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ウェリアン共和国

 ウェリアン共和国は地球大戦後に設立された新しい国家である。それまでは独裁者マザル・ヤーマン総帥に支配されたマザラス国であり、過剰な兵器開発と政府側の人間による無駄遣いによって国民は極めて貧しい生活を強いられていた。近くにワンドル合衆国の敵国であった内陸国のノリビルギュタン共和国があったことから、オリヴァ川下流に港を持つマザラスを手中に納めることはワンドル合衆国にとって大きな利益であった。そこでワンドル合衆国はマザラスにスパイを送り込み、疲弊した国民を使った解放軍の結成を手助けした。そして地球大戦集結の二年前である一九一八年にマザル・ヤーマン暗殺、実権の掌握に成功した。終戦の一九二〇にはその地域の言葉で「勝利の国」を意味するウェリアン共和国として生まれ変わった。マザラスの実権掌握はその区域におけるワンドルの勝利に大きく貢献し、ワンドルはウェリアンへの支援を惜しみなく行っていた。そのため、一九四〇年頃には世界でも屈指の裕福な国へと変貌を遂げた。そのような中で隣国エスカランが消滅の危機に遭わなかったのにはアーラスによる手厚い支援が理由である。ワンドルによるマザラス掌握を知り、出遅れと悟ったアーラスはノリビルギュタンかエスカランのいずれかを切る決断をすることにした。結果、鉱山資源が豊富にあったエスカランの方が国益になるとし、ノリビルギュタンを見放してエスカランへの支援に一本化。リリアン川下流の制海権を奪われないように、大戦以降も支援を続けていった。結果、両河川の中洲地帯は戦力均衡の形となり、非戦闘地帯として存在し続けることになった。そのような中、一九七五年に鉱石ライリウムが世界的に枯渇するという、通称熱石危機が発生した、ライリウム、別名熱石は他の鉱物の融点を大幅に下げるという作用があることで知られている。古くから混ぜて熱すると通常では融けない鉱物も融けたことから熱を持っていると考えられて熱石と呼ばれるようになった。このライリウムは希少鉱物でありながら、剛健性と耐腐食性を兼ね備える鉱石ギガインの加工には必須であった。ギガインはその特性から兵器や重工業における需要が高かった。そのギガインの主要生産国こそウェリアンだったのである。しかしライリウムが枯渇したせいでギガインの加工性は著しく低下。結果需要に応えることが難しくなり、供給不足。ウェリアンは最重要とも言えた産業を失い、経済を大きく傾ける結果となってしまった。大国ワンドルの協力もあって、しばらくは国を回すことができていたのだが、カタリー島戦争が収束の色を見せなくなったせいで、支援は減少。一時はハイパーインフレーションの黄色信号が点滅するほどだった、その瞬間をエスカラン王国は見逃さなかった。ライリウムは枯渇していても、依然として埋蔵してあるギガイン。その鉱脈を持つウェリアンを長きに渡って指を咥えていたエスカランは、ライリウムの再発掘、もしくは代替の発見に期待をかけ、奪取を目論んだ。加えては、エスカランの持つ銅鉱脈が伸びると推測される中洲地帯の奪取も重要事項である。エスカランはワンドルによる支援が届かなくなったウェリアンの地図を自らの国旗に塗り替えるべく、戦線を作り上げたのだった。

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