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光を求めて  作者: kotupon


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常識外れ

 その後も話し合いは続き、まずは畑の拡張計画の確認をする。


小麦畑は現在の二倍に広げ、さらに山の斜面を利用してブルーベリーとラズベリーを植えることにする。ジャガイモも山の一角で育てることに決定した。


「でも、広げすぎるとギルバードさん一人じゃ手が回らなくなるわ」

 メグが懸念を示す。


「そうだな。畑を広げるなら、それに合わせた管理も必要だ」

 シマは顎に手を当て、少し考え込む。


「柵を作るのも必要だしな。特に村と山の境界線を明確にしておかないと、野生動物に荒らされる可能性がある」

 トーマスが意見を述べると、ジトーとクリフが頷いた。


「山を削って均す作業もあるし、畑を整地するだけでも一苦労だね」

 ロイドが言う。


「水はどこから確保する?」

 オスカーが尋ねると、メリンダが答えた。


「村の中心部に井戸があるわ。でも畑が広がると、水を運ぶのも大変になるかもしれないわ……」


「なるほどな」

 シマはしばし考えたあと、大まかな方針を決めていく。


「畑の拡張は小麦畑を二倍にする。ジャガイモを育てる場所は山の斜面。ブルーベリーとラズベリーも同様に植えて、それらを囲うように強固な柵を作る」


「柵の設置と整地は、ジトー、トーマス、クリフ、メグ、俺でやる」


「狩猟は?」


「ザック、フレッド、ロイド、サーシャ、ケイト、ミーナ、ノエル、リズの八人で狼や熊を狩る」


「オスカーは?」


「大八車の制作と、エイラと一緒に甕や食材の買い出し。それに、狩った狼や熊の毛皮や肉の卸先を探して、交渉を頼む」


「了解」

 オスカーとエイラが頷く。


「……ねえ、ちょっと待って?」

 メリンダが不安そうに眉をひそめる。


「何だ?」


「…何で……仕留める前提で話してるの……? 怖くないの?今日はうまくいったかもしれないけど……下手したら、大怪我じゃ済まないのよ?」

 メリンダの指摘に、フレッド一家も少し不安そうな顔をする。


「余程、気を抜かなければ大丈夫だろ」

 シマは冷静に答えた。

「それより、頻繁に出るって話だったよな?今日もいたし…?」


「え、ええ……」

 メリンダが頷く。


「よっしゃ! しばらく肉には困らねえな!」

 ザックが意気揚々と声を上げる。


「ついでにお金にもなるしね。いいことずくめだわ!」

 サーシャも満足げだ。


「え? ええっ~?」

 メリンダが目を丸くする。


 その後も話し合いを続け、メリンダと母親のアネッサ、弟のライドはエイラたちについていくことになった。

ギルバードは狩りに同行すると言ったが、フレッドがきっぱりと「足手まといだから」と断り、シマたちの畑の手伝いをすることに。


 翌日、シマたちはすぐに作業に取り掛かった。

昨日に続き木を伐採し、まずは柵作りだ。山の斜面を利用するため、しっかりとした木材を使い、動物の侵入を防ぐ頑丈な柵を設置していく。

並行して、シマたちが斜面の整地を進めた。

鍬やスコップを使い、段々畑のように均していく。


 一方、狩猟班は山へと向かい、狼や熊の痕跡を探す。

ザックが先頭に立ち、鋭い目で周囲を確認しながら進んでいく。


 狩猟班が動く間、オスカーはエイラと共に村の中心部へ向かい、大八車の材料や甕、食材を購入。

毛皮や肉の卸先についても交渉を進めた。


 ギルバードは畑の手入れを始めていた。

彼は畑の土を掘り返し、種を植えるための準備を進める。

ギルバードはこれまでの経験を活かし、土の質を見極めながら、最適な場所に種を植えるよう耕す。



エイラたちは村の中心部へ向かった。

まずは村の宿屋三軒と食堂一軒を回り、「今日獣を狩ってくるから、その肉を買わないか」と交渉を開始する。

その際、エイラは「肉を捌く人手を出してくれるなら、その分安く卸す」と提案。

宿屋や食堂側も納得し、話がまとまった。


