トリプル・トラブル・トルネード ~TTT~ 50音順小説Part~と~
少しエロい要素を自分なりに取り入れてみました。
突然俺は三人の美少女と共同生活を始めることとなった。
一ヶ月前、中学を卒業と同時に俺は東京の寮がある中高付属の高校に進学するため上京した。
が、なんと寮は半年前に火事で全焼しており寮住まいを希望する生徒は
採用してないらしかった。
そんな知らせは俺のところには来ておらずこれから再受験も間に合わないので
俺は住居と学校を失い一気に奈落の底に落とされた・・・・・はずだった。
なんと親父の古い知り合いで俺を居候させてもいいと言ってくれた人がいた。
学校からも近いということで俺は喜んでそこへ転がり込んだのだけれど、
その家にいたのは同年代の女の子三人組のみ、どうやら三つ子らしい。
彼女らの父親が親父の知人なのだがまさか年頃の娘がいるなんて聞かされておらず、
しかもその知人も数時間前にアマゾンへ旅立ったというものだから
実質的にこの家で俺と三つ子の四人で新生活をスタートさせるという波乱万丈な幕開けであった。
「透ちゃん、透ちゃん。起きてー、朝ごはん出来てるよ。」
「重い・・・。あすなさん、どいてくれ。」
布団の上に乗っかっている人物、俺が居候している家の三女神谷あすな。
人懐っこくて天真爛漫な娘である。
「む~、せっかく起こしに来てあげたのに。」
あすなは頬をプクッと膨らませてなんとも可愛らしい。
「ご・・・ごめんなさい。」
俺が悪いわけではないがここはとりあえず謝罪した。
「まぁ、謝ったから許してあげる。でも早く来ないと透ちゃんの分まで食べちゃうからね。」
軽やかに布団から降りたあすなは制服のスカートをひるがえし部屋を出ていった。
学ランに着替えあすなに横取りされないよう朝食を摂りに部屋を出た廊下で
ばったりと次女神谷はるかに出くわした。
「おはようございます、透さん。」
抑揚のない話し方と無表情は相変わらずであるが意外と情に厚かったり
一緒に暮らし始めて印象が一番変わったのははるかだろう。
「おはよう、はるかさん。」
「またあすなにからかわれたのですか。こちらの部屋にまで聞こえてきました。」
はるかの部屋は俺の部屋の隣だ。
「いやー、分かってるんだけど。なかなか・・・。」
頭をかく俺を見てはるかは溜息を吐く。
「それだからからかわれるんですよ、ヘラヘラしてないでピシッとしてください。」
「はい・・・すいません。」
厳しいのも相変わらずだ。
「二人ともー、そんなところで話し込んでないで早くいらっしゃい。」
階下から声をかけてきたのは長女神谷さくら、現在大黒柱がいない神谷家を支えているのは
彼女であり家事全てを一人でこなしている。
「さくらさん、おはようございます。」
「おはよう、透くん。朝から謝りっぱなしね。」
口に手を添え笑う仕草はおしとやかな淑女そのものだ。
「あはは・・・。」
さくらにそんな場面を見られていたなんて恥ずかしいことこの上ない。
「あーやっと来た。遅いよ透ちゃん、はるかちゃんも。」
ひょこっと顔をのぞかせたあすなはどうやら俺の分に手を付けないで待っていた様子だ。
「はい、透くん。ごはんの量これくらいでいい?」
「あっ、ありがとう。」
さくらが俺の茶碗に飯をよそってくれるのをはるかは面白くなさそうにみていた。
「姉さん、それくらいのことはやらせないと。」
「あら、はるか。大丈夫、あなたの分もよそるから。」
「そういうことではなくて。」
「さくらちゃーん、私のも!大盛りで。」
「はいはい。あすなは朝からよく食べるわね。」
この生活を始めて早一ヶ月、四人での暮らしにも慣れてきて数日前には高校生活もスタートさせた。
最初は三つ子も俺の存在に戸惑うかと思いきや長女と三女はすんなりと受け入れて
驚くほど早く馴染んでしまった、次女を除いては。
いきなり自宅に転がり込んできた見知らぬ男に警戒心を抱くのが一般的なものだといえばそうなるが
当初彼女の俺に対する態度、行動はそれはもう酷いものだった。
慇懃無礼な態度で何から何まで邪険に扱われあんなに嫌われて
ここで本当にやっていけるのか心配だったが今はまぁ平和になったかな。
まだまだ心を開くとまではいかないものの以前よりも会話するようになった。
会話の中身も7割説教2割事務1割挨拶って割合だけど。
とくに末っ子のあすなとはすぐ仲良くなり彼女とよくつるむことがある。
しかし本人は自覚がないらしいのだが老若男女問わず過剰なスキンシップをする癖があり
じゃれついてくるように接してくるので
よくそれを喰らい悩殺されるのが俺のささやかな幸せ・・・いや、悩み。
そして・・・さくら。
桜の花言葉にふさわしいまさに優美な女性である。
俺は神谷家に来て彼女を見た時その奥ゆかしい中に隠された美しさに惚れてしまった。
