赤星真由美①
次回予告
夕方あたりに赤星真由美メモを更新予定
うち、この章を書き上げたら、異世界恋愛を書くんだ…
「なんでわたしがそんなことに答えなきゃいけないのよ。パパに頼まれてるんだから、さっさと仕事しなさいよ」
ーその仕事をするために答えが欲しいんです。よろしくお願いします。
「なんでもいいからアレをやっつけてよ。あんたそういう仕事なんでしょ!」
ーだから情報が必要なんです。しっかり聞き取りをして精査して動かないと、後々取り返しのつかないことになることもありますので。過去にそういう失敗をしたのを見てきているんで、僕たちの仕事は緊急性がない限りは慎重にことを運ばなければいけないんです。
「どう見たって緊急でしょうが!あんたもアレが見えるんでしょ。あんなのがずっといるだけで頭がおかしくなりそうよ」
ーでも、今のところ、危害はないんですよね?
「あったわよ!昨日も寝ているときにいやな感じがするから起きてみたら、近くに事件で使われたのと同じアイスピックとアレが近くにいたのよ。あのまま寝ていたら、きっとアイスピックで私のことを殺しに来たはずよ!こんなんじゃ、寝ることもできないじゃない」
ーでも、そばにアイスピックがあっただけで、赤星さん自体はケガをした跡もないですよね。僕が視る限り、アレがそんなことをするような危険なものとは思えないんですよ。
「アレに殺されそうになったって言ってるじゃない!アレって黒いモヤみたいで形だけしか分からないけど、髪型や体型から考えて間違いなく里香よ。あんた霊能者なんだからはっきり見えるんでしょ!」
ーまぁ、たしかに目の前には女子高生の姿が見えます。アレは山中里香さんで間違いないでしょうね。この間、資料で写真を確認しましたから、見間違えていることはないと思います。
「やっぱり山中里香がわたしを殺しに来たのよ。自分が死んだからって、わたしまで巻き込まないでほしいわ。もう、さっさと退治してよ。仕事しなさいよ!パパにあんたの仕事が遅いって言いつけるんだから!」
ー僕の仕事は幽霊とかを退治することじゃなくて、依頼者を守ることなんです。
「それじゃ目の前にいるんだから、今すぐにでもやっつけなさいよ!」
ーだからこそ情報が必要なんです。退治することが正しいのか、成仏してもらうことが正しいのかなど、諸々ですね。
「そんなのどちらでもいいわよ!」
ーとりあえず僕は今の段階では大きな危険はなく、情報を集めることが最優先だと考えています。僕もこの道のプロです。そのことが不満でしたら、お父さんに頼んで契約を破棄してもらって結構ですよ。依頼者の要望だけを聞いて、依頼失敗となってしまうと目も当てられませんから。
「……わかったわよ。今はあんたの言うことを聞いてあげるわ。でも、あんたより優秀なのをパパに頼んで絶対に変えてもらうんだから!」
ーそれではお互いが納得できたところで、長澤家に行くことになった経緯を教えていただけますか?
「……誰も納得なんてしてないけど、もういいわ」
ーまず、誰が長澤家に行くと言い出したんでしょうか。
「アキよ」
ー関晃子さんですね。
「あの子、そういうのが好きだから。一度あの家に肝試しで行ったことがあったみたいで、そのときの話で盛り上がったのよ。それで4人で行くことになったの」
ー誰からの反対もなかったんですか?
「別にないわよ。多少は怖い部分もあったけど、そんなの肝試しに行くんだから当たり前じゃない」
ー関晃子さんが語った、以前に長澤家に行った話というのは、どういった内容だったんですか?
「あの家に着いたら、玄関前に門みたいな扉みたいなのあるじゃない」
ー門扉ですね。
「そんな名前なの?まぁ、多分それ。その門扉っていうのが開いていたらしいのよ。それで噂で門扉が開いていたら殺人犯が家にいるっていうのがあるんだけど、ふと2階の窓を見たら人影があったらしいの。それで犯人かもって、警察に連絡したらしいんだけど、誰もいなかったみたい。それでわたしたちも犯人を見つけてやろうってあの家に行くことになったのよ。アキの話のとおり、門扉が開いていたときはテンション上がったわ。犯人を見つけてやるってね」
ーということは窓に犯人の姿はありましたか?
「残念だけど、そのときは発見できなかったわ。でも、気になるじゃない。ドアや窓が開いていないか確かめることにしたわ。それで玄関ドアの取っ手を握ったの」
ー玄関のドアは開いていた?
「そうよ。正直、ドアが開いたときは犯人を捕まえる気マンマンだったわ」
ーそれで長澤家の中に入った。
「中は真っ暗だったから、スマホの灯りを頼りに部屋巡りをしたわね。まずは二階から各部屋をまわって、アキが見た犯人がいた位置の窓の場所の確認なんてしたわ。その後は一階をまわることになるんだけど、玄関から一直線に廊下が伸びた奥にある部屋。うちと比べると狭いから微妙だけど、リビングだったと思う。そこにあいつがいたのよ」
ー犯人ですね?」
「身長は2メートル近くはあったと思う。大柄な体型で、顔を全て隠すぐらいの長髪。手にはアイスピックが握られていたわ。家に入るときは犯人を捕まえてやるぐらいの気持ちだったけど、いざ出くわしてみると誰も動けなかったわ。どれぐらい固まっていたかは分からないけど、最初に動いたのはナオだった。ナオは悲鳴を上げて玄関に向かって走り出したの。わたしたちも後を追うように逃げたわ。玄関から外に出たとき、後ろで誰かが転んだ音がしたの。それで振り返ってみたら、倒れている里香の姿と後ろから近づいてくる犯人の姿が見えたわ。そのとき、急に玄関のドアが勝手に閉まったの。もちろん、わたしたちは里香を助けるために慌ててドアを開けようとしたわ。だけど、鍵がしまったみたいで全然ドアが開かないの。仕方がないから110番通報をして警察にきてもらったわ」
ーしかし、犯人は見つからず、山中里香さんは亡くなっていたわけですね。
「というか、この話って警察にも話しているんだけど、わたしが話す必要あったわけ?」
ー他の人を通すと案外違った情報として伝わることがあるもので、慎重を重ねて聞いているんです。おかげで当日の様子がよく分かりました。ありがとうございます。
「話はしたんだからさっさとアレを退治してよね」
ー善処します。
いいねをしていただいたり、
感想を書いていただいたり、
レビューを書いていただいたり、
等をしてただけると、作者が喜び、うちの猫の猫じゃらしが豪華になります。
ぜひ、よろしくお願いいたします。