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4、小悪魔とカミサマの同居


ここって、嘉見くんの家?

驚いてる私だったが、修ちゃんは邪魔するぜと私の手を掴み、すたすた入って行った。


嘉見くんも、訳がわからないからだろう、不機嫌な顔は変わらないが、近所迷惑になると判断したのか、何も言わずついてきた。


「早速なんだけどさ、那奈をしばらく泊めてくれない?親と上手くいってないみたいでさ、頼むよ。一生のお願い」


嘉見くんに両手を合わせ、頼む修ちゃん。


「・・・丸原の一生のお願いはもう3回ぐらいきいてるはずだけど」


「うっ、じゃあこれが最後だから。とにかく頼むよ。なっ?」


「大体、こいつは俺の部屋に泊まることどう思ってるわけ?男の一人暮らしの部屋に泊まって、俺が手を出さない保証なんてないけど」


「えっ?嘉見くんて一人暮らしなの?」

驚く私に


「何も聞いてないのか」

呆れる嘉見くん。


「大丈夫だろ。だって、那奈は嘉見の好みのタイプじゃないだろ?だって、昔派手な女とばかり付き合っていただろう?那奈は可愛いけど、反対のタイプだもんな」


「・・・」

嘉見くんは静かになった。

中学の時からの付き合いのせいだろう、お互いの好みは知り尽くしているようだ。


「余ってる部屋もあるだろう?那奈は料理も上手いんだぜ。住み込みの家政婦を雇ったと思えばいいじゃん。なっ?」


「なっ?じゃないよ。今日はとりあえず時間も遅いし泊めてやるけど。で、丸原はどうする?」


「俺は帰る。じゃあ、那奈また明日」

修ちゃんは、帰った。


「・・・」

「・・・」


取り残された私達。沈黙が続く。


先に口を開いたのは嘉見くんだった。

「泊めるからには、俺にも事情話してくれるよな」


私は頷き、簡単に話した。


「母親と話した方がいいんじゃないか?警察沙汰になると色々大変だろう?心配もしてるだろうし。でも、義父とはもう一緒にいるのは辛いだろうし、無理だろうな。暫くいてもいいぞ」


頭がいい人って、理解も早いな。


「俺だけの一人暮らしだから。特に気を使うこともないよ。けど、色々条件をつけたい。いいか?」


私はこくっと頷いた。


嘉見くんが出した条件は


1、学校では今までどおり話さない。馴れ馴れしくしないこと

2、ご飯、洗濯は各自で

3、風呂は被ると嫌だから、時間を決める


の3つだった。


「あの、馴れ馴れしくしないことって、言うけど一緒に暫く暮らすなら仲良くした方が楽しいと思うんだけど、駄目かな?」


「別に部屋も別々だし、仲良くする必要ないだろ?俺達他人だし。ただ少し泊まるだけだろ。勘違いするな。俺は別にお前を好きで泊める訳じゃないんだからな」


好きで泊める訳じゃないと言われると悲しいけど、確かに迷惑をかけているのは事実なのだ。

「ごめんなさい」


「今日はもう寝ろ。部屋はこっち」

入り口近くのドアを開けると、四畳半位の布団しかない部屋だった。

さっき修ちゃんが言っていた余ってる部屋があるっていうのは本当だったらしい。


「ここ、来客用の部屋なんだ。何もないけど、寝るだけなら十分だろ。それじゃ、おやすみ」


「おやすみなさい」

何だか、家族じゃない人におやすみなんて言うことないから、変な感じだ。


私はなかなか眠れなかった。


********


「起きて」

朝、嘉見くんに揺らされ起こされた。


「今、まだ6時だよ?早くない?」


「ここから、学校までどう行くかわからないだろ?今日だけ特別に一緒に行ってやるけど、誰にも見られたくない。早く用意しろ」


「はい」

起き上がり、立ち上がり布団をたたんだ。

キャミソールにショーパンという格好だった私を見て嘉見くんは、目を逸らした。


「何でそんな格好してるんだよ」


「えっ?パジャマとか持って来なかったし」


「・・・制服は持って来たんだよな?」


「うん」


「パジャマは俺の貸すから、もうそんな格好で寝るな。目の毒だ」


「ごめんね。見たくないだろうに変な格好見せて」


「そういう意味じゃねぇ!お前はもっと恥じらいを持て」


「へっ?」


嘉見くんは、顔を赤くして部屋を出た。

初めて見る嘉見くんの顔に笑いが止まらなかった。


学校までの道のりは私の家からより近かったけど、バスの路線は違ったし、嘉見くんがいなかったら、来れなかっただろう。


「ありがとう。お礼に晩御飯を作りたいんだけど、何か食べたいのある?」


感謝の気持ちを伝えたいけど、言葉だけじゃ足りない気がして、ご飯は各自でと言われていたけど、提案してみる。


「要らん」

秒で断られた。


嘉見くんと仲良くなりたいけど、道のりはまだまだ遠そうだ。




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