Sy10592世界 夢幻領域 【対話】
「なるほど、ここか。考えたね。」
「おまえと殺りあうなら、条件をどうにか対等に持ってこないかぎり勝ち目は無いからな。」
「また心にもないことを。」
「いいや、残念ながら本心だ。」
「そっか。
……ここを選んだということは、もう逃げることは考えていないんだね。」
「ああ。もう、委員会への報告も済ませた。
前みたいに逃げる理由はねえよ。安心しろ。
今度こそ、俺かおまえか。ここでどちらかはおしまいだ。」
「言っておくけど、この世界でなら僕は負ける気はしないよ?」
「奇遇だな、それは俺も同じだ。」
「そっか。それもそうだね。お互いに、数えきれない世界を巡った男だ。」
「ああ。お互いに、な。
……ところで、聞きたいことがあるんだが。」
「……なんだい?」
「以前、俺はHe83245世界でおまえにこう言った。
おまえも今はとりあえず生きるために殺して、そのうち大切なものを見つけられればいいんじゃないか、と。
……おまえの大切なものは、見つかったのか?
このエージェントを殺して回る現状が、それに対して必要だという認識で良いのか?」
「…………ああ。そうだよ。」
「そう、か。」
「うん。
ああ、じゃあ、もう、始めようか。」
「そうだな。
……いくぞ、エージェントAa004。」
「来い。エージェントAa015。」