表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/32

関晃子①

元々、決めていたタイトルは怪談インタビュー。


なのでしばらくはこの形式です。


話のペースが今どきではなく、遅くてだるいと感じるかもしれませんが、ひとつだけ言い訳をさせてください。



実力不足です。

 「わたしは悪くないの。たしかにあの家の話をしたのはわたしよ。でも、行こうって言い出したのはマユミだし、犯人を見て最初に逃げ出したのはナオでしょ。だからあの黒いモヤの山中さんにわたしは悪くないって伝えてよ」


ー伝えてもいいですけど、返事はないと思いますよ。山中里香さん、喉を切って亡くなってるんで話すことはできないと思うんです。保田なおさんのところほど、はっきりとは分からないですけど、喉あたりに傷口が見えるんですよ。生きていたらそんな状態だと話なんてできませんよね。多分、血を吐いて話すどころじゃないはずです。死んでからも生前と同じ条件で行動していることが多いんで、山中里香さんが話をすることは無理なわけです。


「でもわたしは絶対に悪くないの。それなのになんで事件で使われたのと同じアイスピックが近くにあるのよ。嬉野さんでしたよね。わたしのことを守ってくれるんですよね」


ーもちろんです。関晃子さんを守ることも今回の依頼契約に含まれていますので、ご安心ください。そのためのインタビューですのでご協力の方をお願いします。


「わたしに何かあればパパが絶対に許さないんだから。だからしっかり守ってよね」


ー全力を尽くします。まずお聞きしたいのですが、関さんは以前にも長澤家に訪れたことがあったんですよね。


「別に何度行ってもいいじゃない。わたしだけじゃなくてみんなしているでしょ!」


ーそういうことはよくあるという話は聞いてます。なので気にしないでください。


「今後はわたしが不快に感じるような発言は気を付けてね。パパの耳に入って困るのは嬉野さんですよ」


ー……質問に戻りますね。そのときにも門扉が開いていたという話は聞いているんですが、玄関ドアは開いていたんでしょうか。


「あの時は二階の窓越しに犯人を見つけてすぐに警察を呼ぶことになったのよ。初めは家の中に入ろうって話もあったんだけど、結局みんなそれで満足したのよね。だから警察を待っている間も門扉の中までぐらいしか入っていないし、玄関ドアが開いていたかまでは知らないわ」


ーでは、次に事件当日の話を聞きたいんですけど、先ほど犯人を見て保田なおさんが最初に逃げたというお話でしたが、次に逃げたのはどなたでしょうか。


「……わたしよ。でも、仕方がないじゃない。誰かが逃げたらわたしが逃げたってそれは仕方がないでしょ」


ーそれでは次に逃げた人は誰だか分かりますか?


「マユミじゃないの。わたしが玄関から外に出て振り返ったとき、マユミが必死になって逃げていたから」


ーそれでは赤星真由美さんと山中里香さんが逃げ始めた姿は見てはいないんですね。


「だって逃げるのに必死で、家の中で後ろを見る余裕なんてないわよ」


ーもちろん、そうだと思います。いちおう念のために確認を取りたかっただけですので気にしないでください。そういえば、事件当日も赤星真由美さんは特注のスタンガンを持っていたんですよね。


「……そうね。持っていたわ」


ー他の方の分の特注のスタンガンはあったんですか?


「マユミの分だけよ。そもそもあれはマユミがいつも持ち歩いているものだから。あの日も犯人を捕まえるために使う予定だったわ」


ー実際、犯人には使ったんでしょうか。


「使ったと思うわ」


ー犯人には効いたんですか?


「効かなかったか、もしくは外したんじゃないかしら。外に出てから振り返ったとき、マユミを犯人が追いかけている姿を見たの。アレを喰らってしばらく動けるやつなんていないわ」


ー状況説明ですね。もしかして、特注のスタンガンを使ったところは見ていないんでしょうか。


「悪いの?」


ーいえ、あくまでも確認です。


「見ていないわ。でも、犯人を前にしてスタンガンを手にしたマユミは見たし、みんなが外に出た時に特殊スタンガンの充電メモリが減っているのを確認したから間違いないわ」


ーでも充電メモリは使用しなくても、長時間持っているだけで減っている可能性はありますよね。


「あの家に入る前、マユミが充電メモリの確認をしているのを一緒に見ていたから分かるのよ。それにあれは使ったとき、かなりの充電量が減る仕組みなの。だから外に出た時の残量から考えて、犯人にスタンガンを使ったことは間違いないわ」


ー丁寧な説明ありがとうございます。関さんがおっしゃりたいことの理解ができました。赤星真由美さんが特殊スタンガンを使用したというのは間違いなさそうですね。


「だったら話はもういいじゃない。どうせ他の人にも似たような話を聞いているんでしょ」


ーいや、いろんな方の話を聞くことによって辻褄が合ってくる場合もありまして、同じ話を聞くというのもけっして無駄だというわけではないんです。


「でも、わたしとしてはどうやって守ってくれるのかを聞きたいんですど。パパだってわたしのことが可愛いんだから、なにかあったら嬉野さんがヤバいんだからね」


ー依頼された仕事はきっちりやり遂げるつもりです。今のところ、関係者のみなさん危ない状態ではないと思います。


「黒いモヤの山中さんが近くにいて、事件と同じアイスピックがここにあるのに危険じゃないって言うの?」


ーはい。僕もプロですからそこは断言できます。ただ、依頼者の方を不安にさせないのも仕事ですので、これを関係者の方、全員にお渡ししているところです。


「なんですか。この石は?」


ー僕の作った結界石になります。地面に投げつければ簡単に割れます。割れた後、怪奇現象から一時間は守ってくれます。だからもし、危険だと思ったらすぐに石を割って僕に連絡をください。通常の生活圏内なら時間内に駆けつけることができるように僕の方でも配慮しますので。なので問題が解決するまでは、僕が向かっても間に合わないような場所には行かないでください。具体的に言いますと、旅行など遠くに出かけることは控えてくださいということです。あとはもし落として割ってしまったら、代わりの石を届けますのですぐに連絡をください。

いいねをなしにもまけず、


感想なしにもまけず、


レビューなしにもまけない、


それでも書き続ける、そういう人にわたしになりたい。


にゃざわ けんじ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