Ic13266世界 クイズキングダム 【昔話】
「下のアルファベットは、とある法則にしたがって並んでいます。
□に入るアルファベットは何?
D・R・M・F・□・R・S・D・R・・・」
「Sだ!
音階、ドレミファソラシド……だろ!?」
「クイズキングダムの王宮と古代遺跡デミグラス宮殿、敷地を含めて広いのはどっち?」
「うわあああああああわかんねえええええええ!!」
「デミグラスキュウデン。12㎢ホド、サガ、アル。」
チーム【ヌエリャンオパツェリ】との直接対決。
一進一退の勝負ではあったが、さっちゃん、つまりエージェントIh030の第一問目の正解に波に乗ったチーム【BOKU☆METU】は、なんとか優勢のまま終盤を迎えていた。
「それでは、次の問題です。
答えは複雑ですので、よーくお考え下さい。
それでは問題提示、カウントダウン!
3・2・1・0!!」
問・
ここはあの世へとつながる分かれ道。
どちらかが極楽行きで、どちらかが地獄行きです。
あなたたちはそれぞれの分かれ道にいる門番に、YESもしくは、NOで答えられる質問を一度だけすることができます。
門番はいつも本当のことを言う正直者か、いつもウソを言う天邪鬼のどちらかなのですが、どちらがどちらなのかは見分けがつきません。
さて、どんな質問をすれば極楽行きの道を知ることができますか。
「なるほど、ロジックパズルか。
この手のクイズは僕が得意だ。任せてくれ。」
「さ、流石先生!頼もしいです!」
「うちの師匠と違って頼りになるぜ!!」
「早まるなよバァカ。」
「ってえ!」
俺、エージェントAa015は、真面目が服着て歩いているような最強の男、エージェントAa004を小突く。
まったく、こういうところ、頭が固いというかなんというか。
俺同様にここまで長く生き延びたエージェントである以上、柔軟な思考も当然持ち合わせているはずだが、いかんせん根が真面目過ぎる。
「せ、先生!?」
「な、何すんだよ師匠!」
「まったく、おまえら三人が三人ともクソ真面目か。
このくらいの単純なひっかけ問題くらい分かれ。」
そしてエージェントAa004の弟子、エージェントIh014もまた、師に似て真面目な人物だ。
本来真面目とは誉め言葉だが、それだけでは生き辛いのがこのエージェントというものだろうに。
「答えは『複雑』、だ。
さっき言われただろ。
『答えは複雑ですので、よーくお考え下さい。』ってよお。」
「あ。」
「あ。」
「おおー。」
ちなみにこのロジックパズル、答えはこうだ。
門番に「『この道は極楽行きか?』と俺がおまえに尋ねたら、おまえは『Yes』と答えるか?」と尋ねればいい。
時間さえしっかりとかければ、この本戦に残るほどの頭の良いやつなら解答に辿り着くはずだ。
だからこそ、惑わされる。
ロジックに頭を使うことに必死で、簡単なことを見落とす。
「……やっぱり頼もしいね、エージェントAa015様は。」
「……なんじゃそりゃ。」
「覚えていないかい?
僕にそう呼べと言った時のこと。」
「はあ。
照れくさかっただけだ、覚えてるよチクショウ。」
ついさっき小突いた男に、良い顔を向けられる。
そのやりとりは嫌味なようで、しかし単純な好意の現れのようでもあった。
「無事にこの準決勝を突破出来たら、少し昔話でもしようか。
そういえばアイもサティも僕たちのこと、聞きたがっていたしね。」
「うーん……まあ。」
まあ、それも悪くはないか。