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25 あたしは悪くない!

いつも読んでいただきありがとうございますm(__)m


毎回書いて出しなので誤字・脱字があるかもしれません。

翌日の朝は椿と朝食を取った。昨日の夕食と同じで自分の大盛り定食からちょっとずつあたしの皿に乗せるので、なかなか食事が終わらない。

部屋に戻ると椿は部活の朝練に、あたしは時間までロフトベッドで食休みだ。

……いかん。椿と一緒にご飯食べるのは楽しいけど、毎回食べさせられると胃がもたない。

何か良い回避策は無いかと考えていると携帯が鳴った。画面を見ると“四ツ谷海”。


「おはようございます。どうかしましたか?」

〈飯は?食った?〉

「はい、つばき…。ルームメイトと一緒に食べました」

〈そうか。登校は?三橋に連絡したか?〉

「まだです。今からします」

〈そうか。万が一断られたら俺に連絡しろ〉


確認するだけして切れた。

心配してくれるのは嬉しいよ。だってあの四ツ谷先輩が心配するなんて思っていなかったからレア体験じゃん?でもさぁ。……慣れてないのよねぇ、誰かに心配されるのって。侑吾君は慣れた。あれは病気だと思う事にしている。名前を“過保護病”。そのまんまやん!!という突っ込みはナシでお願いしたい。


気を取り直し、侑吾君に電話をした。〈もしもし、菜子?〉と、またもやワンコールで登場。


「おはよう。今日さ、一緒に行けないかな?」

〈大丈夫だ。玄関に8時で良いか?〉

「うん、分かった」


通話を終えると布団にダイブ。

ああ、もうなんか面倒くさい。だいたいなんであたしがこんな目に遭わなきゃならないのよ。なんか腹立って来た!よし!来るなら来い!!受けてたってやる!!

どうしてやろうかと考えているといつの間にか時間になっていた。慌てて部屋を出ると、侑吾君は既に玄関で待っていた。

昨日と同じく二人で登校。夕方と違って人が多いからちょっと恥ずかしい。

学校に着くと、なんと教室まで送ってくれた。ここでも注目されちゃうあたし。


お昼はいつも通り美穂と一緒に食べた。問題は放課後だ。今日は生徒会の後、家庭科部に顔を出し、明日の球技大会で椿に差し入れをするレモンの蜂蜜漬けを作りたい。でも一人では行動するなと言われている。


生徒会室に行くのも一人はダメなんだろうなぁ。う~ん、どうしよう……。

ま、いっか。まだ生徒はいっぱい残って居るし、問題ない!


そうと決まればと鞄を持って廊下に出た。すると前方から他校舎の白制服に身を包んだ生徒がこちらに向かってくる。

この学園は普通校舎と呼ばれるB~G組が入っている校舎と、特別校舎と呼ばれるA組が入った校舎がある。特別校舎には生徒会室もあり、共通玄関は普通校舎よりにある。グラウンドも普通校舎側だ。

その特別校舎の住人がこちら側に何故?目立ってますぜ、旦那。


歩いてくる生徒を避けるように黒制服の生徒が廊下の端に二つに分れる。まるでモーゼの十戒だ。


「やっぱり……。四ツ谷先輩に一人で行動するなと言われたはずだと思ったけど?」

「……はい、ごめんなさい」


二宮君でした。生徒会のメンバーが皆、長身なので勝手に低いと思っていたけど、あたしより頭は全然上にある訳で……。

ちらっ。と上目で様子を見ると明らかにご立腹。上からの視線が脳天直撃。眼鏡のレンズから見える目は怒っていらっしゃる。

再び小言を言おうと口を開いたので、慌てて「早く行こう!」と促した。

何やら文句を言っていたが無視した。

だってここは黒制服の群れど真ん中なのよ!?

余計な敵作ってどーすんの!





「五嶋せんぱーい!!」

「やあ、桜川さん。元気そうだね」


生徒会室のドアを乱暴に開けて入る。驚いている人は誰も居ない。名前を呼んだ五嶋先輩は変わらない笑顔で出迎えてくれる。

でも!今はその笑顔が憎い!!


