Ic13266世界 クイズキングダム 【国王】
「いよいよ始まります、10年に一度の大祭典。
第82代のクイズキングダム国王を決める大舞台であります。
この国の国民ならば一度は思い描いたことがあるでしょう、己がチャンピオン・すなわち国王となることを。
その夢を叶えんと予選を勝ち抜き本戦へと勝ち残った者たちは僅か4組。
しかし夢を叶えるために彼らが賭けるものはあまりに大きく、それすなわち己の命であります。」
クイズキングダム。
その名の通り、ここではクイズに価値があり、つまりそれを解くことのできる者に価値がある。
この世界で言うクイズとは「知識を問う問題」だけでなく、「推理・判断力クイズ」といった「思考力を問う問題」等をも指し、広義的な解釈を持つ。
「これは嵐の前の静けさでありましょうか。
この国で最も広いクイズドーム会場を所狭しと埋め尽くした観客が、放送を通して見守る国民が、その溢れんばかりの熱気とは裏腹にただ一言も発することなく待っている様子。
なにを待っているか?それは聞くだけ野暮というものでしょう。
……それではお待ちかね、知の求道者たちの入場であります!!」
クイズキングダムの国王は10年に一度開かれるクイズ大会、その優勝者に決まる。
冷やかしや売名目的の者を振るいに落とすため、本戦出場者の後に敗退した場合には名誉の死を与えられるという条件が定められている。
クイズの内容等は主に現国王とその取り巻きが設定することとなっており、今大会の参加条件は四人一組であることであった。
優勝チームのリーダーは国王となり、以後のクイズキングダムを治めていくことになるのだ。
「早々に姿を現すのは優勝候補ナンバーワン!
人気番組雑学王決定戦のチャンピオンを筆頭に、最高峰の頭脳が集まった!
我らに解けぬ問題など何もない!チーム、【エルダーブレインズ】!!」
「さあ、今日はどんな面白い問題に出会えますかねえ。」
今回はチーム戦ということで、本戦出場資格を得るための予選も単純計算で四分の一ほどの倍率で済んだはずだった。
それでも何百・何千チームを蹴落としてようやく本戦まで辿り着くことができるのだ。
ここまでくると、流石に運の良さで本戦に残るチームなどいない。
「続きますのは最強の血を引く男。
なんと現国王の実子率いるロイヤルな命知らず!
不敬であるぞ、頭を下げよ!チーム、【王子と愉快な仲間たち】!!」
「父上、偉大なあなたを超えて見せます。」
しかし裏を返せばこれは徹底的な実力主義ともいえる。
なぜならば身分が低かろうが、貧乏だろうが、怪しい連中だろうが、クイズの実力さえ示すことができればどこまでも前へ前へ、そして本戦へと辿り着くことができるのだ。
つまり、誰もが王になる可能性を持っているとさえいえるかもしれない。
「おっと?軽快なリズムが聞こえてきたぞ?
民族舞踊に合わせて入場するのは自称・知の精霊と共に暮らす者ども!
イロモノ?違う、ツワモノだ!チーム、【ヌエリャンオパツェリ】!!」
「オデタチ、ガンバル。マケナイ。カツ。」
この国はA世界を基準とするならば、近現代的とも未来的ともいえる高度な技術体系を持っており、タッチパネル入力式の問題や大掛かりな仕掛けを用いた問題など、出題形式も多岐にわたった。
そして今、本戦は現国王を含む大観衆に見守られ、超大型ドームを舞台に始まろうとしている。
どんな問題が出るかを知るのは神のみぞ知る、ではなく、王のみぞ知る。
「さあ、最終チームの入場です!しかし、コイツは誰だ!?アイツも誰だ!?
チームメンバー4人のうちなんと全員が無名の超ダークホース!
このままの勢いで頂上まで上り詰められるか!チーム、【BOKU☆METU】!!」
「よっしゃあー。やるぞぉ。」
「師匠、棒読み、棒読み。もっとやる気出せよ。」
「どうしてこうなった……!!」
そして私、エージェントIh014をリーダーとするチームBOKU☆METUは。
エージェントAa004・エージェントIh030・エージェントAa015の、四人の転生撲滅委員会エージェントで構成されており。
今まさに本戦での戦いを控えているのであった。