ばけものイオとしんせつなシーナ
色々試行錯誤したお話。
結果は言わずもがなです。
イオはばけものだ。
化け物イオはこの世の果ての森の中の、更に奥ある石の室で生きている。
「やあ。可愛い俺のばけものイオ、元気かい」
親切なシーナは優しい顔でにっこりと囁いた。
イオはことりと首をかしげる。啜っていた蜜が唇の端からたらりと垂れた。
齧っていたものを床に捨てて、イオは前掛けにべたつく手で触る。握る。
ひらひらしたのがくっついたイオの前掛けはすでに蜜でどろどろに汚れている。親切なシーナが毎日持ってくる真っ白い前掛けはイオの首から膝までを覆っているのでイオの体がべとべとになることはない。
親切なシーナはイオの顔を前掛けの白い部分で前掛けの布のように柔らかく押さえる。イオはされるがまま、ただ口の中に残っていた蜜を飲み込んだ。ふわふわ笑う親切なアラウを見る。
蜜を拭ったシーナはイオの首の後ろに手をやるとどろどろの前掛けをするりと外し、一丸めして室の外に放り投げた。
シーナの後ろにくっついていたシーナではないものが差し出した新しい前掛けが代わりにイオの首に巻きつく。ふわふわひらひらのそれを触り続けるシーナはいつの間にかイオの寝床にイオを抱いて転がっていた。
「イオ、」
シーナはふわふわ笑いながらイオを抱きしめる。きつく強く抱きしめる。そして時折、イオを齧って舐める。イオはただぼんやりと親切なシーナを眺めた。親切なシーナはとても親切だった。
例えば、イオの蜜は、シーナが与えたものだ。
例えば、イオの前掛けは、シーナが与えたものだ。
例えば、イオの世界についての知識は、シーナが与えたものだ。
例えば、イオのイオについての知識は、シーナが与えたものだ。
「イオ、イオ」
シーナはイオを抱きしめ齧り舐める。時折、汚れてもいない前掛けを破きもする。そしてイオにくっついて笑いながら抱きしめる。今日のシーナは喉の奥でくつくつ音を立てていた。
今日のシーナはよく喋った。
例えば森の外にでる悪魔の人攫いの新しい話。例えば森の外の馬鹿な男がお姫様に逃げられた話の続き。例えば宝物を盗んだ大泥棒とそれを追い掛け回す人々の話の続き。
「ばけもののイオ、俺のばけもの」
イオはばけものだ。シーナはイオに親切だった。
イオは右目と左耳がない。右足と左足もないけれど、変わりに親切なシーナが用意してくれた魔法の靴をつけている。シーナのナカマに追い出されてここにさまよいこんできたみにくいばけもののイオを石の室に隠してくれたのは親切なシーナだった。
親切なシーナはイオに親切だ。みにくいイオを抱きしめたのはきっとシーナが初めてだ。
イオは今日も暴れる胸を押さえながら、いつの間にかうつらうつらとシーナの腕の中で眠ってしまう。
結果はいわずもがなです。大失敗。
文体を変えようとしてみたり文章を変えようとしてみたり。
そんな痕跡も窺えないしょんぼりとしたクォリティ。
タイトルがぱっと浮かんでがりがり書いて書いて……挫折しました。話が進まない、というよりたてた大筋が話になっていないことに書いてから気付きました。ちなみにこれは異世界トリップではなく現代ものです。分からない。
もう少し、計画性というものを勉強します。精進します。