「意識の海にて」
「さて。
ついに次の世界で、今回の研修が始まってちょうど十を数える世界になるね。」
そうだね。
流石に彼女、エージェントIh014も寂しそうにしていたよ。
研修の終了が近いと伝えたらさ。
「そりゃあそうだろう。
なにせあの子はキミのことを大切に思っているし、尊敬しているし。
はっきり言ってキミにお熱だからね。」
茶化さないでくれよ、恥ずかしい。
「いや、客観的事実だよ。
……まあいいや、とにかく次の任務なんだけど、ちょっと面白いことになってる。」
面白い?
「うん、面白い。
今までに前例のない提案が来てる。」
え、どんな?
「研修中エージェント二組の合同任務。」
た、確かにそりゃあ前例が無いハズだ。
どう考えてもその提案って、委員会からじゃなくてエージェント側からの提案だろう?
「うん、正解。」
実際のところ発想は面白いけれど、そんなぶっ飛んだ提案するエージェントなんて、僕の知っている限りではでは一人くらいしか思い当たらないぞ。
「んふふ、多分その一人で合ってると思うよ。」
やっぱり?
……じゃあ、その提案受けるよ。
「おお、即断即決。
とはいえ、きっとそう言うと思ってたよ。
なんだかんだ言ってもキミは彼のことが好きだからねえ。」
まあ、否定はしないよ。
僕とは違うタイプだけれど、面白いもの。
「ともかく、それじゃあOKってことで進めていくよ。
それでいいね?」
ああ、それで大丈夫。
よろしく頼んだよ。




