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突然の来訪者

夏休み毎日投稿一作目。

「――んっ……」


 不快な光を感じて私は思わず目を覚ました。薄く目を開けると、カーテンのわずかな隙間から夏の日差しが差し込んできていた。

 枕元の時計を確認してみれば時刻はまだ8時前。学校がある日なら慌てる時間だけど今日から夏休みだ。しかもお父さんもお母さんも昨日から海外に行ってる。だから今日ぐらいはもうちょっと寝てもいいよね……。

 というわけで二度寝にとつにゅ――


《ピンポーン》


「むぅ……」


 出鼻をくじかれた。

 こんな朝早くに来るなんて常識がなってないんじゃないかな~。宅配ならもう少し遅く来てくれたっていいわけだし。でも起きちゃったし出るべきか。

 いいや、無視だ無視。今日一日ぐらいはゆっくり寝たい。明日は朝から翔にシャンとしたとこ見せたいし――。


『――あ、あのね! 実はその――』


 ……ああ、翔のことを考えると昨日あったことが鮮明に思い浮かんで来る。

 昨日、翔から熱い告白を受けて私と翔は晴れて恋人同士になった。といっても再会してから私の方から積極的にアプローチをかけていたし、もともと親しい間柄だったから今更という感じもするけど、それでも私は思わずにやけてしまうほど高揚していた。

 昨日の今日で翔と顔を合わせたら素面ではいられないと思って、来てもらうのは明日からにしてもらっている。翔に慌てふためいている姿なんて恥ずかしくて見られたくないし。


《ピンポーン》


 ――ああもう、人がせっかく物思いにふけっているっていうのに。このまま居留守でも決め込んでやろうかな? 


《ピンポンピンポンピンポンピンポン――》


 そう思った矢先、呼び鈴が続けて何度も押された。ここまで来ると宅配業者ってことはないだろう。大方近所の小学生のピンポンダッシュってところか。いや、何かこんなことと身に覚えがあるぞ。

 うん、きっと翔だ、これ。

 昔、玄関に野良猫が居座ってるって私の家に泣きついてきたことがあった。その時もこんな感じで呼び鈴を鳴らしまくっていた。

 幽霊の正体見たり枯れ尾花、ってか。翔がこの年になってもこんなことしてきてると思うと愛おしく感じてしまう。


 犯人が分かったとなればもう出るしかないだろう。軽く髪を整えて、顔を洗ってから表に出た。その間にも呼び鈴はならされ続けていたけど、乙女の朝の支度は時間がかかるというものだ。それぐらいは待ってほしい。


「はいはい、遅くなってごめんね――」


「クーちゃん!」


 玄関の扉を開けると、呼び鈴を鳴らした理由を聞く暇もなく翔がとびかかって抱きついてきた。突然のことで反応できずに私はそのまま翔に押し倒される形となる。


「えっ、ちょっと翔!? こういうのはまだ早いっていうか、そもそもこんな場所でするのは」


 頭が回らずに思いがけないことを口走ってしまう。

 いや、だって好きな人に押し倒されてるだよ? それに翔は昔の呼び方で呼んでくるし、テンパっても仕方がない。そう仕方がないことなのだ。

 そういう翔は私の言ったことも聞こえてない様子で私のことをぎゅっと抱きしめてきてる。それほどの何かがあったのか、最近ずっとしていた照れるようなそぶりもみじんもなく、一心不乱にしがみついているようだった。

 さすがにこうもされていたら私も多少は落ち着いてくる。それとともに抱きついている翔の体に何か違和感を感じた。


「翔、いったいどうしたの? 恥も外見もかなぐり捨てて私に飛びついてくるなんて、いつもの翔じゃないみたいよ」


「どうしよう、どうしよう、どうしよう――」


 翔はずっと困惑したようにぶつぶつとつぶやいている。それに比例して私は頭がさえてきてさっき感じた違和感が何なのか、直接触れ合っている体が教えてくれた。具体的に言えばなぜか押し当てられている二つの双丘――。

 いや、おかしい。なんで男の翔にそんなものがあるのか、きっとこれは夢だ。幻覚だ。こんなことがあるわけが――。


 しかし、今感じているものが現実であることを、他でもない翔の口から聞くことになった。


「僕、女の子になっちゃったみたい……」


できる限り夏休み中は毎日投稿していこうと思います。

投稿できなくなったら、完結か失踪すると思ってください。

たぶん毎回この短さです(自分の才能的にこうでもしないと書ききれない)


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