志願者
昼間は暑かったのに、今は少し肌寒い。
そういえば暗くなるのが遅くなってきた。
もうこんな時間か、ご飯食べなきゃ。
大通りの人の流れに乗って、来た道を戻る。
赤に変わる歩行者信号。
立ち止まる私。
向かいからやって来る自転車の男。
そのまま私の横を通り過ぎて行った。
手にはスマホ、暗いままのライト、急停止した右折車。
自殺志願者かな。最近多い気がする。
いろんな場所、いろんな時間、いろんな状況。
命が軽くなっている感覚。
少し怖くなった。
家に着き、風呂に入り、母の作ったご飯を食べる。
色んなものがあったまる。
ほんのり幸せを感じた後に、ふと思う。
私は生存志願者なんだと。