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~Iのメモ~ その一(※用語集)

【転生撲滅委員会】

 私たちの所属する組織。各世界線にエージェントを派遣し、転生・転移による個々の世界への歪な干渉を正すことを目的としている。

 ネーミングの案には「転移及び転生撲滅委員会」というものもあったとか。

 個人的には「転移及び転生撲滅委員会」でもよかったと思う。



【意識】

 魂、あるいは精神とも呼ばれ、他にもいくつもこれを表す言葉がある。肉体的な部分とは異なる、自身を構成する要因。

 私が私を私だと考えているこの思考自体。

 ……合ってるのか?この解釈。うーん、難しい。



【意識の海】

 世界線を移り行くエージェントが任務外の時間を過ごす、いわば意識の待機場所。

 何もない、というか何も分からない。黒色といえばいいのか無といえばいいのか、強いて表現するなら目を瞑った時のあの感じに近い、と思う。

 ここでは基本的に何者からも干渉されず、ただただ思考を巡らせるのみの時間が流れる。私は嫌いじゃないけれど、時間間隔がないからあまりにこの時間が続くと発狂しかけるらしい。

 唯一の例外としてナビゲーター(という認識でいいのかな?)からの干渉は受け付けることができ、それによって次の任務へと向かうことになる。



【器(肉体)】

 私たちエージェントの派遣された意識が、現地の世界で行動するための身体。肉体とも言われる。

 どの世界線に行っても同一の器が用意されるが、その身体能力等は世界ごとに変動する。

 だから前の世界では世界最強レベルだったのに、次の世界では子どもにも喧嘩で勝てない、なんてこともざらにあるらしい。

 ちなみに器が滅ぶ=肉体的な死を迎えることは意識にも深刻なダメージを与えるため、エージェントと言えど死ねば死ぬ。意識だけで逃げおおせられる、なんてことはない。注意。怖い。



【肉体に添える】

 器(肉体)に、事前に収集されたその世界に関する情報を記憶として添えること。なぜか「器に添える」とはあまり言わない。



【絞り込み】

 転生反応光の観測等によって、事前にその世界がどんな世界で、転生の容疑者あるいは特定された転生者・転移者がどんな人物かといった情報を得ること。その世界によって、得られる情報に幅が出る。

 これはエージェントではなく転生撲滅委員会の本部の仕事だという話だが、そもそも転生撲滅委員会の実態などエージェントは(少なくとも私は)なにも分からないため、どうやって情報を得ているのか、どんな人がどんな環境で働いているのかなど考えるだけ無駄である。

 結局、絞り込みが進んでいる世界だったらいいなー、くらいの感想しかない。



【転生反応光】

 一個体がその生命活動を終え、しかし意識・記憶を引き継いだ状態で新たに転生に成功した際に生じる光。

 転生が生じてから観測されるまでには平均して10~30年程のタイムラグが生まれるため、転生者は基本的にその世界で10~30歳の人物となる。これは少なくとも私にとってはありがたい。だってたとえ転生者であったとしても、流石に赤ん坊を殺すことはできないと思うから。

 ちなみに転移の際にも同様の光が生じるが、こちらは観測までにタイムラグがほとんどない。



【滞在猶予期間】

 意識がその世界で肉体にとどまり続けることのできる期間。

 この期間が切れるまでに意識の海に戻ることも、反対に延長して世界に留まることもできない。

 極端な話、3年の滞在猶予期間の初日で任務を達成した場合、のこりの時間は好きに過ごしたらいい。ただし任務=特定人物の殺害となるため、上手くやらないと残りの期間を犯罪者・逃亡者として過ごすはめになる。流石にそれは嫌だなあ。



【世界番号】

 地球と呼ばれる世界の一つを仮にAa00000世界と定め、その世界が地球からどれだけかけ離れた世界かを表した番号。

 つまり、形式上Zz99999世界に近づけば近づくほど、トンデモナイ世界となっていく。

 私は初任務であるFの世界で既に魔法が使えたので、いったいこれ以降の世界はどうなっていくんだと衝撃を受けた。が、例えばRの世界にもほとんどAa00000世界と同じ世界があるらしい。世界番号を決める要因はそう単純なものではないのだとか。

 ……まあ、そのR世界は、人間は地面から生えてきて繁殖する世界だったらしいのだけれど。



【研修制度】

 新人のエージェントが任務にあたる際に、ベテランのエージェントが同行し、ノウハウを教え込む制度。言わずもがな、私もこの研修の身。

 この制度ができた理由は、初回から数回のうちの任務でのエージェントの死亡率が高く、逆に一定の任務をこなしたエージェントの死亡率が目に見えて低かったからということ。

 私の先生であるAa004は、最初期メンバーのエージェントコード、「Aa」の名を冠し、一桁ナンバーで今もなお現役である唯一の存在。

 ……器は不変だから外見は若いけれど、実際に世界で生きてきた時間を累計するといったい何歳くらいになるのか見当もつかない。おじいちゃん?



【任務失敗】

 どうも、任務に失敗して意識の海に戻っても、二回までは許されるらしい。

 ただし三回失敗するとどうなるかわからないのだとか。……頑張ろう。







 なお、世界線を超えて物体を持ち越すことはできないため、このメモを引き継いで持ち帰ることはできない。

 そう、アウトプットをすることで記憶としての定着を図っただけなのだ。

 決して、メモを持ち越すことができないことをうっかり忘れていたわけではない!


 しかし、言葉として書き起こすことはいいことだ。

 頭の中の情報が少しすっきりしたように思う。


 そのうちまた書こう。

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