関晃太郎①
せっかくだから、俺はスマホでアップすることを選ぶぜ!
出先でスマホの電源が切れていたから、帰ってからアップしたぜ!
ー関警部さんですよね。山中里香さんの事件に関して聞きたいことがあるんですけれど、少しだけお時間をとっていただいてもよろしいでしょうか?
「不躾になんだ。どこの記者かね、君は。だとしたら自分の名前を名乗らずに質問だなんて、ルール違反にもほどがあるだろ。それにあれは発表したとおり自殺だ。それ以上でもそれ以下でもない」
ー名前も名乗らずにいきなり質問してしまい、申し訳ありません。嬉野卓馬といいます。そして私、事件のことを調べてはいるんですが、別に記者ではないんです。
「……山中里香は自殺。以上。失礼する」
ーちょ、ちょっと待ってください!記者ではないんですけど、赤星さんに雇われてここにきているんです。赤星哲也さんに!赤星さんの許可はもらってきているんです。だからお願いします。関さん!
「……あまり時間は取れないぞ」
ーありがとうございます。では、警察の方が現場へ突入したときのお話からお願いします。たしか、通報があり、近くで巡回していた警察の方が駆けつけたんですよね?
「ああ」
ー通報した中に刑事さんの娘さんもいらっしゃったとか。
「何を言いたい?あれは自殺だ。身内がいるから捜査を私の都合のいいようにしたとでも言いたいのか。そもそも私は直接捜査には関わっていない。赤星さんの頼みとはいえ、捜査に関する警察批判なら他をあたってくれ」
ーいえ、そういうつもりで言ったわけではないんです。僕の仕事っていちおう人助けに繋がっているものでして、山中里香さんが仲が良かったとお聞きしたもので、娘さんもショックを受けているでしょうし、精神的に大丈夫かなぁと思っただけなんです。
「………………」
ー話を戻しますが、通報したのは長澤家の門扉の前から保田なおさん、赤星真由美さん、関晃子さんの3人でよろしかったしょうか。
「それで間違いない」
ー警察の方が長澤家前に着いたところからのお話をお願いできますか?
「長澤家前に到着後、まずは通報者から事情を確認した。3人の話では心霊スポット巡りとして4人で家の中に入り、家の中で男の姿を確認。驚いた4人は急いで玄関に向かって逃げるが、3人が外に出た瞬間、勝手に玄関ドアが閉まり、最後尾にいた山中里香が家の中に閉じ込められることになった。3人は玄関ドアを開けようとしたが、どれだけ力を入れてもビクともしない。到着した警官が確認したところ、玄関ドアには鍵がかかっていた」
ーそして、警察への通報後、門扉の前で3人は待っていたわけですね。その間、誰も家から出てきた様子はなかったわけですね。
「玄関ドアが開いてはいないし、窓が破られたあともない。誰も出入りはしていないと言っていい。家の中に入るために不動産屋を呼び、家の状態を確認させたが特に変わった様子はなかった」
ー不動産屋を呼んだということは、やはり玄関の鍵はかかっていたということですね。
「不動産屋から鍵を借り、警察の方で開けたと聞いている」
ーそういえば、門扉は開いていたんでしょうか?
「不動産屋を呼ぶ前に玄関ドアが開いていないか確認をしている。だから門扉は開いていたはずだ」
ーつまり、普段閉まっているはずの門扉と玄関ドアが開いていて4人は家の中に入ったが、家から出た時には家のドアは閉まり、門扉は開いたままだったわけですね。不動産屋は門扉が開いていたことに関しては何か言っていましたか?
「犯人を見かけたという話がある度に何度も経験していることだからだろうな。『またですか』というような反応だったようだ。ただ、不動産屋は門扉も玄関ドアも鍵は常にかけたままだと言っている」
ー犯人が家の合鍵を作っている可能性がありますよね。
「それは家の中に犯人がいればという仮定の話だ。今回も犯人を示すような痕跡は何一つ見つかっていない」
ーただ今回はいつもと違い、事件が発生することになってしまった。
「家の中を捜索した結果、二階の子供部屋に、アイスピックで喉を掻っ切った山中里香の遺体を確認した」
ー自殺と断定した理由を伺っても?
「まずは家の中に山中里香一人になってから警察が着くまで、誰も家を出入りした形跡がない。その後、家の中に誰も居ないことを確認したことで、実際に中にいたのは山中里香のみだったということが言える。つまり、長澤家自体が密室となっていたわけだ。そのきっかけとなった玄関ドアが開かなくなったというのも、山中里香自身がドアを閉め、内側から鍵をかけたということで説明がつく。自殺に使用したアイスピックも、指紋は山中里香の分しか出てきていない。以上の状況からだけでも山中里香は自殺だと十分に断定できる」
ーでも、なぜ家の鍵が開いていたんでしょうか。
「不動産屋の誰かが鍵をかけ忘れたんだろう。遺体が出てしまったことを考えれば、特に従業員なら余計に鍵をかけ忘れたとは言い出せないはずだ」
ー自殺の動機は?
「山中里香は思春期最中の女子高生だ。大なり小なり悩みは持っていただろう。現在、調査中だが何かしら出てくるはずだ」
ーやはり直接お聞きして良かったです。事件の概要が見えてきました。
「私も忙しい身でね。これで失礼する」
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