「意識の海にて」
「おかえり、Aa004。」
ああ、僕は戻ってこれたんだね。
ここは意識の海で合ってるよね?
「うん、合ってるよ。
正直なところ、キミが任務を達成できなかったと知った時には目と耳を疑ったさ。
ただそれでも、ちゃんとキミは生きて帰ってきた。
それだけでまずは十分だ。」
……それは、僕が優秀なエージェントだから?
「いいや。純粋に、キミとつき合いの長い個人としての意見だよ。」
そっか。いや、ありがとう。
「どういたしまして。
さて。疲れているところ悪いんだけど、当該世界でどんなことがあったか、報告をお願いするね。」
ああ、わかったよ。
まず、Pq35880世界の大賢者の島。
この島の住人は、常識の範囲からひどく逸脱する不思議能力を持った連中のかたまりだったよ。
その中でも運の悪いことに、ストリングスと名乗った転生者は自らの能力を全知だと明かしに来た。
「わざわざむこうから会いに来たわけ?」
うん、そう。
初対面で僕が転生撲滅委員会のエージェントであること、転生者を殺す目的でこの世界に来たこと、僕の滞在猶予期間まですべて言い当てられたね。
「はあー、なるほど。
ってことは殺そうとするタイミングや方法なんかも実行するより前に知られてしまってたってことかな。
そりゃあいくらなんでも無理だね。
むしろ、よくぞ生き残ったもんだ。」
生き残ったのは、単純に転生者が僕を排除しようとする意志が無かったからみたいだよ。
僕に殺されることは無いと知っているからこそ、僕の生き死にまでは頓着は無かったみたいだ。
「そっか。しかしそうなると、他にどんなエージェントを送ったってどうしようもないなあ。
これは上への報告も気が重いぞ。
……まあとにかく、報告ありがとう。
続いて次の任務の話だけど、このまま続けていいかな?」
ん、大丈夫。
「次の任務は大規模転移事案だ。
転移者20人の集団転移で、この任務は再びAa015組との合同任務だ。
Ih014・Ih030両名の研修課程における最終任務になる。」
……了解。
「んー……ところでキミ、いつにも増して抑揚が薄いね。
もしかして任務失敗引きずってる?大丈夫かい?」
ん、いや、まあ、なんというか考え事があってさ。大したことではないんだけど。
「そうかい?何か悩みでもあれば話くらいは聞くけど。」
いや、大丈夫、気持ちだけ受け取るよ。
それじゃあそろそろいってくる。
「ああ、いってらっしゃい。」
「……。」




