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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
学園編
108/300

108 それぞれの思い 壱

引っ越しと報告で慌ただしい数日間だった

しかしようやくやるべきことも一段落して、新しい生活にも少しずつ慣れてきた




司教殺害の件も公になり、セルドロの犯行だと公表された

しかしノワールや俺のことは公表されず

セルドロが司教を殺したということだけが世間に発表されることとなった

俺が騒ぎに巻き込まれないようにという、真実を知っているメリアムやクラウス達の計らいだろう





家を持ったことで、晴れてマヤと同じ屋根の下で生活することになった

といっても結婚はまだ先の話だが


マヤを屋敷に招待すると「こんなところに住めるの!?」と凄く喜んでくれた

ウェルクシュタットのマヤの実家も相当大きい方なのだけど

外観や内装の趣が全然違うらしく、こういう屋敷に憧れていたそうだ


マルクとアリスが一緒に住むことはすんなりOKが出たが

メイドの三人に対しては少しだけ嫌そうだった

「もっとおばあちゃんの使用人でもいいんじゃない?」と言っていた

確かにまだ幼いシエロはともかく、テラとマルは誰が見ても文句のつけようのない美女だ

そんなメイドが一緒に住むとなると俺の浮気が心配なんだろう

そんなだから、サラが一緒に住むことに対してはメイド以上に嫌らしく

明らかに顔に出てしまっていた


メイド三人に関しては

メリアムの従者であること

この三人に頼まないと屋敷の手入れが行き届かないこと

等を話して納得してもらった

王子であるメリアムが用意したメイドという説明が一番効いたようだ

そんなメイドを追い出したとなると国の王子に対して失礼だとマヤもビビったのだろう


そしてサラ

サラに関しては正直にいきさつを話した

もちろんサラの許可を貰って

話し終わるころには、マヤは涙ぐんで「辛かったわね・・・好きなだけここに居ていいから」とサラの手を握り励ましていた

二人は歳も一つしか変わらないし、なんだかんだ仲良くなりそうだ



ローリスに戻りアリシアとディルクにも家を貰ったこと

そして懸賞金として金貨千枚を貰ったことを説明した

二人とも実感が湧かないようだったので

繋ぎなおした転移魔法陣を使い、実際に屋敷へと招待して

金庫にしまってある金貨の山を直接見せることにした


そしたらアリシアに「どれだけ危ないことをしたの!」と怒られた

マルクとアリスから説明してもらっていたようだが

相手が金貨千枚の懸賞金をかけられるほどの殺し屋ということは知らなかったし、思ってもいなかったらしい

怒られた後、改めて無事でほっとしたアリシアに皆の前で抱きしめられ少し恥ずかしかった


ディルクはディルクで

息子がこんな立派な豪邸を手に入れたことや

美しいメイドが三人もいること

そして俺が王子と友達になったこと等を聞いて

「もうとっくに父さんより立派だな~・・・」と、どこか遠い目をしていた


____

__

_



いつもの日常に戻り、いつも通りの稽古の風景

しかし今までより訓練はハードになっていた


ノワールとの戦闘で上には上がいるということを嫌というほど痛感した

ノワールほどの相手を敵に回すことはそう滅多にあることではないだろうが

きっと世界にはノワールより強い奴だって当然いるだろう

もしそんな相手と戦うことになってしまったら

ノワールの時以上に苦戦することになるかもしれない、そんなのはごめんだ

あんな苦しみもう二度と味わいたくない


というわけでもっと強くなるために今まで以上に稽古はハードになっていた

といってもあくまで自分自身の稽古だけで、ウィルやリリー達の稽古を無理矢理厳しくしているわけではない


「それじゃ今度はマルクも入って三人でお願い」

「はーい」

「兄さん、アリスは?」

「もうちょっと待って。あとでアリスにも手伝ってもらうから」

「わかった・・・」


今やっているのはウィル、リリー、マルクの三人から初級魔法で攻撃してもらって

それをレジストしながら、レジストしきれない分を避ける練習

俺がノワールにやったことをそのままやってもらっている状況だ

俺もノワールと同じように二人までならレジストできる

しかし三人目となるとレジストするのは無理だった


もしかしたらこの先一人で複数の敵と戦うことになるかもしれない

だから今のうちから練習しておくことにした


少し離れたところでセレナとアリスが見学している


レジストできるときはレジストして

レジストしきれない分を躱す

初級魔法だけなら三人でもなんとかいけそうだ


(よし、良い感じ!)


次はアリスにも参加してもらって四人に挑戦してみよう



________________________________


『ウィルフレッドの焦り』



ここ二、三日でルシオの様子が少し変わった


話を聞くと司教殺害の事件に巻き込まれて、ノワールとかいう殺し屋と戦ったそうだ

ルシオが言うには恐ろしく強かったらしい

しかしそんな奴にルシオは勝っている

ボクはいまいちノワールという人物の強さをわからないでいた


だけどルシオはノワールを倒したご褒美として立派な豪邸を貰っていた

あの豪邸を買うとなると金貨が何枚必要になるのだろう?

