第15話 モチモチ・リザレクト、何度でも立ち上がる
森の奥深く――
勇者の前に、異様な体型の魔族が立ちふさがった。
「お前がパン勇者か。俺はモチモチ・リザレクト。
何度斬られようと、叩き潰されようと、モチモチと蘇る不死の肉体を持つ!」
配下の兵士が震える声でつぶやく。
「勇者様でも、これはさすがに厳しいか……!?」
勇者は無言で携帯オーブンを開く。
スパイスの香りと油の匂いが立ち込める。
「……揚げたてでいこう。」
「今そんな判断!?」
勇者が超剛焼プレッツェルで一撃。
バキィィィィィン!!!
モチモチの胴体がねじれて裂けるが――
ブチュッ……ムニュニュ……!
裂け目から肉が溢れ、元通りになる。
「無駄だ。俺は何度でも蘇る!」
兵士:「……こいつ、本当に不死身かよ……!」
勇者はオーブンから**熱々の“ディープフライ・カレーパン”**を取り出した。
ジュウウウウ……!
中からカレーの香りと油が滴る。
「……揚げたては内部から効く。」
「は……?」
勇者は迷いなくモチモチの口にそれを押し込んだ。
「や、やめ――」
ジュウウウウウウウ!!!
揚げたての高温油がモチモチの内部で暴れ、蒸気が体の隙間から吹き出す。
「ぐああああああああッ!? 熱ッ! 熱いいいいいい!!!」
兵士:「やってること拷問だろこれ!!」
苦しみの中でなお再生しようとするモチモチを、
勇者はねじれた超剛焼プレッツェルで体を串刺しにする。
「……ねじれが再生を裂く。」
バギィィィィィィィン!!!
ねじれたプレッツェルが肉体を内部から切り裂き、モチモチの体は粉々に砕け散った。
兵士:「……勝った!? パンで!?」
「やっぱパンで勝つのかよ!!」
こうして――
“不死身の肉体”モチモチ・リザレクトは、揚げたてディープフライ・カレーパンと超剛焼プレッツェルで葬られた。