はっきりいって俺の好みのタイプに顔も性格もドストライクなわけだ。
こんな美人で優しい人と同居できるなんで俺は幸せ者だ。
もしこれで運を使い果たしてしまったとしても悔いは残らない。
「何を考えているのか知りませんけど、鼻の下のびています。」
「えっ!?」
「エロい妄想だね。透ちゃん、やらしい~。」
「ちっ違うって。」
誤解ではないがさくらには弁解しようと彼女の方を向くと目が合ったがすぐに逸らされた。
「けっ健全な男の子なら仕方ないのよね・・・。」
顔を赤らめ尻つぼみになっていくさくらの言葉を聞き
朝の爽快な気分が一気に払拭されてしまった。
数十分後俺はあすなと二人で道を歩いていた。
「違うのに・・・。」
「何が違うのさ~。さくらちゃん見てあんなにデレデレしちゃって。」
「やっ、だからそれはさ・・・。」
普段は四人で登校しているがあんな空気のまま一緒に行くのは相当気まずいので
先に出ていこうとしたらそれを予測していたのかあすなに待ち伏せされていた。
「あっさくらちゃん、はるかちゃん。」
数十メートル後ろにさくらとはるかの走っている姿が見えた。
追いついた時にはさくらは息絶え絶えという感じだったがはるかは息ひとつ乱れてない。
呼吸を整えようやく喋りだしたときには今しがたのことはすでに忘れているようだった。
「もう先に行くなんてひどいじゃない。」
「それはね透ちゃんが・・」
「わぁー!もうそれはいいから!さっ行こう。」
三つ子と俺は今年の春に同高校に入学した、つまり同い年ということだ。
俺は入学試験の際にこちらに来ただけなので知らなかったが
彼女ら三人は中等部から在籍しており学校の中では三者三様であるがそれぞれ有名人らしい。
だから中等部の頃から知っている生徒からすれば
外見も内面も平凡、普通、中の中である俺と三つ子が一緒にいるところを目撃して
みんな目を疑ったという。
入学式以来、俺に対する悪意ある視線を感じない日はないというほど彼女たちは人気らしい。
確かにみんながそう思うのも無理はない、彼女ら三つ子は可愛い。
顔もそっくりで初めて見た時はドッペルゲンガーかと思った。
けれど性格は似ても似つかない、全くと言っていいほど。
「ねぇ透ちゃんってば、ちゃんと話聞いてる~?」
あすなが俺の腕に自分の腕を絡ませてきた、いきなりそんなことをされて
ドキドキしているのに彼女のふくよかな胸が当たっているのを感じさらにドッキドッキだ。
「ちょっちょっとくっつきすぎだよ。」
「えぇーどうして~。」
「あっあすな!やめなさい、そんな公衆の面前ではしたない行為を!
あなたもあなたです!すぐに離れてください!」
すぐさま俺とあすなを引き剥がしにかかったはるかの胸がたまたま
本当に偶然に俺の肘に当たった、当人は気付いてないのが何よりだ。
しかし当たったは当たったのだが胸に触れた感触がほとんど得られなかった。
前言撤回、似てないのは体型もでした。
その夜、夕食が終わり風呂から出るとさくらがダイニングでノートと睨み合っていた。
視線を机に落としていたさくらはふっと俺に気付きこちらを見た。
「どうしたの。早く髪乾かさないと風邪引いちゃうわよ。」
「あ、うん。さくらさん何してるの?」
「これ?家計簿つけてるの、毎月節約しているつもりなんだけどなかなかうまくいかなくて。」
中を覗いてみるとびっしりと細かい字と数字で埋め尽くされていた。
「うわぁー、すんごい・・。」
よく思えば女子高校生が一家を仕切っているのだ、改めて彼女の凄さが分かる。
「高校生もやって、家事もこなしておまけに節約の努力までして本当さくらさんはすごいよ。」
「そんなことないわ、だって私お姉さんだし。」
さくらは手に持っていたペンを置きノートを閉じた。
「三つ子っていっても私は長子だから、下の子の面倒を見るのは当然のことだわ。
それにはるかとあすなが困っていたら私は何があっても助ける。」
普段の彼女からは窺えない力強い眼に俺は違う魅力を感じときめいた。
「じゃあもしさくらさんに何かあった時は俺を頼ってください。微力ながら力になります!」
いきなりのことでさくらは驚いた様子であったが少なくとも俺の言葉を聞いて照れていた。
「ありがとう、透くん。」
彼女の笑顔を守るためなら俺は何でもできる、そう思った。
そんなこんなで俺はさくらの笑顔を見れて今日の朝のことをチャラにできるくらいいい気分だった。
「もう一日の締めくくりとしては最高だぜ。」
一人ベランダで夜風に当たっていると横から仏頂面のはるかがベランダに出てきた。
「なっなんだよ。」
「別に何でもありません。ただやけに嬉しそうでしたから。」
「まぁね。」
俺は上機嫌に口笛を吹き始めた。
いつもはうるさいからやめろと言うはるかが今日に限っては怒るどころか何も言ってこない。
「透さん。」
「ん?」
「あの・・・今更なんですが・・・・・・」