それほどノワールという殺し屋は有名なのだろうか?

だとするとそんな相手に勝ったルシオはどれだけ強いというのか


ルシオとはいつも一緒に稽古しているけど

ルシオの強さは底が見えない

いつも一人でこっそり何かを練習しているみたいだし


今日の稽古でも最初に準備運動がてらルシオと組み手をしたんだけど

その時からずっと違和感を感じている


なんというかルシオに全く隙が無い


どんな攻撃をしても防がれたり受け流される

今までもあまりボクの攻撃はルシオに通用していなかったけど

今日のは次元が違った

なんというか、ルシオは最小限の動きだけでボクの攻撃を防いでいたように感じる


今までは十回やれば一回くらいはルシオから一本とることができていた

ルシオはボクの癖を知っている

だけどその逆でボクもルシオの癖を知っている

だから時々だけどルシオの裏をかき意表を突くことでルシオに勝つことができていた


だけど今のルシオには勝てる気がしない


命がけの戦いというのはこうも飛躍的に成長できるものなのだろうか

もちろん成長できなければ待っているのは『死』なのだが


ルシオが一体どれほどの死線を越えたというのか

三日ぶりにあったルシオはいつも通りで

殺し屋と戦ったと説明をされても正直信じられなかった


それをさっき改めて実感した

証拠にルシオは数段強くなっている


実感するのと同時に少し怖くなった


もしかしたらルシオが殺されていたかもしれないということに


ボクの中で最強はルシオだ

小さいころからずっと、ルシオより強い人を見たことがない

ルシオに言わせれば、それはボクの視野が狭いだけなんだろうけど

それでも今まで、ボクにとって最強のルシオが誰かに負けるところを想像できなかった



考え事をしながらもルシオの稽古は続く

ボクとリリアーナでルシオを初級魔法で攻撃して、それをルシオが防ぐ

レジストしたり躱したり

ルシオにとって二人からの攻撃は楽勝みたいだった

そこにマルクも参加する


三人からの攻撃をルシオは軽々と躱している


その時ボクは目を疑った


「よし!三人もいけるな・・・それじゃアリスも入ってくれ」

「ちょ、ちょっとルシオ・・・今」

「ん?」


見間違いではないだろう

確かにルシオは目を瞑っていた

目を瞑った状態で三人からの攻撃を躱していたというのか


「どうした?ウィル」

「・・・・・なんでもない。後でボクの練習にも付き合ってもらうからね!」

「わかってるって。んじゃアリスもよろしく!」

「はーい」


ちょっと前までは視覚を殺した魔力を感知する稽古で『ウォーターボール』をぶつけられまくってずぶ濡れになっていたのに

今ではレジストしながら同時に躱せるようになっている





ずっとルシオはボクの目標だった

もちろん今でもそうだ


そんなルシオが

ただでさえボクの遥か先を行っているルシオが

また強くなった

強くなってしまった

まるでボクを置いてけぼりにするように


こんなボクでもルシオはいつも一緒に居てくれる

「卒業したら一緒に世界を旅しよう」と誘ってくれた


だから、ルシオの足手まといになるのは嫌だ




アリスが参加して四人になってもルシオに攻撃を当てられる者はいなかった


「ルシオ!もういいでしょ?次ボクにやらせてよ」

「もうちょっと!もうちょっとだけ。今いいとこなんだよ」

「僕もやってみたい!兄さん!」

「アリスもやりたい!」

「私は・・・今日はいいです・・・自信なくしました」

「駄目!リリーもやんの!」

「うぅ・・・」


ボクももっと強くなりたい

胸を張ってルシオと並んで歩けるように


__________________________________



『マルクのライバル?』



僕の兄さんは強くてかっこいい

僕とアリスが何にもできなかったノワールって悪い奴をやっつけちゃうし

メリアム様っていう王子様とも友達になっちゃうし

とにかく凄い!


今だってウィル兄とリリアーナさんとアリスと僕の四人が初級魔法で兄さんを攻撃しているのに全然当たらない

しかもよく見たら、兄さん目を瞑っている

なんであんなことできるんだろう?


