第10話 ゴリゴリ・バスティオンVS剛焼バゲット
街道を塞ぐ鋼鉄の軍勢。
その中央に、ひときわ巨大な魔族が立っていた。
「貴様が勇者か。」
低い声が響く。
「俺は魔王軍幹部、ゴリゴリ・バスティオン。
この鎧を破れる者など存在しない。」
勇者は携帯オーブンを背負い直した。
「……硬そうだな。」
「名前に反応しろよ!!」
ゴリゴリが巨大な盾を構える。
「来い。貴様の無力を知るがいい。」
勇者はオーブンを開け、剛焼バゲットを取り出した。
バキィィィィィン!!!
渾身のフルスイングが盾に直撃。
部下の兵士が震える声で言う。
「……おい、今すごい音しなかったか?」
ゴリゴリ:「無駄だ。この盾は何百の戦場を――」
メキメキメキィィィッ!!!
盾が真っ二つに割れた。
「…………は?」
「焼き加減がいい。」
「そんな評価いるか!?」
ゴリゴリは怒号を上げる。
「ふざけるなッ!! 鎧ごと叩き潰してやる!」
巨体で突進。
勇者は冷静に剛焼バゲットを構える。
ドゴォォォォォン!!!
鈍い衝撃音とともに、ゴリゴリの胸部装甲が粉砕された。
鋼鉄が紙のように吹き飛ぶ。
部下の兵士:「……パンで鎧割った……」
「なんでパンで鎧が割れるんだよ!?」
ゴリゴリはよろめきながら、勇者を睨んだ。
「……貴様……何者だ……」
勇者は剛焼バゲットをかじり、淡々と言った。
「……少し焼きすぎたな。」
「誰もそんな感想聞きたくねぇ!!」
巨体が崩れ落ち、地面を揺らした。
こうして――
防御特化の幹部ゴリゴリ・バスティオンは、剛焼バゲットの一撃で沈んだ。