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6   誓いのパンティ

 次の土曜、約束した喫茶店にしのぶはやって来た。

「え……」

 自分の眼が信じられなかった。

現れたのは、長い黒髪を肩まで垂らした楚々とした美女だった。アラフォーだと言っていたが、どう見ても30代前半にしか見えない。

決して派手ではない。むしろ地味なくらいの顔立ちなのに、そこはかとない品の良さが漂っていた。

アイボリーのスーツとスカートがよく似合っている。ブランドは知らないが、高価なものに違いない。そういえば、夫は会社を経営していると言っていた。

 それにしても予想とは全く違っていた。まさかと思った。一瞬、新手の詐欺かと疑ったくらいだ。

階段を上がって奥の席に向かって来る。間違いない。一度立ち止まり、こちらに眼を向けると軽く会釈して目の前に立った。

「あの、隆志さんでしょうか?」

「ええ、そうです。しのぶさんですか?」

我ながら声が上ずっていた。

「はい、はじめまして、よろしくお願いします」

心なしか青ざめた顔に笑みを浮かべて、しのぶは腰を下ろした。

「こちらこそ、よろしく。でも驚きました。こんなに綺麗な方だとは夢にも思いませんでした」

「いえ、そんな。ありがとうございます、あのう、先日は失礼いたしました」

やはり緊張しているのか、声が上ずっているようだ。

「どうですか、僕の印象は?やっぱり怖いですか?」

「い、いえ、こんなに若い方だとは思いませんでした。でも、優しそうな方で安心しました」

「それはよかった。そう言ってもらって、僕も嬉しいです」

ウエイトレスがやってきた。

「何になさいますか?」

「あの、お紅茶をいただきます」

「かしこまりました」

そこで、会話が途切れた。

少し落ち着きを取り戻した隆志は、改めて目の前の美女を眺めた。しばし無語で見つめる。しのぶが恥ずかしそうに眼を伏せた。沈黙が続く。

一つ大きく深呼吸したあと、隆志が口を開いた。

「ねえ、どうして黙ってるの?」

「え?」

「何か言う事あるんじゃないのかな?」

隆志は殊更冷たい声を出した。

「初めて会ったらどういう挨拶をするか、教えたはずだけど……」

「は、はい。あの、下着のことでしょうか?」

「何かっこつけてるの、パンティのことだよ。忘れたの」

あの約束を忘れるはずがない。しのぶは身を竦め、唇を嚙みしめた。

「い、いえ、あの、しのぶのパンティ貰って頂けますか」

「牝犬奴隷の、だろ」

「は、はい。隆志様の、め、牝犬奴隷にして頂いたしのぶです。誓いの印に、しのぶの、パ、パンティ、貰って頂けますか」

「うん、よく言えた、偉いよ。じゃあ、さっそく渡してもらおうか」

「あ、はい」と席を立とうとする。

「どこに行くの?」

「あの、おトイレで脱いできます」

「必要ないよ。ここでしろよ」

「そんな……無理です、見られちゃう」

「大丈夫だよ。客なんかほとんどいないし」

実際、古びた喫茶店の2階にほとんど客はいなかった。OLらしき女性客が一組いる以外には、若いウエイトレスが一人暇そうに立っているだけだった。

「でも……やっぱり無理、お願いです、おトイレで許してください」

「だめだ!もう命令に背くの?奴隷失格だね。そんなんじゃ、先が思いやられるな」

隆志が吐き捨てるように言うと、しのぶは唇を噛んだ。あたりをそっと伺い、一瞬隆志を見やると、おずおずとスカートの裾を手繰りあげ始めた。

もぞもぞとまどろっこしいほどゆっくりとパンティを引き下ろし始めたしのぶに、隆志が声をかける。

「なんか、後ろの女の人、こっちを見てるよ。もしかしてパンティ脱いでるの、バレちゃったのかなあ」

「ひっ」

揶揄われて一瞬手が止まる。

「さっさとやらないと余計おかしいよ。何なら僕が脱がしてやろうか」

そう言われて観念したのか、しのぶは少しばかり腰を浮かし、思い切ってパンティを足から抜いていった。

「ああ、ご主人様、これがしのぶの、牝犬のパ、パンティです。使い古しでよかったら、貰って頂けますか?」

受けとったのは白いシルクのパンティだった。上品なしのぶに相応しい清楚な下着だ。手にしたパンティを隆志はしのぶの目の前でこれ見よがしに広げた。

「ふふ、脱ぎたてで、温かいね。あれ、何か濡れてるみたいだよ。それに、なんだか匂うよ」

そう言いながら鼻に近づける。

「ああ、いや。やめてください。匂いなんか、嗅がないで」

あまりの恥ずかしさに涙ぐみながら、しのぶは思わず手を伸ばして、脱いだばかりのパンティを取り返そうとした。

「なんだよ、その手は。奴隷のくせに逆らうの!」

「ああ、ごめんなさい」

叱られてビクッと肩を震わせると、伸ばした手をスカートの上に置いて固まっている。怖がり、というのは本当なのだろう。

(これは調教し甲斐がありそうだ)

隆志は心の中でほくそ笑んだ。

ウエイトレスが紅茶を運んできた。隆志は弄んでいたしのぶのパンティをさりげなくテーブルに置いた。驚いたウエイトレスの手が、紅茶の皿をカタカタ鳴らした。

「ごゆっくりどうぞ」という声が上ずっていた。

「ひどい……」

ウエイトレスが去ると、しのぶが怨嗟の目を向けてきた。

「何がひどいの。しのぶのパンティは、もう僕のもの。僕がどうしようと勝手だろ」

「でも、人の前で……」

「まだ逆らうの。だったらここで乳首にクリップ挟んでやってもいいんだよ」

隆志は、用意してきたクリップをポケットから取り出した。

「ああ、ごめんなさい。それだけは、お許しください」

「ああだこうだとうるさい奴隷だな。これは相当厳しい躾けが必要だね。覚悟はいいかな」

「はい、わ、わかりました。隆志様の立派な奴隷になれるように、どうか調教よろしくお願いします……」

隆志の言葉を口移しに、奴隷の誓いを口にするしのぶだった。

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