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異世界転生者管理課の業務日誌  作者: 波音海音
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0日目 なんで神様幼女なん?

「あーすまんけど、そこの自分。自分や自分。いつまでもうなだれとらんと、顔上げんかい。」

 おかしい、死んだはずなのに幼い少女の声がする。そしてなぜか関西弁で話している。というよりも、誰かに話しかけている。もしや、この声の主は死んだ自分に対して声をかけているのではないかと、驚きと、少しの期待を胸に顔を上げた。

 

 幼女だ。正確に言えば、関西弁を喋り、白いぶかぶかのローブのようなものを身に着けた幼女がそこにはいた。

「きーとんけ自分?返事ぐらいせんかい。どつくでダボが。」

訂正しよう、少々口が悪く関西でも怯えられる方言を話す幼女だった。死を受け入れられない俺は、既に死んでいるにもかかわらず、頭までおかしくなったのかと悲観しそうになるが、それどころではない、この状況、聞かねばならないことがある。

「俺は、生きているのか?」

「あほか!死んどるにきまっとーやろ!」

怒られた、やっぱり死んでたうえに幼女に怒られた。しかし、お前は死んだといわれているのにもかかわらず、先ほどまでよりすんなりと、自分の死を受け入れることができた。

「なんや、落ち着いたみたいやな。いろいろ聞きたいこともあるやろけど、こっちも仕事があるからな。仕事の前に少しだけなら答えたる。なんかゆーてみ。」

「君は誰だ?なぜ死んだ俺に意識がある?」

「うちは神様や。うちとしゃべるのに意識なかったら困るやろ?」

まあ死んだ後に見ているのだから神様とかそういうやつかと思ってはいた。というか、この幼女が神様なら、さっきまでの俺の喋り方はまずかったんじゃないだろうか。

「ならなぜ神様は俺としゃべりに来たんですか?」

「急に話し方丁寧になるなや、気持ち悪いな自分。さっきもゆーたけど、仕事や仕事。どや、自分、異世界っちゅーのに興味はないか?定番の異能力やらもついてくるで。」

異世界?異世界って言ったかこの幼女。これは、あれなのか、異世界に行ってチートで暴れてハーレム作ってっていうそういうテンプレ的展開なのか!異世界という単語に興奮する脳を何とか落ち着かせて言葉を返した。

「興味ならある!もちろんだ!あと異能力ってなんだ?」

落ち着かせたはずの脳だったが、どうやらダメだったらしい。

「ちょっと落ち着かんかい!あと、言葉遣いもどっとーで自分。まあええわ。ほな、異世界の説明から始めるで。」

「異能力は?」

「後や。先に異世界の説明や、あんたの行く異世界は別に魔王もおらんし、悪政が布かれとるわけでもない。平和に暮らせばええわ。せやけどな、一個だけ問題があるんや。あんたみたいな転生者の数が少しばかり多くてちょっと、治安が良くないかもしれんねん。まあそんなん気にせんでええわな!」

非常に気になることを言っているが大丈夫だろうか……

「それで、異能力というのは?」

「あぁ、せやったな。異能力含めて転生後のステータスは自由に割り振れるんや。せやけど上限は決まっとるからちゃんと考えることをオススメするわ。試しにオープンステータスってゆーてみ。」

「オープンステータス」

言われるがままにそう唱えるとゲームでよく見るステータス画面のようなものが現れた。

「なんとなくで操作方法はわかるやろ。転生は今から一時間後。それまでよく考えることやな。いい忘れとったけど、転生先は地球で言えば1800年代で剣と魔法の世界っちゅうやつや。それも踏まえて考えるんやな。」

実に親切な説明だった。しかし、気になるのは先ほどの他にも転生者がいるということである。慎重にステータスを選ばなければ転生後に痛い目を見そうだ。そう思いながら、さまざまな異能力を眺めていると、一つの興味深い異能力を見つけた。なるほど、これがあれば……


 丁度一時間がたったころ、幼女が口を開いた、

「さて、準備はできたか?」

「あぁ、十分だ。」

「よし、では転生をはじめる。目を閉じろ。貴様の新たなる人生での幸福を願うぞ。」

先ほどまでの喋り方と打って変わって決まり文句のようにそう口にした幼女に、つい笑ってしまって怒られるかと思ったが、次に目を開けるとそこは、格式高いホテルのロビーのようなところだった。

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