13 第一詰みセーブ
誕生日から一月が経った
今日もいつも通り午前中は剣術の稽古で午後はウィルと一緒に魔法の稽古
そういえば最近魔法の稽古に行くときマルクとアリスがついて来たがることが増えた
だが中級魔法は範囲の広い魔法もあるし危ない
「もう少ししたら二人にも教えてあげるからね?」といってもヤダヤダといって聞かないこともあったり、剣術の稽古後なんかは次が魔法の稽古で家から離れるのをわかっているようでピッタリくっついて離れないこともある
しかし最終的にはアリシアに捕まって泣きながら俺を見送る羽目になる
(ビシッと言ったら泣き出すしどうしたものか・・・)
ただ悪い気はしない
マルクとアリスはお兄ちゃん子に育っているようで、歩けるようになってからは俺の後ろをちょろちょろついてくるようになった
それがものすごく可愛い
もともとマルクは両親のことも大好きでアリシアとディルクにもよくくっついていた
そうなると俺の所が空くからかアリスは両親より俺のそばにいることが多かった
しかし一度魔法を見せてからはマルクが俺にばかりくっつくようになったため双子でよく俺の取り合いで喧嘩している
アリスが残り物の兄に情けをかけてそばにいてくれるわけではないようで安心だ
ウィルと一緒に稽古場に行く途中、村の自警団を数人見かけた
その中に見慣れない人が混じっているのに気が付いた
「ウィル、あんな人村にいたっけ?」
「ちょっと前に西の森で怪我をして村に避難してきた冒険者なんだって、怪我が治るまでと出立の準備の間自警団の手伝いやってるってお父さんが言ってた」
「ふ~ん」
前にも似たようなことはあった
ローリス村の西に広がる森はかなり広大で、薬に使える貴重な植物や珍しい生き物もたくさんいる
そのため王都と呼ばれる大国から冒険者が来ることもよくある
因みに王都へは、ローリスの東の街道を馬車で三日ほど進んでウェルクシュタットという街に行き、そこからさらに北へ二日ほど進んだらあるようだ
斜めにショートカットできない理由はローリスの北に広がる山脈のせい
魔獣も多い山道を通って王都を目指すより整備された街道をのんびり進む方が結果的に早くなる、急がば回れだ
魔獣が多いといってもローリスの北側は山の断崖になっている、結構な高さがあり上から魔獣が下りてくるなんてことは一度もなかった
その後ウィルと魔法の稽古をして家に帰る
夕食を食べ終えそろそろ双子を風呂にでも入れようかな?と考えながらのんびりしていると、突然外が少し明るくなった
「なんだ?火事か?」
ディルクが外の様子を見る
つられて俺とアリシアも外を見る
たしかに火事だった、ただ普通ではない
かなりの数の家が燃えている
「ちょっと様子を見てくる!お前たちは家に居ろ、ルシオみんなを頼むぞ!」
「わかった!」
ディルクが剣を持って家を飛び出す
「お母さんはマルクとアリスをお願い、なにかあったら僕がみんなを守るから」
「・・・わかったわ」
アリシアの様子を見ると俺と同じことを考えてそうだ
子供三人だけは絶対守り抜くって顔をしている
そうこうしている間にも火の手は増えていた
(大丈夫、まずいことになったらLoadすれば・・・)
と、そこまで考えて少し不安になる
(最後どこでSaveしたっけ?)
_______
Loadしますか?
はい/いいえ
_______
Load画面の確認をする
そこには見慣れた夕食の風景があった
(そういえば誕生日の日にSaveしたんだっけ・・・)
そう思ったが食卓にニジヨビドリはない
(あれから何日経った・・・っていうかこの夕食今日のだろ・・・)
Load画面に広がる夕食の風景はさっき食べ終わったはずのメニューだ
不安と緊張で背中に嫌な汗が流れた
誕生日の日にSaveして今日でちょうど30日なんだろう
同じ夕食の時間に自動更新されたのがついさっきということだ
転生してからずっと平和だったので自分でSaveするのをなまけていた
(頼む・・・大したことにはならないでくれ・・・)
そう願ったが火の手はすぐ近くの家にまで広がっている
そのとき
「男は真っ先に殺せ!ジジイとババアもだ、子供は抵抗しないなら生かしとけ、売ったら金になる!若い女はなるべく殺すなよ!」
野太い男の声が響いた
(山賊か?父さんは無事なのか?)
「お母さん!隠れて!」
三人を連れて風呂場に隠れる
その時二階の方で火が上がった
(どうすればいい?家の中に入ってきたら魔法をぶつければいいけど・・・)
前世でも強盗に襲われるなんて経験なかったからこんな時どうすればいいのかわからない
パニックになりかけ頭がまともに働かないでいた
(もうLoadしておくか?いやもう少しだけ様子を見てそれから・・・)
そう考えていると玄関の方で何か壊れる音が聞こえた
(入ってきた!)
_______
Loadしますか?
►はい/いいえ
_______
怖くなりとっさにLoadしてしまった
目の前にはついさっきの夕食の光景だ
(いや、これでいい。あそこまでいったらもうLoadしなくちゃ犠牲も出てるだろう。もしかしたら父さんだってあの時点で・・・でも、だったらどうすればいいんだよ・・・)
見間違いで昨日より前の食卓の風景にならないかというわずかな望みは絶たれた
間違いなく今日の夕食だ
つまり後30分程で山賊の襲撃がある
(どうする?どうしたら・・・)
「ルシオどうしたの?お腹でも痛い?」
アリシアが心配して声をかけてきた
「う、ううん・・・なんでもない」
「そう?」
「いや、やっぱりお腹痛いからトイレ行ってくる」
「あら、傷んだものでも使っちゃったかしら・・・」
トイレに行き一人で考える
(どうすればいい?籠城は駄目だろう・・・だけど母さんはともかく、マルクとアリスを連れて山賊から逃げ切れるか?そもそも父さんや他の村人はどうする・・・)
焦りから考えがまとまらない
もうすぐ火の手があがって山賊が来る
「ルシオ大丈夫?」
「あ、うん。もう大丈夫」
長い時間戻ってこない俺を心配してアリシアが様子を見に来てくれた
「ごめんね、夕食に何か傷んでたもの使っちゃったのかも」
「ううん平気」
「そう?」
アリシアが心配そうに俺を見る
リビングに戻るとディルクも心配そうにしていた
「大丈夫か?」
「うん」
「にいたんおなかいたいの?」「なおった?」
「うん、治ってもう痛くないよ」
マルクとアリスも心配してくれる
(俺が何とかしないと・・・)
そして外がまた少し明るくなった
SaveやLoad画面の“はい/いいえ”に「►」この矢印がない場合はただ画面を確認しているだけという設定です。
矢印がある場合はSaveしたりLoadしているということになります。