次に古着屋二軒を訪れ、毛皮のなめしをやってもらえるなら、毛皮の価格を割り引くという条件で交渉をまとめた。


「車輪って売ってる?」


 エイラが聞くと、メリンダが答えた。

「あるわよ。これくらいの規模の村なら、そこそこの商隊が立ち寄るから、そういう物も扱っているわ」


 その後、道具屋に立ち寄り、車輪と甕を購入。

オスカーはそこで離れ、大八車の制作に取り掛かることになった。


 エイラたちはそのまま村長宅へ向かい、アネッサとメリンダにフライドポテトとポテトチップスの作り方を教える。

昨夜、シマが説明していた内容を思い出しながら、メリンダが村長に料理の魅力を語った。村長は試食し、目を丸くして驚く。


「これは……美味いな! こんな食べ方があったとは!…まさかあの悪魔の実がなあ…!」


思い出したようにメリンダが興奮気味に言う。

「そうそう、もう立派な家ができたのよ!」


 村長は呆れたようにため息をついた。

「何をバカなことを……」

 とはいえ、可愛い孫娘の言うことなので、右から左へ受け流しつつも「夕方に見に行くよ」と言った。


 エイラたちは市場を回り、食材を買い込んで家に戻った。

昼食の準備を始めるとともに、畑の拡張作業も本格化する。


 ジャガイモ、ブルーベリー、ラズベリーを植えるため、畑の範囲をさらに広げることになり、それに合わせて柵を設ける必要があった。

ジトー、トーマス、メグが斧を手に取り、必要な木材を確保するため森へ向かう。

木々を倒し、適切なサイズに切り分けると、それらを山と積み上げていった。


 切り出した木材を杭に加工し、土中深く打ち付けていく。

この作業の際、トーマスが自分の武器であるウォーハンマーを使用することになり、「俺の武器をこんな風に使うとは思ってもみなかったよ」と苦笑いした。


だが、その重さと頑丈さは杭を打ち込むには最適であり、作業は順調に進んでいった。

 柵を設置しながら、土地を均していく。

根を掘り起こし、土をならし、新たに畑とする場所の整備が続けられた。


 一方、オスカーは大八車の制作に取り掛かっていた。

村の道具屋で購入した車輪や木材を使い、丈夫な荷車を仕上げていく。

甕に水を入れて運ぶため、四方にはアオリが取り付けられていた。

水だけでなく、収穫物や狩猟の獲物を運ぶのにも役立つだろう。


 昼前になると、狩猟班が帰ってきた。

彼らは狼八頭、鹿一頭を仕留めており、すでに血抜きも済ませていた。

獲物を大八車に積み、柵を閉めて全員で家へ戻る。


フレッド一家やメリンダはもはや驚くというよりも呆れ返っていた。

「…人間離れしているわ」

ギルバードやアネッサも頷く。


 その後、狩猟班とエイラは村の宿屋や食堂を回り、仕留めた獲物を渡していった。

宿屋の主人は獲物の量に目を丸くし、「こんなに大量の肉を一度に持ってきたのか!」と驚嘆した。

厨房の料理人たちも腕を組みながら「こりゃあ忙しくなるぞ」と笑い、肉の調理方法について相談を始めた。

宿泊客たちも興味津々で集まり、「今夜はご馳走が食べられるな」と歓声を上げていた。


 続いて食堂に立ち寄ると、店主の中年夫婦は持ち込まれた肉の質に感嘆し

「この鹿肉、素晴らしいわ。こんな上質な肉が入るなんて夢みたいね」と歓声を上げた。

厨房の見習いたちも興奮しながら「これなら煮込みも焼き料理も格別の出来になるぞ」と口々に話し、早速仕込み作業に取り掛かった。

店内で食事をしていた村人たちもその様子に気付き、「今夜は食堂で宴だな!」と盛り上がり始めた。


 一方、毛皮を届けに行った古着屋では、店主の老夫婦が目を見開き

「…昨日に続き今日もなんて…これほどの量を一度に見たのは何十年ぶりかしら」と手を震わせながら触れていた。

村ではなめし技術に長けた者が少なく、これほどの量を一度に扱うのは久しぶりだったようだ。

店の奥から出てきた若い職人も毛皮の状態を確かめながら

「これだけの質なら高級なコートや防寒具も仕立てられますね」と感嘆し、作業への意欲を高めていた。

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