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奏者として

 ヴァレットとの出来事があって、半年が経った。


 この半年間、僕はヴァレットから得た知識をもとにモンスターテイマーもとい奏者として、修行を重ねた。


 奏者の究極である〈融合新生(フュース)〉に至るまでには、いくつかのステップがある。

 それらを極めて、やっと開放されるのが〈融合新生(フュース)〉なのである。


 まず、目指すのは第一段階である〈魔武錬成(ポーゼライズ)〉。


 モンスターを武器と融合させ、新たなる武器として錬成する。

 その恩恵としてモンスターが持つスキルを武器に付与できる。


 これだけでもかなりの難易度だが、さらにその先がある。


 それが第二段階の〈魔核再製(ミスエイト)〉。


 モンスターそのものを武器に再変換するスキルである。

 モンスターが武器になっているため、当然そのスキルを使用できる。


 〈魔武錬成(ポーゼライズ)〉と〈魔核再製(ミスエイト)〉は最終的にどちらも武器でモンスターのスキルを使うものであるため、似ているように思えるが、大きく違う点がある。


 それは、扱えるモンスターのスキルだ。


 〈魔武錬成(ポーゼライズ)〉では、現時点で対象のモンスターが獲得しているスキルのみ扱うことができることに対して、〈魔核再製(ミスエイト)〉は少し異なる。


 獲得しているスキルだけでなく、将来的に獲得できるスキル、つまり潜在的なスキルまで引き出して扱うことができるのだ。

 これにより、レベルの低いモンスターであっても、種族によっては強力なスキルを持った武器に再変換することができる。


 もちろん、テイマーの技術やモンスターの耐久力なども影響するため、無制限に使えるわけではないが、間違いなく強力なスキルの一つだ。


 そして、それら2つのスキルを習得した先にあるものが〈融合新生(フュース)〉だ。


 原理としては〈魔武錬成(ポーゼライズ)〉を武器ではなく、自分自身を対象として発動させるようなもの。


 言葉にすれば簡単なように思えるが、それが中々難しい。


 その理由としては武器と人間では内包する情報量が違い過ぎるためだ。


 物体同士を融合させるにはその2つの情報を扱えなければならない。


 加えて情報を扱う精度は〈魔武錬成(ポーゼライズ)〉では80%ほどで成立するのに対し、〈融合新生(フュース)〉は100%を求められる。


 それを可能にするため、使用者は自分を知り、そして相手を知ることが必要なのである。


 どれだけ理解したかによって、難易度は大きく変わるのだとか。


 これだけの技術が求められるスキルをヴァレットは強制的に使ってみせた。

 知識を得たことでヴァレットの凄さを改めて思い知らされた気がした。


 さらに分かったことがもう一つ。

 テイムできるモンスターについて。


 僕は、テイムする人間が対象のモンスター以上のレベルでないと失敗すると思っていた。


 実際、これまでスライムしかテイム出来ていないからだ。


 だが、ヴァレットの言葉や知識によると、どうやらそうではないらしい。


 お互いの合意があれば、レベル、実力に関係なくテイムは可能なようなのだ。


 モンスターの中には、言葉を理解し、コミュニケーションを取れる種も多く存在する。

 かつてヴァレットは仲間たちと心を通わせることでテイムしていたのだとか。


 もちろん、言葉を持たぬモンスターや言葉では理解し合えない者も存在する。


 そのためにヴァレットが作り上げたのが〈従属(テイミング)〉というスキルだった。


 長き時を経て、奏者という言葉は消え去り、スキルのみが残った。


 人間の中ではスキルのみが伝えられ、やがてモンスターテイマーという職業ができた。


 おそらくおとぎ話で語られたのは奏者のこと。

 それが、モンスターテイマーと呼ばれたのは後付けなのだろう。


 こうして、モンスターテイマーについて理解を深めながら、修行を進めていった。


 結果として、半年間で習得できたのは〈魔武錬成(ポーゼライズ)〉まで。


 〈魔核再製(ミスエイト)〉は、成功率が半分以下でどうにも安定せず、習得までには至らなかった。


 とりあえず、〈魔武錬成(ポーゼライズ)〉を使いこなせるようにはなったし、それを応用した色んな技も考えた。


 それに実戦を経験することで得られるものもあるだろう。

 なんにせよ、いつまでもブルーと籠って修行している訳にもいかないので、この辺で切り上げることに決めた。


 そんな訳で、僕とブルーの冒険は再出発を迎えたのだった。


奏者=モンスターテイマーですが、ヴァレットが自分で名付けただけなので、人間の間では認知されていません。

そのため、ディノは話を通りやすくするためにモンスターテイマーと呼称することが多いです。

今後、独白などで奏者というワードは用いられることがあるかもしれません。


以上、捕捉でした。

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