが顔を引っ込める直前チラッと門の方を見ることに気付いた
そこを狙う
ゴッという低く鈍い音が微かに聞こえ、グレッグは倒れて動かなくなった
一応警戒しながらグレッグに近寄る
気絶しているようだ
(よし!やっと上手くいった!バーナードは?よしよし、ちゃんと生きてるな)
小屋にあった縄をつかってグレッグの手足を縛る
魔法を詠唱できないように猿轡もつける
(よし!後は・・・)
やっと上手くいったので興奮しているがまだ問題は残っている
外にいる山賊をどうするかだ
方法は考えてある
おそらく山賊は合図があるまで森の中に待機しているはずだ
そこを一網打尽にする
戦闘になったらこっちに勝ち目はない
(できれば一発で決めたい・・・後のことは今は考えないようにしよう・・・)
上手くいったとしても事後処理が非常に厄介だ
まず間違いなく俺は変な子だと思われるだろう
いや、変な子どころではすまないかもしれない
最悪村を追い出されるかもしれないな・・・
気持ちを落ち着かせるため深呼吸をする
音を立てないよう静かに門の閂を外す
ゆっくりと、ほんの少しだけ門を開ける
それと並行して魔法を使うために魔力を溜める
(・・・・・・よし!やってやる!!)
門から外に出て間髪入れずに魔法を使う
使う魔法はフレイムバースト
最速で発動させるため無詠唱で
目の前の森を広範囲で焼き尽くすように魔力を籠める
広く、そして熱く
一瞬で目の前は火の海に変わった
辺りが真っ昼間のように明るくなった
森の中からたくさんの悲鳴が聞こえる
予想通り村のすぐそばの木に潜んでいたようだ
少しして悲鳴が聞こえなくなった
今度はこれ以上の延焼を防ぐため水と風の複合魔法を使いかなりの広範囲に大量の水を撒く
さっきのフレイムバーストに魔力をかなり籠めたので消すのに苦労したがなんとか残りの魔力で火を消すことができた
「はあ・・・はぁ・・・」
魔力切れをおこしてフラフラしてきた
火が消えだんだん暗さに目が慣れてくる
辺りを見回すと黒く焦げた人のようなものがいくつも転がっていた
(人を殺したんだ・・・)
生まれて初めて、前世から今まで人を殺めたことなど当然一度もなかった
魔法を使ったから実感はあまりない
しかし目の前に転がっているたくさんの死体は紛れもなくこの俺が焼き殺した死体だ
(でもこうしないと村が、家族が・・・仕方なかったんだ・・・)
誰に言い訳するでもなくそう自分に言い聞かせる
「ルシオーーーーー!」
門の向こうからディルクの声が聞こえた
火災に気づき人が集まっているのか少しざわざわしている
しかし俺はその場を動くことができなかった
魔力切れと疲れで頭がくらくらする
それに初めて人を殺したことに対する気持ちの処理がまだできていない
ただ呆然とその場に立ち尽くす
「ルシオ!」
ディルクが門を開けてこっちに来た
「よかった!無事だったんだな!」
ディルクは焼け野原になった目の前の光景に驚きながらも先に俺のことを心配してくれた
そこにエドワードもやってきて同じように驚いている
「ルシオ急に飛び出してどうした?何があったんだ?これはお前がやったのか?」
「・・・・・山賊が居たんだ、グレッグが山賊の仲間で・・・バーナードが殺されそうで・・・山賊をやっつけるために、僕が・・・ぐすっ」
「山賊?グレッグが?」
「ディルク!あれ」
エドワードが転がっている死体に気付く
「僕が燃やした・・・俺が、俺が殺したんだ・・・」
感情の波に耐えられなくなってその場に泣き崩れる
「だって、こうしないと・・・ぐすっ、みんな殺されちゃうから・・・こうするしかなかったんだ!」
「ルシオ・・・」
ディルクは状況がまだ理解できていないのかただ俺を抱きしめている
「とりあえずディルクはルシオを家に帰してやってくれ、調査は俺がやっておく。ルシオが落ち着いたら話を聞きに行くから」
「ああ・・・わかった。アリシアにルシオを預けたらまた戻ってくる」
ディルクに連れられ歩き出す
山賊達の悲鳴と焼き焦げた死体が頭から消えない
山賊が民家を襲ったとき人に火をつけて殺していたのを思い出す
(あれと同じことを俺はやったんだ・・・)
そう思うとまた涙が溢れてきた
村を救えたはずなのに心は全く晴れなかった
そしてディルクに連れられ家に帰った