はるかの方をみると珍しく彼女はうつむき欄干を握りしめていた。
「その、すいませんでした。」
「へ?何のこと?」
「だから今までのことです。」
「・・・というと?」
「鈍い人ですね、少しは悟ってください。」
いきなりキレられてはっきりいって俺には意味が分からない。
「今までのことと言ったら透さんが家へ来てからの私の態度ですとか行動のことです。」
「あぁー・・・なるほどね。」
そこまで言われれば俺でも理解できた、なんせ被害者だから。
「別にいいよ、普通警戒するだろ。知らん男が家にいきなりお邪魔しますって住み着いたら。」
「本当にそうですね、全くあなたの言う通りです。」
一応はるかを庇ったつもりだったのだが彼女は俺に謝罪する気が本当にあるのだろうか。
「けれど当初との印象が変わりました。透さんは私が思っていたのとは違う人だったので
だから謝ります。」
はるかの方を向くと彼女はこちらをじっと見つめていた。
彼女の双眸はあすなにもさくらにもそっくりなのだがやはり違う。
あすなは人を楽しませる目を持ち
さくらはすべてを包み込む瞳を持ち
はるかは真っ直ぐ物事を判断する眼を持っている。
「綺麗な眼だな。」
ポツリと言った俺の言葉に瞬時に赤くなったはるか。
「へっ!?なっ何言ってるんですか。怒りますよ。」
怒るといってる割には彼女の表情には怒りの感情を表すものなど微塵のかけらもなかった。
そんな顔も出来るのかというほど今のはるかは純情な乙女の顔をしていた。
・・・やばい、めっちゃ可愛い!!
よくよく思えば顔は俺のタイプそのものだもんな。
「そんなに見ないでください。」
「あっうん。」
なんだか気まずい雰囲気になってしまった。
「私の言いたいことはそれだけですので、失礼します。」
そういうとはるかは自分の部屋のガラス戸を開けた。
「透さん。」
「はい?」
もう部屋に入ったのかと思っていたので呼ばれた時疑問符になってしまった。
「おやすみなさい。」
俺に向けられたその表情はとげとげしくないがぎこちない笑顔だった。
「お・・・おやすみ。」
いっイカン!!トキメキMAXだ!まさかはるかにドキドキするなんて思ってもみなかった。
だけどあんな笑顔を向けられたら・・・・・
ダメだダメだ、俺にはさくらという心に決めた人がいるんだから。
結局俺は一晩中はるかとさくらの笑顔とあすなの胸のおかげで眠れなかった。
「透ちゃーん!朝だよ、朝だよ!おーきーて。」
「あすなさん・・・。」
毎度毎度のことながら寝不足の日にやられるとだいぶキツい。
「あれ?クマすごいよ。」
「ちっ近い!!」
あすなの顔が目の前にズイッとあらわれ朝から心拍数が跳ね上がる。
「・・・透さん。」
「あ・・・おはよう・・・。」
たまたまドアが開いていたらしくそこからはるかの無表情な顔がのぞいていた。
この体勢の状況をなんと説明すればよいものか俺の顔は青ざめていたと思う。
「朝から破廉恥です。見損ないました、やはり昨晩の謝罪は撤回します。」
「これは誤解だって!はるかさん!!」
「知りません。」
そのまま1階へ下りていく彼女を引き留めようと俺は急いで布団から出て追った。
「話ぐらい聞いてくれよ。」
階段の途中ではるかに追いつき肩に手をかける。
「不潔な手で触らないでください。」
俺の手を振り払おうと勢いよく腕をつきだしたが俺がかわしたせいで
バランスを崩したはるかはそのまま落ちそうになった。
「危ない!」
落ちていく彼女を助けようと腕をつかみはしたものの俺もバランスを崩して落下した。
「はるかちゃん!透ちゃん!大丈夫!?」
「あぁ・・・何とかな。」
横っ腹を強く打ちつけはしたが割と平気だった。
衝撃音を聞きつけ台所にいたさくらも駆けつけてきた。
「今すごい物音がしたけど、何があったの?」
「さくらさん・・・。」
俺はさくらを見上げた、ちょうどこの角度からだとスカートの中身が見えてしまっている。
朝からいいもの拝ませてもらった。
だがさくらは下着が見られていることに気付かないくらい動揺していた。
俺と俺の横にあるものを交互に見て頬はわずかながら紅潮している。
「透ちゃん、透ちゃん。横見て。」
2階からあすなが声をかけてくれやっと自分の横にいる人物に目を向ける。
横というか俺の腕の中にはるかがいた。
彼女に怪我をさせないようにしっかりと抱きしめることしか頭になかったため
どこを持っているかなんて気にも留めていなかった。
俺は右手を彼女のおしりに左手を貧弱な胸に当てしっかりと握っていたのであった。
「ひっ!!」
「ん・・・」
はるかは目を開け自分の現状を理解するのに時間は要しなかった。
「いっ今こそ話をちゃんと聞いてくれ!この状態は偶然の副産物であって
決してやましい気持ちからではなく・・・」
「このっ・・・変態!!」
その日神谷家は朝から騒音を出し近所に迷惑をかけた。