「何やら面白そうなことしているね」


突然横から声をかけられてビックリした

声のした方を見るとクラウスさんが立っていた

隣には僕と同じくらいの男の子もいる


「あ、こんにちは」

「そのまま続けて」

「?」


クラウスさんがそう言うから兄さんに『ウォーターボール』を続けて撃っていたら

クラウスさんが隣でちょっと動いた

そしたら兄さんの頭に何かが当たった


「いってーー!!!・・・・誰だよ石投げたの!?」

「やっ」

「クラウスさん!?何するんですか!?」

「必ずしも敵が魔法だけで攻撃するとは限らないだろ?」

「今はそういう稽古してるんです!」

「いつでも実戦の心構えを忘れないことだ」

「ああ言えばこう言う・・・・何か用ですか?ホントに騎士団の隊長って暇なんじゃないですか?」

「失礼な。今日は息子を紹介するために連れてきたんだよ」

「息子?その子がですか?」

「ああ、息子のカイルだ」

「よ、よろしくお願いします」

「よろしく。クラウスさんと違って賢そうな男前だね」

「ホントに失礼だな君は・・・」

「冗談ですよ」


隣にいた男の子はクラウスさんの子供で

カイル君というそうだ


「カイル君何歳?」

「8歳」

「僕の一個下だ~、よろしくね。僕はマルク」

「よろしく」


カイル君と話していると隣で兄さんとクラウスさんも何か話していた


「へぇ~、それで・・・ちょっとやってみますか?」

「本当かい?」

「マルク、ちょっとカイル君と戦ってみないか?カイル君剣士なんだって」

「え!?」

「クラウスさんの子供だから強いかもよ?」

「カイルも、いいかい?」

「わ、わかった・・・やってみる、パパ」

「マルクもいいか?」

「わかった」


いきなりのことでちょっとビックリだけど

カイル君と戦うことになった


カイル君はクラウスさんの持っていた木でできた剣を使うみたいだ

僕も使ってみたいな


「マルク、攻撃魔法は禁止だ。ただカイル君は木剣を使うから代わりに強化魔法を好きなだけ使っていいぞ」

「はーい」

「木剣でも当たると痛いからな、気をつけろ」

「わかった」


「カイル、マルク君はかなり強いぞ?油断するな」

「わ、わかった・・・」



なんかこういうの大会のときみたいでちょっとワクワクする

大会はアリスに負けちゃってすぐ終わっちゃったから退屈だったんだ


「それじゃ・・・始め!」


兄さんの合図で試合が始まった


カイル君は僕を警戒しているみたいだ

だったらこっちから行ってみよう


兄さんに言われた通り強化魔法をちゃんと使って

カイル君がどれくらい強いかわからない

だから兄さんがいつも言っている「油断は禁物」ってやつだ


僕がカイル君と距離を詰めるとカイル君はビックリしていた

そんな思いっきり突っ込んだわけじゃないのに何をビックリしているんだろう?

もしかして思ってるより弱い?

ちょっと様子を見てみよう


ひるんでいるカイル君の腕を掴み投げ飛ばす

あっさり投げることができた

カイル君は背中から地面に落ちて痛そうだ


「あ、ごめん」

「けほっ・・・だ、大丈夫・・・」

「だから言っただろ!油断するなカイル!」

「は、はい!」


クラウスさんが大きな声でカイル君を叱ったからこっちまでビックリした

意外とクラウスさんって怖い人なのかもしれない


クラウスさんにビックリしていると

今度はカイル君の方から攻めてきた

でも強化魔法を使っているとそんなに速く感じない

難なく避けられそうだ


カイル君が木剣を振るう

それを僕が避ける


大丈夫、これくらいなら避けられる

カイル君の攻撃を避けたら反撃だ

そう思ってカイル君の攻撃を躱して、空振りしたところを狙った


「ぐっ」


空振りさせたはずなのに

カイル君の剣はすぐに軌道を変えて僕を襲う

攻撃するつもりが攻撃されてしまった


「いてて・・・な、なんで?」


「へぇ~・・・カイル君もう虎噛を使えるんですね。さすがクラウスさんの息子」

「まあね・・・・・ってルシオ君に虎噛見せたことあったっけ?」

「えっ!?あ、いや・・・クラウスさんのは見たことありませんよ?・・あはは」

「ん?じゃあ誰のを?」

「マ、マルク油断したな!お互い一本ずつ決めたしここらで終わろうか!」

「どうしたんだい?ルシオ君」

「ど、どうもしませんよ?」


確かに兄さんの言う通り油断してた

そこをカイル君に突かれ一本取られた

悔しい


「特待生じゃなくても強い子はいるな。マルク、次は負けないようにな」

「うん」


「カイル、いい勉強になったかい?」

「はい!」


強い子はアリスやアーロン君だけじゃない

特待生ばかり気にしていると足元をすくわれる


「ありがとうカイル君。今度僕たちと一緒に稽古しよ?」

「いいの!?」

「いいよね?兄さん」

「ああ、もちろん」

「「やった!」」


新しい友達ができた

実は兄さんとウィル兄みたいな関係に憧れていたんだ

アリスは兄弟だし、アーロン君はちょっと違う気がする・・・

カイル君とこれから仲良くなれるといいな






「ところでルシオ君、何処で誰の虎噛を見たんだい?」

「もういいでしょ!しつこいなクラウスさんは!」


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