「はい、元気です!!なぜ二宮君を迎えに寄越したんですか!?目立っちゃったじゃないですか!!」

「でも君は四ツ谷との約束破ろうとしたでしょ?それでお相子だね。それに……」


何故それを知っているの?と言う疑問はこの人には無駄だろう。変な間を作った五嶋先輩は、悪巧みをした策士そのものの顔だった。だって笑顔が怖い、てか黒い。


「目立つことが狙いなんだ。四ツ谷に聞いたよ。こんな馬鹿馬鹿しいことは早急にケリを付けたい。その為には犯人に動いてもらわないとね。だから桜川さん、君は撒き餌だ。存分に目立って喰い付かせてくれ。釣り上げるには君の餌の良さに掛かっている」


なんか上手く言ってるけど、つまりは囮だよね……。

挙句、「ついでによからぬ事を考えている人たちの目を覚まさせる事が出来たら一石二鳥だね」と爽やかに笑いながら言った。

やっぱり怖い、この人。




「桜川……」


小さく呟いたのは一条先輩。いつの間に隣に来たのか気付きませんでした。五嶋先輩の発言に若干引き気味だったあたしの右手を取り、大きな掌で包み込んだ。

え、なに?

以前のような力任せに掴まれた訳ではなく、優しく触れる指先に手を引込めるのを忘れた。

いつのも自信にあふれた顔ではなく、影を落とした表情に思わず息を呑んだ。

やっぱり綺麗……。

改めて見ると一条先輩の顔は左右対称で造形が取れている。作り物の様な綺麗な顔にいつもの覇気が感じられない。


「どうしたんですか?気分が悪いの?」

「海に聞いた。何かあれば責任を取ると言ったが、お前を傷つけた……。すまない」


あの時の事を言っているのだと分かった。初めて一緒に出掛けた日、「平穏に過ごしたい」と言ったあたしに「俺のせいで生活に支障が出たら責任を取ろう」と言ったのだ。

先輩のせいでこうなった訳ではないが、責任を感じているみたい。それは生徒会に係ったせいであることは間違いないからだ。


止めて、そんな顔しないで。あたしは自分が傷つくのは慣れているけれど、誰かの傷ついた顔は見たくない。

どうすれば良いのか、分からないのよ。


あたしは空いていた左手で、右手を包んでいる先輩の手の上に置いた。

目を伏していた先輩が顔を上げる。辛そうな顔を見て、胸が小さくツキンと痛んだ。


「先輩のせいじゃないです。生徒会に入ると決めたのはあたしの意思です。何かあるだろうとは思っていましたけど……。だから、そんな顔、しないで……」

「桜川……。すまない」


左手をそっと先輩の頬に添える。その手に先輩も手を重ねて来た。強張っていた表情が少し緩んだみたい。良かった。安心していると、「おっほん!」わざとらしい咳払いが。

ハッとして周りを見ると、にやつく五嶋先輩。苦い顔の四ツ谷先輩。真っ赤な顔した二宮君……。「なんだ、どうした?」と一人理解していない一条先輩。そしてあたしは……。


「ナシ!今の無しで!!」


慌てて手を放し、先輩と距離を取る。あたしの行動が理解出来なかったのか、一条先輩は呆気に取られたままです。

お願いだからあたしの気持ちを分かって!!


「ごっめ~ん。バッチリ見ちゃった。いや~、いつの間にそんな仲になってたの?早く言ってくれれば良いのに。ねぇ四ツ谷?」

「……そうだな。いーんじゃない?仲良きことは美しきかなって言葉もあるしぃ?」

「何ですかそれ!?僕は認めない!!」

「なんだ?どういう意味だ?」


みんな人の気も知らずに言いたいこと言いやがって……。

ぶちっ。


「うるさーい!!」


気付いたら叫んでいました。でもあたしは悪くない!


お気に入り登録700件超えΣ(゜Д゜)

ありがとうございますm(__)m

気合い入れ直して頑張ります!!

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