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独白 黒
また一つ、転生者の命の灯が消える。
それを確かめ世界を渡り、相対する人物を討つ。
相対する人物とは転生撲滅委員会のエージェントであり、儚く散った転生者・転移者たちの憎むべき相手だ。
しかしこれは粛清・誅伐ではない。
目には目を、歯には歯を。
そういった裁量のもとに下される、復讐の類では決してない。
これは救済だ。
しかし救う相手は転生者・転移者ではない。
救うべき相手はエージェント。
転生撲滅委員会のエージェント達だ。
彼らの幸福を、苦しみからの脱却を、心の底から願いながら剣を振るう。
これ以上茨の道を歩むことがないようにと祈りながら、数多の命を刈り取る。
そしてまた、救うべき相手が目の前に。
さあ。
君たちを、救わせてくれ。