「意識の海にて」
「やあ。流石エージェントAa004。
今回も大活躍だったらしいね。」
ん、ありがとう。
アイ、じゃなかった、エージェントIh014から先に色々聞いてきたってところ?
「そうそう。
もうなんというか呆然って感じで、それでもキミの活躍はしっかりと教えてくれたよ。」
そっか、よかった。
実はIh014に助け舟を出したところで、彼女、こと切れてしまったんだ。
死んでしまったのか意識の海に送還されたのかが判断できないから微妙なところで、ちょっと心配してたんだよ。
「話を聞く限り、これ以上ないってくらいにギリギリのところで助け出したらしいじゃない。
でも、今回はキミ、才能も並みだったはずなのによく助け出せたね。
転生者はマトモに太刀打ちできるわけがないってくらいに強かったのに、キミは颯爽と現れて転生者を一撃でぶっ飛ばしたって彼女言ってたけど。」
ああ、単純な話だよ。
一つ目に、相手は寝起き且つ薬もまわって動揺した状態で、マトモな判断ができない状態だった。
ここらへんは、Ih014がうまくやってくれてたよ。
「へえ。
なんだか話を聞く限り、ほぼなにもできなかったのかと思うくらいに自分を卑下してたけど、ちゃんと頑張ってたんだね。
自力では行き詰ったときにリリーとやらがいなくなったのをはじめ、結局すべてが先生が裏で動いてくれていたおかげです、だなんて言ってたけど。」
まあ、たしかにその件は僕が裏で動いていたけれど。
でも十分に頑張ってたよ。
作戦も自力で立てたし、もともと限りなく僕の助けは無しで任務達成するくらいのつもりだったみたいだ。
……話を戻すけど、二つ目に、単純に金の力で殺したようなもんだった。
「金の力?」
そう。
宿屋の主人を買収して盗聴を仕掛けたり。
それに高速移動を可能にする魔法靴だとか、肉弾戦の攻撃力を激増させるグローブだとか、超高級な装備を一式着こんでたよ。
勇者一派の魔法使いを暗殺するためだって理由を出したら、暗黒一派とかいう胡散臭い連中がいわゆるレアなアイテムを売ってくれて。
まあ馬鹿みたいな金額要求されたけど。
「結局そのお金の出所はどうしたのさ。」
馬鹿みたいな金額だったけれど、どこかの馬鹿が、お金は大量に恵んでくれたからね。
困らなかった。
「ふうん?
……まあ、キミの話は面白いからもっともっと一部始終聞きたいところだけど、実は次の予定も詰まっていてね。
申し訳ないけど、早速次の世界の話をさせてもらうよ。」
申し訳ないだなんてとんでもない。
すぐに次の任務があるのは、退屈しないで済むから助かる。
「ありがとう。
さて、次の任務はAa00056世界。
ゆえに、今回は肉体の適応度に関して実質考えなくていい。」
Aa世界か。
そりゃあやりにくいね。
「そしてここからが本題。
今回キミとIh014には、学校の先生になってもらう。」
……。
……これは、また、予想外な。
「じゃあ、少し詳しく説明するね。」
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