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5話 魔族の寿命

 湖のほとりは日射しがポカポカと降り注ぎ、暖かく気持ちいい。使い魔達は遊び疲れたのか3匹かたまってお昼寝中である。


「そういえば、イザークとケヴィンは幼なじみって言っていたけれど歳も同じなの?」


 お城に戻るまではまだ時間があるらしく、しばらく湖で休んでいこうとイザークが提案したところでケヴィンが用意してくれていた食べ物と飲み物をいただきながら私たちは他愛ない会話をしていた。


「いいえ、イザーク様より私の方が歳は15上です」


「えぇ!? 15歳も違うの!?」


 ケヴィンとイザークは見た感じ同い歳くらいかなぁと思っていたので、15歳も離れていると聞いて驚きしかない! 改めて二人を見比べてみるけれど信じられない。

ケヴィンが若作りなのか、イザークが歳よりも老けてるの……?


「なんだ? コトネはそんなに驚いて。昨日賢者のじい共に聞いてなかったか?」


「年齢の話までは聞いてないわ」


 驚きのあまり、クッキーを食べている手が止まってケヴィンとイザークを交互に見てしまう。


「コトネ様、この世界では種族により寿命が異なるという話は昨日しておりませんでしたか?」


「寿命が!? 聞いてないっっ」


 そんな大事な話聞いてない!

 おそらく昨日は途中でイザークが乱入してきたし、私も早々に帰ってしまったから細かい事までは話しきれなかったんだろうとは思うけど。

すると、ケヴィンがこの世界に住む種族の寿命について説明してくれた。


 この世界には主に3つの大陸があって、まず一番小さな大陸に住む私のような人間族は大体60年ほどの寿命だと言われているそうだ。どうやら人間界では魔法が使える人は少なく、科学の発達していないこの世界では寿命が短いらしい。

 そして一番大きな大陸に住むイザーク達、魔族の寿命は約900年だとも!

 最後に聖霊族はもっと寿命が伸びて、約1600年と言われているそうだ!

 違いすぎる! 種族によってそんなにも変わるの!? それなら聖霊族に生まれたらラッキーって事かしら? それにしても900年でも充分すぎるのに、1600年だなんて果てし無くて途方に暮れそうだわ……。


「俺が今228歳で、ケヴィンは243歳になる。魔族の成人年齢は150歳で魔族は青年期が長いからな、15年の差なんて大した事はないさ」


 イザークは笑いながらクッキーを口に放り込む。ふと、私の頭の中には単純な疑問が生まれた。


「え……っと、私の住む世界では寿命が80年くらいとされているから私もそれくらいなはずなんだけれど、もし私が他の種族の人と結婚するとなると……私が先におばあちゃんになって死んじゃうってこと!?」


 いやだ! それって悲しすぎる!! 愛する人よりも先に私がしわしわのおばあちゃんになっちゃうなんて、考えただけで絶望的だわ!


「コトネ様ご安心ください。この世界では種族を越えて結婚する者も増えています。その場合は結婚する時にある儀式を行うことで、寿命を相手に合わせることができるのです」


「え……? 何それ、凄いのか怖いのかよく分からないんだけど」


 きょとんとしてしまう。ケヴィンが言うには、結婚するときに寿命の短い種族が長い種族の血を体内に取り入れることで、長い種族と同等の寿命を手に入れることができるのだという。

 もちろん、その血が誰のものでも良いわけではない。

 この世界ではお互いの魔力の大きさや質が似ているもの同士が引かれあい結婚するらしい。結婚する相手は産まれた時より決まっているとされていて、その決まった相手の血でないと全く意味がないそうだ。

 この世界では結婚する際に、必ず国々にいる賢者の了解がなければ結婚できない決まりで、賢者はお互いが決まった相手であるかどうかをその人達のオーラを見るだけで正しいか、正しくないかを判断できるという。


「そうなの……。すごいわね」


 もう驚くことが多すぎて私の語彙力が追い付かない。


「魔族の寿命は約900年と言ったが俺は父親が魔族で母親が聖霊族だからな、もう少し寿命は長いはずだぞ」


 イザークはぽかんとしている私を見て楽しいのか、笑いながら私を引き寄せ、膝にのせる。


「と言うことは、イザークはハーフなのね?」


「そうだ。俺がこの歳で王の座についているのは両親のせいとも言えるけどな」


 イザークが遠くを見てから、ため息混じりに話してくれたのはご両親の事だった。

イザークのご両親は歳をとってから産まれた子供だからということもあってか、イザークを愛情いっぱいに充分に可愛がって育ててくれたけれど、聖霊族出身のお母さんは、若くして結婚し魔界の王妃様になってからも聖界が恋しかったらしく、かなりの頻度で理由をつけては里帰りをしていたそうだ。そんなお母さんの事を愛してやまない魔界の王様であったイザークのお父さんは、イザークが成人して早々王の座をイザークに譲って二人して聖界に移住してしまったという。

 なんともラブラブなお二人で……。


「ったく、俺が優秀だからまだよかったものの、そうでなかったら今頃この国は大変なことになってるぞ!なぁ?」


 言いつつイザークはケヴィンに目配せするけれど、ケヴィンは少し困った顔をしていた。


「イザーク様には、勝手にお一人で行動するなどというわがままをお止めになってくださるとありがたいですが……」


(うん、大変なんだろうね。ケヴィンの心労がこれ以上増えないようお祈り申し上げます……。)


 私はイザークの膝の上にいるのが恥ずかしいので、お菓子をとるふりをして膝から降りようとしけれど、失敗して腰にまで腕を回されて完璧に逃れられなくなってしまったのだった。

成人年齢や寿命など悩みましがひとまず書いた通りに設定することにしました。ファンタジーなのでふーん、くらいに思っていただけるとありがたいです。

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