赤星哲也①
予約掲載を月曜日までセット完了!
今日から11時にインタビュー、17時にメモをアップします。
オススメ話数ですか?
月曜0時にアップする、夏のホラー2023「会社の帰り道にある通路」です!
「嬉野君ね。僕は君のことは信じているんだよ。僕が雇ったんだからね。たださあ、娘が言うんだよ。君、仕事をしないで事件のことを探ってばかりいるってさ」
ー何か問題でも起こりましたでしょうか?
「いやいや、問題は起きてはいないんだけどさ。ただね、娘の近くにその原因があるわけじゃない。だったらさ、さっさと退治してくれれば解決するわけじゃない。問題が起こってからじゃ遅いんだよ」
ー問題はまだ起こらないと分かっているので、事件に関して調べているんです。
「そこは信じているんだよ。君もプロだろうし、僕が雇ったわけだからね。でも、別に調べなくても、ちょちょいと退治してくれれば娘もね、安心できるんだよ」
ー例えば家の近くにスズメバチがいるとします。危ないので目の前にいるスズメバチを退治すれば問題が解決するかというとそうではないですよね。どこかにあるスズメバチの巣を駆除しないと、危険から回避できていることにはなりません。スズメバチを追っていけば巣に辿り着くことができますよね。今、僕がしている作業というのはそれと同じなんです。一見、解決しているように見えて、後で迷惑をかけてしまう。そんなことをやっていてはプロ失格です。
「……もちろん、それは分かっていたよ。自分で雇った人間を信じないわけがないじゃない」
ー信じていただけることがこの仕事においては第一ですので、とてもありがたいと思っております。
「ただね、お客様を安心させるというのもプロとしての仕事ではないの?」
ーはい。だからこそ、契約者様3名分の結界石をお渡ししているわけです。念のため、赤星様の分もお渡ししておきましょうか?多少の経費は上乗せとはなりますけど。
「せっかくだしもらっておこうかな。ただね、僕は別にあの子に恨まれるようなことはしていないから、本当はこんな石はなくても大丈夫なんだよ。ただまぁ、僕もこんなに稼いでいたら誰に逆恨みされるか分からないからねぇ。悪いことしていなくてもそういうのっているものだからさ」
ーたいていの怪奇現象は対応するはずですので、持っていて損はないと思います。
「それで解決する目処はついたの?」
ー状況確認は終わりましたので、もう少しだけお時間をいただければと。
「いいんだけどさ。そんなに調べることがあるものなのかねぇ。そういえば、娘が持っているスタンガンについても調べているって聞いたんだけど、どういうつもりなのよ」
ー特注のスタンガンが違法性なものだというのは理解はしています。ただ僕は警察でもありませんし、契約者様自体にどのような形にしろご迷惑をかけるようではプロとは言えません。そこは安心していただければと思います。どの世界でも守秘義務は存在しますしね。
「まぁ、警察に漏らしたとしても、困るのは嬉野君だからね。ぜひ、気を付けてよ」
ーもちろんです。僕としては事件現場で使用したかもしれないと聞きましたので、犯人にスタンガンが効いたのかどうかだけ知りたかっただけなんです。
「人を気絶させるレベルなんだよ。効かないわけないじゃない」
ー犯人が人だとすればですね。
「どういうこと?犯人は人じゃないの?目撃者もいるんだから人だよね」
ー人だったのは間違いありません。
「人だった?」
ー長澤家の中に犯人が何度も目撃されているにも関わらず、警察が踏み込んだら誰もいないどころか、外に出た気配もないわけです。密室殺人の推理小説ではないので物理的にありえませんよね。仮に密室が成り立っていたとしてもです。何度も目撃されるレベルで長澤家に戻ってくる理由が犯人にはありません。つまり、犯人はすでに亡くなっていて、怪奇現象な状態で長澤家の中に現れている可能性が高いかと思われます。
「幽霊ってことかい」
ー実際に見たわけではないので断言はできませんが、分かりやすい表現としてはそれでいいかと思います。
「だったらスタンガンが効く効かない以前の話じゃない。幽霊だったらスタンガンもすり抜けてしまうんだからさ」
ーそんなこともないんですよ。幽霊だとしても物理的に襲ってきたりもします。逆にいうと、こちらからの接触も可能なんです。今回の話に絡めるなら山中里香さんの死因、アイスピックで喉を掻ききったことによる出血死でしたよね。そして長澤家一家殺人事件の凶器もアイスピックだった。つまり、犯人は幽霊だったとしても物理的に山中里香さんを襲ったと考えられるわけです。
「いやいや、警察の発表で山中里香は自殺だと判断が出たはずでしょ」
ー常識に当てはめれば、状況的にそれしか判断ができないかと思います。もし、僕が言ったことをそのまま警察が発表したら、世間の評価は想像するのも怖いですよね。ただその後に長澤家で起きていることは、常識に当てはめることができないわけです。
「まぁ、常識だけで解決できることだけなら、そもそも君を雇っていないからね」
とりあえず真実がどうこうは別として、幽霊だとしても物理的にお互いが影響を与えることができる場合もある、ということを理解していただければ結構です。
「幽霊だろうがスタンガンは当たる。ただし。効くかどうかは分からないか」
ーそのことも含めて、もう少しだけ娘さんにお話を伺うことになりますが、よろしいでしょうか?
「構わないよ。幽霊にも効くスタンガンを発売できるかもしれないわけだ。だとすればだ。防犯グッズ関連の法律を変えてもらわないといけないね」
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