2 見えない世界で声がする。
ラブコメ好きです。
そうなるように書ければいいなぁ。
「もっし、も~し」
煩いわねぇ。静かにしてよ、眠れないじゃない。
「いや、待って。寝ないで」
嫌よ。眠いもの。
「も~。しかたないなぁ。じゃあ、そのままで良いからちゃんと聞いてね」
さっさと話して。ある程度の音は眠気を誘うけど、あなたの声は子守唄には程遠そうだから。
「ひどいなぁ。ま、いっか」
良いんだ?あなた変な人ね。
「僕みたいな存在は総じて変人だよ」
じゃあ関わらないでください。
「そうはいかないんだ~。じゃ、さっそく本題ね。君は先ほど25年の生涯を閉じました」
知ってるわ。覚えているもの。
「良かった、なら話は早い。君に新たな人生をあげる。僕の名前はシュラ。時空に漂う神だよ」
へ~。じゃあ次は平凡でも幸せな人生が良いわ。
「ごめんねぇ。もう転生先は決めてあるんだ。次は寿命まで生きられるはずだら、一から頑張って」
ちょっと待って。生きられる“はず”ってなに!?
「さ!行ってみよ~」
話聞きなさいよ!!
「あ、ちなみに君の好きなゲームの世界をベースにした現実世界に転生することになっているから、楽しんでね」
ゲーム……?まさか!
「ピンポーン!乙女ゲームの世界に行ってらっしゃ~い」
再び意識が浮上し始める。だが目を開けてもぼやけているのか良く見えない。
手を動かそうとしても、足を動かそうとしても、自分の思い通りに動かすことができないのだ。
どうしたの?体が動かない!
変な空間でシュラと名乗るふざけた神から転生させてあげると言われ、今まさに意識を取り戻した。
ちょっと~、誰か助けてよ~!
そう言いたかったのに、口から出た言葉は「オギャア!」
「オギャア、オギャア」
(どうなってんの?なんで喋れないの!?)
赤子のような泣き声を上げ、いつの間にか涙も流れ落ちる。頬を伝う感覚が鈍い。
「あらあら。ミルクかしら」
そう言いながら良い匂いのする女の人があたしを抱き抱えた。
背中に感じる温かさは夢じゃない。
と言うことは、ここが転生した世界ってこと!?
ーー 一から頑張って。
ふざけた神の声が脳裏に蘇る。
だからって本当に赤ん坊からやり直させるってアリ!?
こうしてあたしの第二の人生が幕を開けた。
……らしい。
まだ始まったばかりですが、お気に入り登録ありがとうございますm(__)m
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