プロローグ 白泉大での仕事
コメディの割にはアクションっぽいです
夕暮れ、神代陣は人気のない廊下を徘徊し、何かを探しているようだ。
ある教室の前までいくと
「ここか....」
戸を一気に開けた。中にいたのは女子生徒が2つ並べた机を囲むように座っていた。
女子生徒たちは、陣に気がついて手の動き一瞬止めたがすぐに目を閉じ、何か呟く。
すると、右手が滑るように机の上を動く。なんとも不気味な光景だ。 陣は何も見なかったように少女の右手を押さえつけた。
陣のいる白泉<私立白空春泉大学>(しりつしらぞらいずみだいがく)大は国内有数の大学である。
大学といいながらも、最新設備と市を買い取ったと噂される広大な敷地に僅か二千人程度しかいない。
今いる教室は中央校舎から離れた東校舎のある一室である。
元々、生徒に貸し出す部屋のため椅子や机が隅に片付けられていたはずだ。 今は引っ張り出された机の上に紙と翡翠を握りしめた白い肌をした綺麗な右手が置かれている。
陣はアルファベットの書かれている紙を見つめ、
「コックリさんか〜。やるヒトなんてまだいるんだ〜。しかも、簡易降霊術に翡翠で霊力を集めて、霊を自身の体質で地上にとどめるなんてスゴい!」
明らかに場違いな発言しながらも目だけは、真剣なままだった。
陣はアルファベットの書かれている紙の上に小さな紙を置く。
その紙には、八角形をずらして重ねたような円が書いてある。
「封域・壱拾六景」
陣はそう呟くと、刀を持っていた。反りのない長さ百五十センチ位の細身の刀だった。
空いている椅子に足をかけると刀で紙を刺した。すると、
「ギャーーーーーーー」
部屋いっぱいに響き渡るつんざくような声だった 刀は崩れかけたヒトを刺していた。
ヒトは片膝から分解され光ながら、紙に染みこんでいった。
一通り終わると陣は紙に手を伸ばした。そこには 「封」と書かれていた。
満足げにそれを見ると、陣は懐にしまい、
気絶した少女たちに声かけるため立ち上がった。