Za00004世界 終点 【拮抗】
視点・元 Aa004
既視感があった。
それは何に?と自身に問うまでも無く、この極限のやり取りに対してだ。
「荒れ狂いなさい。ブレイドダンス。」
「形を成せ。仇敵を屠れ。ヴェントブレイド。」
互いが次の瞬間に殺していても殺されていても何の不思議もない、一瞬の隙さえ許さない命のやり取り。
お互いに、己のすべてを振り絞る決戦。
これは前に、エージェントAa015とSy10592世界・夢幻領域にて対峙した時と同じ感覚だ。
だがあの時と決定的に違うのは、今度はこちらにももう後が無いということ。
今回は相打ちも許されない。求めるのは勝利のみ。
「響け、魂の咆哮。」
「轟け、神の雷鳴!」
けれど、僕は知っている。
極限のやり取りほど、拮抗し長引くものなのだと。
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「ゆらゆら。闇の揺り篭。」
「極大消滅呪文・空虚砲!!!」
魔力が、尽きる。
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「秘術・塵殺人形……!」
「操命呪法『糸手繰る死神』!!」
呪力が、尽きる。
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「召喚・名も無き英雄!!」
「召喚・英雄王者!!」
運命力が、尽きる。
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やはり僕たちはどれだけの時間か分からないほどの長い時間を、戦い続けた。
そしてまた今、ありとあらゆる力が底を尽こうとしている。
だが、今回は、前の結果とは違うようだった。
「ぜえっ、ぜぇっ……!!」
僕のすべてが尽きるよりも前に、エージェントIh014が己の限界を迎えたのが分かった。