グループ会議
取り合えずこれから先は予約投稿で更新します。
「で、一体何の話なのさ………礼」
布団にぶっ倒れている男子用制服を着ている馬鹿娘ことマリアを視界に入れないようにして今から説明しようと椅子に座って茶菓子を貪っている子リスみたいな礼を見やる。
モッキュモッキュと洋館を食べている姿はまさしく小動物そのもの! うん、何か和むわぁ………ってそうじゃない、礼が皆を集めた理由を聞かなくては。
心の中でそう思い気を引き締めて礼が食べ終わるのを待つ。その間も黙々と食べ続ける、食べ続ける、食べ続ける。
かれこれ七分くらいは経っただろうか、礼は未だに食べるのをやめない。
「ねぇ、そろそろ話してくれないかな? 何かだれてきたからさ」
「分かったわ、これを食べ終わるまでもうちょっと待っててね。モグモグ、ゴクン………じゃぁ話すわね」
手元に置いてあったお茶を一口あおり、言葉を続ける。
「そろそろクエストを受けた方が良いんじゃないかなって思ったから呼んだだけよ」
クエスト、この鷺宮学園ではそう言われている依頼の事だ。極端な説明をすれば家の草むしりから犯罪組織の壊滅まで色々と様々なものがある。
難易度でそれに見合った報酬が、つまりお金や貴重品を貰うのだ。
無論それだけじゃない、成績や評価など色々と上がったりするので結構便利だ。とは言え物を壊したりしたらそれだけで点数が低くなるのだけど場合によっては免除される場合もある。
特に危険人物の捕獲や犯罪組織の潜入、もしくは壊滅の場合のみではあるが殺しが容認されていると言うのもある。それはあまりやりたくないことであるのだが場合によっては仕方がないだろう。でもクエストは自由に身体を動かせるし外に出て買物をする事だってできる、外の街の美味しい食べ物を食べたり好きな事ができる。
この三人の可愛い笑顔を見ることもできるわけだ。なら僕の答えは一つ―――
「参加するよ、身体を思いっきり動かしたくてうずうずしていたんだから」
心の底から思っていたことをそのまま言う。礼、クオ、マリアの笑顔が見たいと言う思いだけは言わないでおくけど。
それは他の三人も同じだったらしく、そっけなくもどこか浮き足立ったような感じで答えた。やっぱり皆外に出たいんだろう、まぁこんな所に居たら誰だって外の街をクレープを食べながら歩き回りたいだろう。
「で、一体どんな仕事をするのデス?」
「うん、実はね…………これをやろうと思ってるんだけど良いかしら?」
恥ずかしげな顔をして僕らにある一枚の紙を見せた。
僕らの表情、思いが一つになった瞬間だった。
「「「「お前一体何を考えてんの!? こんなものを持ってくるだなんて本当に常識ないよなお前って!」」」」
本当に何を感変えているのかが全く理解できないような内容の物を持ってきたゴキ娘は何も分かっていないかのように小首をかしげる。
それを軽く可愛いなと思ったけど内容はかなり悪辣な物だったから全員が素で
いや、こいつのことだから実際に分かっていないんだろう。本当に残念な事に礼はとても強い、なんてレベルじゃない。ここにいる全員が襲い掛かっても勝てるかどうかじゃなく何秒で死ぬかになるくらいの実力を持っている。
僕の魔法は当たらないと意味ないしクオ、道、マリアの三人に対しては絶対的な無効化を誇っている体質でさえ礼には全く関係ない。勿論三人も他の魔法使いとは比べ物にならないくらい応用力がありずば抜けているものの礼には一秒以下で始末させられる。
そんな無慈悲なチートな女の子、礼はたまに平気で僕らが発狂しかねないクエストを持ってくる。確か前回はカルト宗教団体の不正の証拠を掴み、壊滅させるだったっけ? 確かそれであっていたはずだ。
僕らはそのクエストを受けて結構な頻度で戦闘を行った。とは言えこっちは鷺宮学園の最強戦力の縮図のようなチーム構成だったからすぐに勝ったんだけど流石にカルト教団の非戦闘員を含めた全員と戦うのは疲れた。
あの時のようなことは精神的に疲れるので絶対にしたくないです。
そう宣言した筈だった。なのに礼はまたこんな物を持って来たんだ。
「僕らの力は暗殺、もしくは潜入には向かないって何度も言ってなかったっけ? もしかして言ったことすら忘れちゃったの?」
呆れと哀れみを込めてそう言う。が、礼は僕らの予想を遥かかなたに飛ばすかのような事を言った。
「何を言っているのよ。あんた達にそんな器用な事できるわけないでしょ。どうせいつもどおり焼け野原になるに決まっているじゃないの。今までの実績を考えてなさいよ全く」
やれやれ、そんな風に目を閉じて両手を上げながら首を振る礼。
確かによく考えてみればその通りかもしれない。
基本的に力で解決しているんだから僕らは…………それに前回のクエストよりは簡単そうだ。それにこれ危険も高いけどそれ以上に貰えるお金の量も多い。
これだけあれば暫くの生活にも困らないし新しい服だって買える。こんな女物の服を着なくても済むんだ!!
「よしやろうすぐにやろう僕の目的のためにそいつ等は風になってもらおう!!」
そうと決まれば早速準備だ。使い捨て拳銃に使い捨て対戦車ライフルに使い捨て手榴弾、そして愛用の刀を使って暴れて壊してやろう。
久々のストレス発散の機会だ。思いっきし暴れてやろう。
「………なぁマリア、私達ってどこかおかしいのか?」
「さぁデス? まぁ二人は私達の中でもかなりの変人デスからね。性格が違いますデスけど基本的な、根本的な部分ではかなり似ているんデスよ二人は」
「それって私達にも帰ってこないか? 私達だって変人だぜ、それもかなりヤバイ方向で」
「違いますデスよ。私は変人なんかじゃありませんデス、それどころか私以上に普通が似合う人間がこの世に居るものデスか」
「お前のその変な自信は一体何処からわいてくるんだよ」
「ねぇ~礼ちゃん~、もし良い男が居たらお持ち帰りしちゃってもいいのかしら~?」
「ええ良いわよ! この私が許可するわ、これから何が起こっても私達は知らないし所持品が増えていても気のせいでしかない! 野郎ども、標的の所有しているものを略奪しつくすわよ!!」
「「「ゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」
「ま、それに乗ってる私も私だけどな」
叫ぶ僕らに呆れながらも参加することを決定したクオ。そんな感じで全員の参加が決定した。
「一応言っておくけど胸囲の格差社会の禁忌に触れた飛鳥には当分メイド服で過ごしてもらうわね」
「イヤァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
そして僕の服装がメイド服になってしまったのであった。この恨みは明日のクエストで晴らすとするか………!
そう心に誓ったのであった。