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64話 キエア火山.4

 

 赤く巨大な光は熱気を帯び、大きくなりながら私達に迫ってきた!

 私はこれが直前まで炎だと気付かずにいたが、イザークとエルクはすぐに気付き守りの魔法を発動すると炎は目の前数メートルで魔法にぶつかり砕けた!


「おい!エルクスレーベン、どうなってるんだ!?」


「情報が足りません!」


 炎が散り目の前が開けるとそこには灰色の鱗をもつドラゴンの姿をした魔物が現れた!瞳は白眼部分が真っ赤で黒目は白く瞳孔は黒く細く、ギョロリと私達を睨み付けている。

 大きさは…まるで子供の頃にテレビで観た怪獣そのものだ!

 魔物はドシンと真っ黒な砂埃をあげて着地すると長い首を伸ばし顔を空に向け一度大きく吼えた。


「エ…エルク!?こんなに大きいの!?」


「封印されたときはもっと力を無くし小さくなっていたのに…ここまで力を取り戻していたなんて!」


「こいつが魔物で間違いないんだな!?ちっ、こんなにデカいなんて予想外だ」


 私達がどうしようかと相談する間もなく、耳をつんざく爆音で吼えた魔物は再び口をこちらに向けて開き炎を出そうとする。


「コトネ、守りを頼む!」


「はい!」


 魔物からの炎を遮るように大きく守りの魔法を展開すると、イザークは氷の魔法で魔物の首もとから頭にかけ攻撃し凍らせて一瞬動きを止めたが、魔物は大きな体全身で身震いすると簡単に跳ね返してしまった!


 エルクがこちらに合流しイザークと二人で氷の魔法を使うが今度は魔物の口から吐き出される炎でかき消されてしまった。


「!? ねぇ二人とも見て、魔物の左胸!」


 私の目には炎の隙間から魔物の左胸に刺さった輝く剣が見えた!

 あれは間違いない、エルクのビジョンで見たノア様が持っていた剣だ!


「あれは、ノア様が魔物に突き刺した剣!…輝いているということは魔法が発動されている証拠です!…し、信じられない!魔物はノア様の剣に宿った光の魔法を闇に替えて自身の力にしている!?」


「無茶苦茶だな!だからこんなに早く魔力が回復したのかっ!?」


 エルクはショックだったろう、顔が青ざめていた。しかしゆっくり考えている暇はない。直ぐに立ち直ると魔物を睨み付けた。

 魔物はあまりに巨大で私達は守る一方になっていた。

 何度か炎をはいた魔物は私達に炎が効かないと分かったのか今度はこちらに向かい足を踏み出した。


「エルクスレーベン、コトネとエルクスレーベン二人分の魔力を最低限だけ残して俺に移してくれ!」


「イザーク!?」


「安心しろコトネ、俺は絶対に約束を守る!」


 ノア様の最期が頭に浮かんだ。それはエルクも同じようで黄色い瞳は私をじっと見つめてきた。エルクはイザークの言う通りにするつもりなんだ。あとは、私が了承するだけなんだ…。


「コトネ、俺を信じろ!」


 その間にも魔物はこちらに迫ってきている。迷っている暇はない!


「エルク、お願いします!」


「かしこまりました!イザーク様、宜しくお願いします!」


 私が了承するとエルクはすぐに杖を降り下ろし杖先をイザークに向けた!

 途端に体がとてつもない疲労感に襲われた。きっとこれが魔力が抜けた証拠なのだろう。


「よしっ、出てこいアマロ!」


 イザークの足下が広く大きく輝き広がると出てきたアマロが魔物の前に立ち塞がった。

 三人の魔力が一つとなったイザークの魔力はアマロに反映され大きさは魔物と対等になっている!

 魔物とアマロは激しく吼え互いを威嚇すると、思いっきり体をぶつけ合った。巨大なドラゴンのぶつかり合う音はまるで爆発音のように山頂に響く。

 アマロは素早く身を翻すと、低い姿勢から大きく口をあけ鋭い牙を光らせながら魔物の喉元めがけて噛みついた!


「アマロ、そのまま抑え込んでろ!!」


 アマロが魔物を抑え込ませた隙に魔方陣を突き刺そうと考えたようだ。

 確かに、対等の大きさのアマロと魔物の様子を見ていればそんな隙も生まれそうだ!そう思った。


 しかし、魔物は上半身は抑え込まれているが大きく苦しそうに吼えながら長い尻尾をくねらせ激しくアマロにぶつけ、短い前足で必死に爪を立て抵抗している。


「コトネ!俺が奴の尻尾を抑えるから、魔方陣を頼むぞ!」


「わかったわ!」


 私とエルクから離れて魔法で高く跳んだイザークの手には光が集まり長く細いものに変化すると、穂先の広がった長槍がイザークの手に握られた。


 はるか高く、太陽の光で目で追えないほどに跳ぶと魔物の暴れる尻尾めがけて長槍をおもいきり突き刺した!

 長槍が尻尾を捕らえると魔物は抑え込まれながらも一度空に向かって炎をはいた。


「コトネ、今です!」


 エルクが杖を振りかざし魔物の前足を凍らせた。胸元で光る聖霊の雫石をぎゅっと握り「お願い!力を貸して」と願うと再び頭に声が響いた。


『マカセテ!』


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